ショート小説『聞き耳』※2137文字
霧谷蒼空(きりたにそら)は、会社からの帰り道、いつもと違う道を歩いて帰っていた。
午後に行われた会議に提出した企画書が散々な結果で、どうしても一杯呑んで帰りたかったのだ。
いつもの大通りから一本入った路地を居酒屋を探しながら歩いていると、ふと民家の様な建物の扉に小さな看板が掲げられているに気が付く。
黒い扉に煙草の箱ほどの小さな黒い看板。そこに黒い文字で「BAR -Black-」と書かれている。霧谷蒼空は「よくこんなの見つけたな」と自分でも驚く。
穴場のBARを見つけ