角換わり45桂馬速攻をかじってみる
プロの対局で、久々に<角換わり45桂馬速攻>が出た。
それがこちら
金井恒太 六段 vs. 大平武洋 六段 第18回朝日杯将棋オープン戦 一次予選(2024-07-31)
アマチュア居飛車党ではかつて右も左もと猛威をふるった戦法。今でも結構見る。
私は振り飛車党なのだが、たまに角換わり後手を持つとやられて、当然のごとくつぶされるので、悔しい思いをさせられ、この戦法にはいい思いがない。
というわけで、プロの実戦譜とソフトで、この戦法をみていきたい
基本図
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攻めの先手は
1)38銀と、左金はそのままの69金で、守りは最小限にして桂馬跳ねを急ぐ。
2)1筋の端歩は突く
3)3筋の歩は突き捨てる。
受けの後手は
1)桂馬の当たる53地点を守るために、62銀・48玉 にする。
2)もし52金・48玉型なら、45桂速攻は受けきれる(らしい)。
が、新型の角換わり腰掛銀にするには、手損して組み替えなければならない。
角換わり後手なら手損でもOK(どうせ先手の攻めを待つのだから)という考えもあるだろうが…
さて、▲45桂に銀はどう逃げるのがいいかというと、
ソフト正着は ▽22銀。
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敵飛車の来る2筋を厚くするとともに、▽44歩から桂馬取りを見せる手だ。
とりあえずこれだけは覚えておきたいところだ。
ということなのだが、本譜の 金井恒太 六段 vs. 大平武洋 六段戦は
▽44銀と上がっていった。
もしかしたらアマチュアではこちらの方が大多数かもしれないので、本記事では▽44銀と上がった以降をみていきたい。
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先手は、飛車先の歩を交換して ▲29飛 まで下がる。
ここで後手は ▽51金 と、金銀の連結をよくして玉の逃げるルートを作った。ただ、これは疑問手ではないが最善手ではないようで、
ソフト最善は ▽55角と攻めを見せる手(参考図)だった。
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▲29飛、▽55角以降のソフト推奨手はあとでみていく。
本譜では、結果的に先手の攻めがつながったので、ここら辺で変化する必要があったようだ。
では、ここから(▽51金以下)の先手の攻めをみていく。
端を突き捨てて ▲34角!
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当然の▽41角 の受けに、▲24歩とこじ開けていく。▽24同歩。
香車を走り、敵の香車がいなくなったところに▲12角成。
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▽23金の受けに、▲21馬と桂馬を取る。
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評価値的には先手の300点と、ほぼ互角だが、人間的には馬の出来た先手持ちだろう。
なお、ここで次に後手は▽54香と攻めたが、これは疑問手で、
ソフト正着は ▽18香成 と、飛車をいじめる手だった。(参考図)
ここで差がつき先手優勢となった。
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さて、先ほど述べた▲29飛、▽55角以降のソフト推奨手だが、
以下はやはり ▲34角、に▽46角。
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この▽55角は、「攻めの角」というよりも、▲23角成~同飛車成りまでの「飛車筋を牽制する」手のようで、▽53角成などとしてしまっては、先手の飛車が素通りになってしまっていけない。
このように、角換わり45桂馬速攻では後手は受け主体にならなければいけないようだ。
やはり▽44銀のところは、正着の▽22銀の方が、ラクな受けになりそうな分、いいのかもしれない。
▽22銀での受けは、こちらの動画に詳しかったので見ていただきたい。
ただし、「徹底して受ける方針」みたいなので、受けの苦手な人にはつらいかも。
いかがだっただろうか。
あ~45桂馬速攻、やっぱり食らうのは嫌だな~。と再確認したところで、この記事はここまで。