#1000文字の物語『手ぶらの友達』
帰宅する人々が行き交う駅の改札前で、俺は友達と待ち合わせた。
「すごいな、都会は。祭りでもやってるのか?」
「なんだ、その田舎者のテンプレみたいな台詞は」
「いや、言ってみたかったんだよ。あるだろう? そういう言葉」
「え、無いよ」
「ほら、例えば『レギュラー満タンで』とか」
「いや、無いだろ」
「『私と仕事どっちが大事なの⁉』とか」
「無いよ。てか荷物は? 手ぶらで来たのか?」
「まぁな」
「凄いな。とりあえず行こうぜ、いい店知ってるんだ」
「あ、いいね、それ!『いい店