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#5 ワイン通なら知っておきたい【赤ワインの醸造方法】
こんにちは!
ソムリエ見習い中のAKIHAです。
今日は赤ワインの醸造方法について解説します!
赤、白、ロゼ、スパークリングとワインの種類によって
醸造方法や工程がそれぞれ異なってきます。
まずは赤ワインの醸造方法について学び、
大人の教養として是非覚えてみてください!
この記事を読むとどうなる?
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醸造に関する専門用語(日・仏)が覚えられます。
ワイン醸造の全体像がイメージできます。
どうやってワインが出来るのか知識が深まります。
ワイン造りには大きく分けて「ブドウの栽培」と「ワインの醸造」の2つの工程がありましたね。
今回は醸造、そして「赤ワイン」に特化して詳しく見ていきます。
1.選果
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選果(トリアージュ・デ・レザン [Triage des raisins] ):
収穫されたブドウを搬入し、望ましくないものを取り除く。
2.除梗と破砕
除梗(エグラパージュ [Égrappage] ):
果梗(かこう)を取り除くこと。
破砕(フーラージュ [Foulage] ):
除梗した果実を潰すこと。
上記作業の際に酸化防止や殺菌の目的で二酸化硫黄(亜硫酸)を加えることもある。
3.主醗酵
主醗酵(フェルマンタシオン・アルコリック [Fermentation Alcoolique] ):
除梗と破砕をしたブドウの果汁、果皮、果肉、種子(+果梗)の混合物である果醪(かもろみ)(ムー [Moût] )を木桶やタンクに入れる。
培養酵母を加えて主醗酵が始まるのを待つ。なお、元々ブドウに付着した酵母のみを使うこともある。醗酵温度は30℃前後。
シャプタリザシオン(※後に解説)を行う場合もある。
4.醸し
醸(かも)し(マセラシオン [Macération] ):
果皮、果肉、種子を果醪に漬け込む工程のことで、果皮からは赤い色素である「アントシアニン」を、種子からは渋みの成分である「タンニン」を抽出する。
果帽(かぼう)(シャポー・ド・マール [Chapeau de Marc] ):
醗酵によって生じた二酸化炭素の力で果醪の上部に浮上してくる果皮、果肉、種子の塊のこと。
その後、ルモンタージュ(※後に解説)を行う。
5.圧搾
圧搾(プレシュラージュ [Pressurage] ):
タンクの下からワインを引き抜き、液体(ワイン)と固体(果皮・種子)を分離し、固体部分を圧搾機にかけてさらに液体を搾り出す。
圧搾前後によって「フリーラン・ワイン」と「プレス・ワイン」に区別される。(※後に解説)
6.マロラクティック醗酵
マロラクティック醗酵(フェルマンタシオン・マロラクティック [Fermantation Malolactique] =FML ):
ワイン中に含まれるリンゴ酸(マリック・アシッド [Malic Acid] )が乳酸菌のはたらきによって乳酸(ラクティック・アシッド [Lactic Acid] )と炭酸ガスに分解される醗酵のこと。
副生成物として、ヨーグルト等の乳製品系の香りを持つダイアセチルを生じる。
赤ワインは白ワインと比べてpHが高いため、乳酸菌が生じやすくマロラクティック醗酵が起きやすい。
7.貯蔵・熟成・育成
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熟成・育成(エルバージュ [Élevage] ):
醗酵を終えた赤ワインは樽またはタンクで1〜2年育成する。
その後、澱引き(おりびき)(スーティラージュ [Soutirage] )、清澄(コラージュ [Collage] )、濾過(フィルトラージュ [Filtrage] )、瓶詰め(アンブテイヤージュ [Embouteillage] )を行う。
専門用語解説
▶ シャプタリザシオンとは?
シャプタリザシオン [Chaptalisation] :
補糖のこと。甘味付けではなく、原料であるブドウの糖度が低い場合にワイン中のアルコール分を高める目的で行われる。
ナポレオン1世統治下の内務大臣で化学者でもあったジャン・アントワーヌ・シャプタル [Jean Antoine Chaptal] が名前の由来。補糖量とアルコール生成の関係を研究した。
▶ ルモンタージュとその効果
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ルモンタージュ [Remontage] :
醗酵タンクの下から醗酵中の果醪液を抜き、その液をタンク上部に浮上する果帽全体にかかるように散布する作業。以下のような効果が目的。
【ルモンタージュの効果】
・果醪液への酸素供給
・糖分・酵母・温度を平均化
・果皮・種子からのフェノール類その他の成分の抽出
▶ ピジャージュとは?
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ピジャージュ [Pigeage] :
人力による櫂(かい)つきのこと。
醗酵タンクの容量が小さい場合はルモンタージュを行わず、果帽を液中に道具を使って手動で押し込む。
▶圧搾時の2種類のワイン
フリーラン・ワイン(ヴァン・ド・グット [Vin de Goutte] ):
ワイン自身と果帽の重さによって引き抜かれるワイン。
プレス・ワイン(ヴァン・ド・プレス [Vin de Presse] ):
フリーラン・ワインを引き抜いた後に圧搾したワイン。
これだけ!本日のまとめ
▶赤ワインの醸造工程は、「選果」→「除梗と破砕」→「主醗酵」→「醸し」→「圧搾」→「マロラクティック醗酵」→「貯蔵・熟成・育成」→「澱引き・清澄・濾過・瓶詰め」
▶果帽とは、果醪の上部に浮上してくる果皮、果肉、種子の塊のこと。
▶マロラクティック醗酵とは、ワイン中に含まれるリンゴ酸が乳酸菌のはたらきによって乳酸と炭酸ガスに分解される醗酵のこと。
▶シャプタリザシオンとは、ワイン中のアルコール分を高めるための補糖のこと。
▶ルモンタージュとは、醗酵タンクの下から醗酵中の果醪液を抜き、その液をタンク上部に浮上する果帽全体にかかるように散布する作業のこと。
▶ピジャージュとは、ルモンタージュの代わりに行われる人力での櫂つきのこと。
▶圧搾前後でフリーラン・ワインとプレス・ワインの2種類に分類される。
以上、いかがでしたでしょうか?
赤ワインは色素である「アントシアニン」や渋みとなる「タンニン」等の成分を抽出するための「醸し」が重要な工程となっています。
次回は白ワインの醸造工程について解説予定なので、是非その違いをチェックしてみてくださいね!
本日も最後までご覧くださりありがとうございました☆
AKIHA
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