へなちょこ急戦(Sugar流超早仕掛け)対策[後手・三間飛車編 マント流]
超早仕掛け(へなちょこ急戦)の対策。三間飛車編。
以前、超早仕掛け(へなちょこ急戦)の四間飛車での対策を書いたが、
※ 65歩早仕掛けとは似て非なる戦法・へなちょこ急戦(Sugar流超早仕掛け)[先手・四間飛車編]
今回は三間飛車。
よくある定跡では、45歩早仕掛けには、三間飛車では受けるのは苦労するので、「向かい飛車に振りなおす」というのがある。
超早仕掛けにも、向かい飛車に振りなおせば、角交換から飛車先突破される心配はないので、有効な対策である。
ただしこれには、
1)向かい飛車に振りなおすので1手損する。
2)居飛車は、向かい飛車にはSugar流の端攻めをしてくる可能性が高い。
という(若干ながらの)心配がある。
ということで今回は、向かい飛車にせずに三間飛車で受ける筋を調べてみていきたい。
今回紹介するのは、YouTuberのマント氏が一押しで解説していた「マント流」だ。
基本図。以下、図は先後逆で、三間飛車側が後手で手前にする。
![](https://assets.st-note.com/img/1713020175941-GL7LWFjxAT.png)
居飛車は飛車先の歩を突き捨て、角道をこじ開けようとしたところ。
ここでのソフト最善は▽22飛車と向かい飛車にする手だが、
ここは ▽45同歩 と応じて三間飛車でいく。
▽45同歩、▲33角成、▽同銀!、▲45桂、▽22銀!(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713020534951-co3n9DtYYb.png)
角成を▽33同銀 と取り、桂馬跳ねに▽22銀と、飛車側に引くのがポイント。
▲24飛車には、▽23歩と抑えてなんともない。
なので、居飛車は ▲77角 と、銀を狙ってくる。 そこで▽42飛。(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713021209872-s1p5n0Nv2f.png)
こちらは桂馬は取れないが(銀を取られるので)、▽64角 と飛車を狙う痛打の手があり、居飛車はその前に攻めるしかない。
具体的には▲23歩 の叩きで角のラインを通す手。
それには▽23同銀 と強く取り、▲11角成、▽45飛 と桂馬を取る。(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713021714454-VnJx2eneiH.png)
よく見ると、居飛車は歩切れなのが痛い。
ここからは、
▲21馬と、桂馬を取れば、馬のラインがそれて、▽55角の両取りで調子いい。
▲22馬と、銀取り&馬の斜めのラインを維持してきたら、
▽14銀!と上がって銀が逃げ、▲24飛 に、▽15角!(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713022145331-SCzFjPSraN.png)
▲28飛と引いてふんばるが、▽27歩の叩きが厳しく勝勢。
あと、もし、居飛車の端歩が突いてあって、端角を打てないようなら、▽55角と、角馬交換をせまって良し。(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713023058409-AhMqFxMHrr.png)
また、▲11角成でなく、
▲33桂成、▽同桂、▲同馬 なら、
▽64角、▲29飛車 に、▽47歩 と叩けば厳しいだろう(図)。
▲同金に、もう一発、歩を叩けば崩壊する。
![](https://assets.st-note.com/img/1713054657266-qbblc4t5U2.png)
▽64角でなく、ソフト最善は
▽22角!、▲23馬、▽99角成 と玉側の香車に狙いをつける手らしいが、人間的には指しずらいと思う。
また、初めに戻って、
▽45同歩 に、▲45同桂 としてくるパターン。
![](https://assets.st-note.com/img/1713024110179-1AsGLgcwEx.png)
▽88角成、▲同銀、▽33桂!、▲同桂、▽同銀(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713024233946-nhYX0hcEyN.png)
と、桂馬交換してから▽33銀 で、問題ない。
マント流は相手の攻めを受け流し、相手の飛車を目標に角を打ってカウンターの反撃をする戦法のようだ。
なお、5筋を突いた(▲56歩、▽54歩の交換のある)形の超早仕掛けに対しては、
マント流で対応しようと、角道こじ開けに ▽45同歩 とすると、
疑問手判定されてしまった。
これはもはや、超早仕掛け(へなちょこ急戦)でなく、「▲45歩早仕掛けの亜種」なのだととらえるべきなのだろう。
これには向かい飛車に回るしかなく、
![](https://assets.st-note.com/img/1713025252718-AbucfoUOC1.png)
▲44歩の取り込みに、▽43歩!と歩をあわせ(他の手だと、▲45桂馬 で角が死ぬ)、 ▲43歩成、
▽88角成、▲同銀、▽43金。
▲23歩 の叩き、▽同飛、▲32角(図)、▽22飛、▲41角成。
![](https://assets.st-note.com/img/1713026074665-25MMTBL4Qm.png)
振り飛車は馬を作られて厳しいが、ここは桂頭から攻めていくようだ。
▽35歩、▲23歩、▽12飛、▲24飛、▽36歩、▲45桂、▽46角。(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713026484184-JIUUY1h4UM.png)
以上がソフトの最善。後手振り飛車なので、評価値的にはつらいかもしれないが、人間的にはこれで五分だろう。
図から、▲26飛とされると、後手は▽37歩成ができず(角を抜かれるから)困っているようにみえるが、歩が3枚あるので、▽25歩の叩きから飛車をずらして、手を作っていくことになるようだ。
なお、5筋を突いた形で、居飛車が2筋の歩を突き捨てていない場合は、
後手は持ち駒に歩がないので、▲44歩の取り込みに、▽43歩のあわせの歩ができない。
つまり、向かい飛車では対応できない。(▲45桂馬 で角が死ぬ)
では、どうするのか。
ここはなんと、▽35歩と、桂頭をねらって歩を突き、飛車角をさばいていくのが正着。
![](https://assets.st-note.com/img/1713027261024-eD4e9IvSnZ.png)
この▽35歩は、「つばめ返し」と呼ばれる手。
実は、三間飛車の超早仕掛け対策には、マント流のほかに、つばめ返しがある。
三間飛車の超早仕掛け(へなちょこ急戦)対策の「つばめ返し」は、長くなるので次回の記事に譲るとして、
ここでは5筋を突いた形の超早仕掛け(もしくは57銀のない▲45歩早仕掛け)でのつばめ返しをみてみたい。
▽35歩、▲同歩、▽45歩 と角道を開け、角交換せず飛車先の▲24歩、
▽88角成、▲同銀、▽36歩 と桂頭、▲23歩成、▽35飛。(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713056005312-9UU44alDi4.png)
▲32と、▽43銀、▲21飛成、▽37と の攻め合いだ。(図)
![](https://assets.st-note.com/img/1713056272273-PasTBzBoqg.png)
途中、▽45歩に ▲33角成と、角交換をしてきたら、
やはり▽33同銀 (マント流に合流しそうだが、▽22銀にはしない)と取る。
![](https://assets.st-note.com/img/1713056823539-wpaaPMGD1Q.png)
桂頭を守る▲26飛、▽44角 の両にらみ、
▲77角 の角合わせ、▽同角、▲同桂、▽71角(図) がソフト最善だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1713057138962-hYp0m6sDvJ.png)
ここで相手が、▲45桂としてきたら、当然▽22銀で、マント流に合流だ。
なお、図で先手最善は、桂馬跳ねでなく ▲66角 からの攻めだ。
以上で、超早仕掛け(へなちょこ急戦)の対策 三間飛車編・マント流 の解説は終わりにする。
次回は、三間飛車の超早仕掛け(へなちょこ急戦)対策の「つばめ返し」を解説したい。
※へなちょこ急戦(Sugar流超早仕掛け)対策[後手・三間飛車編 つばめ返し]