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#7 ワイン通なら知っておきたい【白ワインの醸造方法】
こんにちは!
ソムリエ見習い中のAKIHAです。
前回は赤ワインの醸造方法について解説しました。
この記事を読むとどうなる?
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醸造に関する専門用語(日・仏)が覚えられます。
ワイン醸造の全体像がイメージできます。
どうやってワインが出来るのか知識が深まります。
今日の記事では、「白ワイン」の醸造方法について、特に「赤ワイン」の醸造方法との違いを明確にしながら詳しく見ていきます。
【復習】赤ワインの醸造方法
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赤ワインの醸造方法は、基本的に以下のような工程をたどりましたね。
「選果」→「除梗と破砕」→「主醗酵」→「醸し」→「圧搾」→「マロラクティック醗酵」→「貯蔵・熟成・育成」→「澱引き・清澄・濾過・瓶詰め」
果皮からの色素や種子からの渋み成分抽出のため、醸し+ルモンタージュ(orピジャージュ)を行うというのが最大の特徴でした。
白ワインの醸造方法の特徴
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白ワインの醸造方法における赤ワインとの明確な違いは、浸漬(しんし)、つまり醸しの工程が無く、果皮や種子を分離して果汁のみで醗酵されることです。
白ワインの場合、酒蔵に入るとすぐに圧搾されるのです。
また、赤ワインには黒ブドウが、白ワインには白ブドウが基本的に使用されますが、黒ブドウからも白ワインを造ることは可能です。
1.選果
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選果(トリアージュ・デ・レザン [Triage des raisins] ):
収穫されたブドウを搬入し、望ましくないものを取り除く。
アロマを重視する白ワインでは、アロマ成分の酸化防止のため、この時点で除梗し、粒での選果がなされることは無い。
2.除梗と破砕
除梗(エグラパージュ [Égrappage] ):
果梗(かこう)を取り除くこと。
破砕(フーラージュ [Foulage] ):
除梗した果実を潰すこと。
除梗をせずに全房圧搾(ぜんぼうあっさく)(※後に解説)する方法もある。
3.スキン・コンタクト
スキン・コンタクト(マセラシオン・ペリキュレール [Macération Pelliculaire] :
除梗・破砕の後、圧搾前の間に一定期間圧搾機やタンク内で果皮を果汁に漬け込む工程。
ブドウの品種香は果皮に含まれることが多く、果汁への香り成分の移行がその目的。
4.圧搾
圧搾(プレシュラージュ [Pressurage] ):
タンクの下からワインを引き抜き、液体(ワイン)と固体(果皮・種子)を分離し、固体部分を圧搾機にかけてさらに液体を搾り出す。
白ワインの場合は果汁のみを抽出する。
5.デブルバージュ
デブルバージュ [Débourbage] :
圧搾後の果汁はブドウ由来のパルプ分等で濁っているため、タンク内に静置することで不純物を沈殿させ、上澄み部分を別のタンクに移動させる工程。
6.主醗酵
主醗酵(フェルマンタシオン・アルコリック [Fermentation Alcoolique] ):
酵母のはたらきによって糖分がアルコール(エタノール)と二酸化炭素(炭酸ガス)に分離される。
醗酵温度は20℃前後で、赤ワイン(30℃前後)より低め。ブドウのアロマ成分の揮発による減少を防ぐため低めに設定する。
赤ワインと同様に、シャプタリザシオン(補糖)がされる場合もある。
7.マロラクティック醗酵
マロラクティック醗酵(フェルマンタシオン・マロラクティック [Fermantation Malolactique] =FML ):
ワイン中に含まれるリンゴ酸(マリック・アシッド [Malic Acid] )が乳酸菌のはたらきによって乳酸(ラクティック・アシッド [Lactic Acid] )と炭酸ガスに分解される醗酵のこと。
品種や銘柄によって行う場合と行わない場合がある。例えばフレッシュな酸味が特徴のソーヴィニョン・ブランやリースリングではマロラクティック醗酵されることは稀。
8.貯蔵・熟成・育成
熟成・育成(エルバージュ [Élevage] ):
醗酵を終えた白ワインは樽またはタンクで貯蔵される。
その後、澱引き(おりびき)(スーティラージュ [Soutirage] )、清澄(コラージュ [Collage] )、濾過(フィルトラージュ [Filtrage] )、瓶詰め(アンブテイヤージュ [Embouteillage] )を行う。
旨味成分をワインに移行させるためにバトナージュ(※後に解説)を行うこともある。
専門用語解説
▶全房圧搾とは?
全房圧搾(ぜんぼうあっさく)(プレスラージュ・アン・ヴァンダンジュ [Pressurage en Vendange] ):
除梗をして粒の状態にすることなく、房の状態のまま丸ごと圧搾する方法。
アルコール醗酵前に果梗は取り除かれるため、果梗からの成分抽出はされない。
▶シャプタリザシオンとは?
シャプタリザシオン [Chaptalisation] :
補糖のこと。甘味付けではなく、原料であるブドウの糖度が低い場合にワイン中のアルコール分を高める目的で行われる。
ナポレオン1世統治下の内務大臣で化学者でもあったジャン・アントワーヌ・シャプタル [Jean Antoine Chaptal] が名前の由来。補糖量とアルコール生成の関係を研究した。
▶バトナージュの作業と目的
バトナージュ [Bâtonnage] :
醗酵後、樽育成中にワイン中の滓(かす)を棒で撹拌する工程のこと。
酵母とワインの接触を増やすことで、酵母に含まれるアミノ酸等の旨味成分をワインに移行させることが目的。
これだけ!本日のまとめ
▶白ワインの醸造工程は、「選果」→「除梗と破砕(しない場合もある)」→「スキン・コンタクト」→「圧搾」→「デブルバージュ」→「主醗酵」→「マロラクティック醗酵(しない場合もある)」→「貯蔵・熟成・育成」→「澱引き・清澄・濾過・瓶詰め」
▶赤ワインのような浸漬の工程が無く、白ワインは果汁のみで醗酵される
▶香り成分移行のため、圧搾前に一定期間果皮を果汁に漬け込むスキン・コンタクトを行う。
▶圧搾後、主醗酵前にワインを静置することで不純物を沈殿させ、上澄み部分を別タンクに移動することをデブルバージュという。
▶マロラクティック醗酵は品種や銘柄によって行う場合と行わない場合がある。
▶樽育成中にワインに含まれる滓を棒で粉砕し、酵母に含まれるアミノ酸等の旨味成分を引き出す作業をバトナージュという。
以上、いかがでしたでしょうか?
白ワインは赤ワインと異なり、種子や果皮を除く果汁のみで醗酵を行います。
アロマや香り成分が重視されることから、あえて除梗作業がされなかったり、マロラクティック醗酵がされなかったりする場合もあります。
次回はシャンパン、ロゼ、オレンジワイン等、他の種類の醸造方法について解説させていただきます。
本日も最後までご覧くださりありがとうございました☆
AKIHA
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