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企業パーパス、学校目標、学級目標の共通点と作成にあたる留意点

こんにちは。越境先生の前田です。

最近は会社員としてミッション(会社の使命)・ビジョン(中長期の目標)・バリュー(ミッションビジョンを実現させるための行動指針)いわゆるМVVに関わる仕事をしていて、
特定非営利活動法人の代表としてもパーパス(存在理由)、やМVVを考える作業をしています。

他方、学校の先生として働いていた頃は学級目標や学校全体の目標について懐疑的でした。決めることや従うことに違和感があった。
そこで、今回はそれらそれぞれの共通点をあげ、それぞれを策定する際の留意点について、今考えていることをまとめていこうと思います。

なぜ目標設定が重要なのか

なぜ目標設定が重要なのかを改めて考えてみたいと思います。
結論として、ホモ・サピエンスが幻想を共有して共同体を繁栄させるよう設計された生き物だからです。

ホモ・サピエンスは様々なホモ族たちの中で身体の大きさや脳の大きさが最も秀でていたわけではないと言われています。ではそんなホモ・サピエンス達がなぜ唯一生き残れたのか。それは空想、妄想、幻想などの具体物ではないもの、イメージを共有できる生き物だったからです。

「A村のサムってやつがネアンデルタール人をボコったらしい。あいつと仲間になったら山向こうにいるネアンデルタール人たちにも勝てるかもしれない。そしたら水場は我々で独占できる。」といった、自分が見たわけでもない情報を鵜呑みにし、妄想に妄想を重ねてエネルギーを出せる生き物がホモ・サピエンスです。
反対に言うと共通の幻想を持たない状態では大した力は発揮できない。

そこで、共同体としての馬力を出していくために共同幻想が必要になります。
それがパーパスやミッション、ビジョン、バリューであり、学校や学級で設定される目標です。


学級目標や会社のミッションがワークしない理由

私たちは共同幻想で力を発揮するはずなのですが、なぜか設定した目標がワークしていないことがあります。
多くの場合、目標を押しつけられた、または強引に決まったと感じているからです。
自分で決めていない・自分が選択していない・同意していない目標は形骸化します。
子どもたちにしろ会社で働く従業員にしろ、目標を押し付けられて「これを守っていこう」と言われても興ざめするだけです。

目標は自分たちで決めるかあるいは選択する必要があります。
一定の納得感、主体性をもって選択したという内発的動機付けがないとワークしません。

学級経営の場合であれば担任に押し付けられた目標よりも自分たちで考えて納得した目標の方がより子どもたちに対してワークします。

会社の場合は株主や経営者が一定の独裁制をもってパーパスやMVV等を決めますが、労働者は子どもと違って働く会社を選ぶことができます。自分が納得できないパーパスやMVVを持つ会社は選択しなければよい。何万社もある会社の中から、自分で自分に合う目標を掲げた会社にジョインすることができますし、そうでなければ会社を作ってしまえばいいわけです。

組織の目標や存在意義を策定する際の大前提として、
公立学校の子ども→組織を選べない
大人→一応は組織を選べる
ということを認識しておく必要があります。

また、教員の場合はこの中間で、採用される自治体を選ぶことはできるが、「学校そのものを選択することはできない」ということになります。(ある程度希望を聞いてくれる自治体もあります。)

目標やビジョンを策定する方法

それぞれ自分の意志で属するかどうかを選択できる組織とそうでない組織がある中で、ではどのようにして目標やビジョンを策定すればよいのでしょうか。

【企業の場合】
企業のパーパスやMVVを策定するお作法はある程度確立されています。
創業者や経営陣でブレストと議論を重ねて決定する方法です。自分たちで作り上げた組織に命を吹き込む作業であり、「なんのために目の前の作業をするのか?」という疑問にぶつかった時に拠り所となる重要なメッセージです。できるだけ現場の意見も取り入れられると、より浸透度合いも高まります。

【学級目標の場合】
ここはいろんなパターンがあるので一概には言えません。
例えば小学校1年制の場合はかなり介添えが必要だと思いますし、中学生くらい大きくなっても中1と中3では目標の意味も背景も全く異なります。

仮に中1を想定してみることにしましょう。

中1の場合であれば、初めての環境であることから学級目標はいったん作らないように私なら持っていくかと思います。
その代わり、私が大事にしてもらいたいと思っている価値観や指針をまずは示し、目標については1学期の途中、学校に慣れてきてどんな目標を
立てるべきか掴めてきた頃に改めて考えよう。と提案します。
目標というものは、課題と材料が明確にわかっている場合に初めて考えることができるわけで、中学に入学したばかりでまず環境に慣れようとしている子どもたちに目標云々言ったところで「それどころじゃないし、ピンとこない」という感想を抱かれるでしょう。こうなってしまうと、目標は共同幻想に消化できておらず、ただ文章として教室に掲示されているだけのものになってしまいます。

子どもたちにゼロから決めてもらうのは理想ですが、もし時間に限りがある中どうしても目標を設定しなければいけない場合には、全てを民主的に進めることは時間的に無理が生じます。また、全権を渡しふわっとしたものが出来上がることも加味すると、一定程度材料となるものを提示してあげながらバランスを取りつつ主体的に決めてもらう箇所も設定していくというのが現状の最適解なのではないかと思うのです。

【学校組織の場合】

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