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チーズ&ワイン フランス・コンテチーズ①

先週初めてチーズのオンラインセミナーを受講してみた。私の中で全世界チーズTOP5に間違いなく入るコンテチーズ。コンテチーズ生産者協会と日本チーズアートフロマジェ協会の共同開催で行われた。

事前に熟成期間の異なるコンテチーズ150gx2と付け合わせるナッツ類、盛り付け用のロゴ入り木皿、チーズ保存用包紙も入ってすでにこの段階で参加費を上回るメリットなのでは?と思わせるほどだった。

セミナーはウェビナーでは無く、ZOOMミーティング方式で行われた。他の参加者の様子が見れるだけでなく、講師も受講生の表情が見れるのでやりやすいとのことだった。質問はチャットで入れておくと、頃合いを見て講師が実際に答えるという形式でこれもインタラクティブでいい。

チーズにはその製法によって大きく6種類に分類されるが、コンテはハードタイプと呼ばれるものだ。産地により生産方法は異なるが、大まかに言えば牛乳(他の動物の場合もある)をレンネットなどで凝固させ(カードという)、カードをプレスして水分を抜く。そのため硬い状態になるためハードタイプというのだ。ハードタイプのチーズは水分が少ないため長期熟成が可能でコンテの場合は最低4ヶ月と法律で決まっている。今回教材となっていたのは8ヶ月以上と12ヶ月以上のものだ。

コンテチーズはフランスのAOPチーズ(ナチュラルチーズの中で産地や製法が法律で規定されているもの)の中で最大の生産量を誇る。そのため工場製品的なイメージが強いが、実は全く逆。チーズを実際に作り出すのは酪農家から半径12.5km以内に工房を構えるチーズ職人。牛乳の状態で村を超えての移動は許されないのだ。これはコンテチーズのテロワールを守るため。ワイン以外でもテロワールにこだわるのがフランスらしい。しかも搾乳から24時間以内にチーズ作りに入らなければならない。つまり365日毎日生産されているのだ。

コンテチーズ生産の品質追求はそれだけではない。牛1頭あたり1ヘクタール以上の放牧地を確保していることが酪農家には求められている。基本的に牧草とそれから作った干草(冬に与える)しか給餌してはならないのだ。穀物飼料も認められてはいるが、自分の農場で栽培したものに原則限られる。驚いた。ワインで言えばドメーヌ物ではないか。しかもロマネコンティの畑と同じ面積の放牧地では牛1頭しか飼えないのだ。

セミナーは後半に入りチーズのテイスティングに入る。アカデミー・デュ・ヴァンの講義形式と同じで親しみが持てる。これも初めて知ったのだが、ハードタイプのチーズを食べる前には表面をナイフなどでこすって削ぐ。そうすることによってフレッシュな部分が露出するので香りが全く違うのだ。テイスティングの方法もワインや中国茶と同じ様に、まず見た目、弾力など触った感じ(これはもちろんワインには無い)、香り、食感、味(口の中でのフレーバー)という順番だ。それぞれ下記の特徴がある。

見た目 色が黄色ければ牧草を食べているので春夏産のチーズ、白っぽければ干草なので秋冬産。チーズの表面に結晶が浮いていれば12ヶ月以上熟成。また外皮の色がオレンジなら若い(コンテチーズは表面を塩水で洗うため若いうちはウオッシュタイプの様な色味を呈す)、茶色乾燥していれば熟成タイプ。

触感 弾力があり、曲げても折れなければ若いタイプ。硬くて折れれば熟成タイプ。これは熟成によって水分量が変化するため。

香り クリームなどの乳製品系であれば若い、ナッツ(ピスタチオ)が感じられれば熟成。これもワインに近い。若ければ原材料に近い香りで、熟成すると別の香りが生まれる。

食感・味 若いうちはホクホクしてクリーミーな感じ。熟成すると少しザラみが出てくるがより濃厚な味わいとなる。

これを踏まえれば読者な皆さんも↑写真のどちらが熟成タイプか容易に見分けられると思う。

こうなるとワインの合わせも熟成により変わってくる。若いタイプなら乳酸発酵をした白ワイン。私の感覚ではあまり新樽比率が高くない方がいいだろう。20%以下くらいか。熟成タイプなら樽熟成がしっかりされているワイン。これは白でも赤でもいい様に感じる。試しにリオハ・クリアンサ2015年を合わせたが、これは熟成タイプにぴったりなのはいうまでもないが、果実味が濃厚な分、若いタイプでも楽しめた。

次回はチーズアートの部分と中国茶とのマッチングについて書きたい。どうぞご期待のほど。

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