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Shinnosukeさんインタビュー 後編【クリエイター図鑑Vol.2】

Shinnosukeさんインタビュー ―――――

秋葉原のどこかで喫茶店を営む、リサ・ナナの2人がインタビューしていく『あきかふぇクリエイター図鑑』第3回!
今回も、SOUL'd OUTの元メンバーであり、ミュージシャン、作曲家、作詞家、編曲家、音楽プロデューサー、DJ等幅広く活躍中のShinnosukeさんにインタビュー!

あきかふぇぷろじぇくと ナナ・リサ

こちらのインタビューは、秋葉原を中心に配布しているフリーペーパー秋コレ55号・56号紙面記事として掲載しています。通販もございます!!

🐈前編の記事はこちらから


フリーペーパー秋コレ56号

💟プロの仕事を受けるようになったきっかけ

リサ:前回に引き続き、Shinnosukeさんが作曲や音楽プロデュースに関わるお仕事に就くまでの経歴をお聞きするわ。

ナナ:プロの仕事を受けるきっかけになったことがあれば教えてほしいにゃ!

Shinnosuke:「バンドを組んでデビューしよう!」とは考えてなくて、完全に「音楽プロデューサー、楽曲提供をする」側になりたかったんです。スタジオワークをしたいな、と。
小室哲哉さん、小林武史さん、織田哲郎さん、つんくさん達のようなプロデューサーブーム・カラオケブームの時代だったというのもありますが、同時に僕は洋楽(特にブラックミュージック)のプロデューサーが大好きだったので、そこに憧れてたんですね。「カッコイイ音(アレンジ)を作れる音楽家になりたい!」と。

リサ:自分で前に出て歌おうとは思わなかったんですか?

Shinnosuke:歌はそこまで上手くないので主役(ボーカル)としては武器にならない、と最初から分かっていたので。
でも歌モノを作ることをメインとしたいのもあったので、下手なりになんとかカッコつけて頑張って、仮歌も自分で歌ってオリジナル曲のデモテープ作りに明け暮れてました。

ナナ:仮歌は人に頼まなかったにゃ?

Shinnosuke:周りに仮歌を歌ってくれる知人がいなかったんです。今みたいにパソコンなどの便利な時代ではなかったですし、機材も高かったからそんなに買えず最低限の機材で録音して……
この曲は「SMAP用」とか「女性のR&Bシンガー用」とか勝手に提供対象をイメージして作って、デモテープをレコード会社などに送ってましたね。父親の知人のCM制作会社の関係者とかにも頼ったりして。
今みたいにオーディションもそんなに無く、情報も入って来なくて苦労しました。アルバイト情報誌に載ってる制作会社の事務職募集にもダメ元でデモテープ送ってましたから。

リサ:すごくストイックですね!

Shinnosuke:とにかく音楽業界に入るにはどうしたら良いんだ?と。
そうこうしてる内にたまたま何かで見つけた制作会社へ送ったデモテープが認められてお声がかかってそこの事務所に出入りさせていただくことになるのですが、その事務所はブラックミュージックに強い事務所だったんです。社長が「日本の全国ディスコ協会」の会長だったり、本場のブラックミュージックのレジェンドアーティスト達と友達だったり、という。

ナナ:そこに就職したのにゃ?

Shinnosuke:いや、最初は当然無報酬で色々勉強ですよね。全然まだまだアマチュアレベルのクオリティーだったので。
ただ、その事務所にあったスタジオ機材とかも初めて使わせていただくものばかりだったので、それも含めて何もかも嬉しくて。でもそれだけでは食べていけないので、その会社がやってるディスコで夜中にバイトさせていただきながら、昼間はスタジオで作業していました。

ナナ:すごいスケジュールだにゃ…!

Shinnosuke:そのうちとある女性アーティストをデビューさせる、という事で正式にクレジットも載せていただいてお金もいただける「仕事」をやらせてもらえました。
少しずつそういうチャンスをいただいて経験を繰り返しているうちに SOUL’d OUT を結成することになるのですが、メンバーの Diggy-MO’ と Bro.Hi は元々他の人達とバンドを組んでいたんです。バンドでHip-Hopをやるスタイル。
で、そのバンドのデモテープを僕が在籍させていただいたその事務所に送ったみたいで。社長にお互い紹介されて「一緒にやってみたらどう?」と言われ、3人で活動し始めました。
1999年に結成して2003年にSONYからデビューするんですが、結成当初、僕はまだライブには参加しないでスタジオワークだけやってる感じだったので、結成したは良いものの、表に立つという意味でのアーティストになる気があんまり無かったんでしょうね(笑)

💟『好きなこと』が音楽活動に与える影響

リサ:絵画や猫が好きだということをSNSで拝見しました。やはりこのような音楽以外の趣味や好きなことは、音楽活動に影響を与えていますか?

Shinnosuke:幼少期の頃の話と重複してしまうことばかりですが、やはり今でも絵画や彫刻などが好きなのでそういう影響は大きいですね。イタリアは行ったことないけど大好きだったり。

リサ:イタリア!西洋美術もお好きなんですね!

Shinnosuke:そういう「そっちのイメージ」を脳内に持ちつつも音楽はUSブラックミュージックやダンスミュージックが好きで、でもクラシックや映画音楽も大好きで……というなんでもありの雑種なんですが、基本的には子供の頃のままという感覚です。もちろん好き嫌いのジャッジラインはありますけど「良いものは何でも良いじゃん!」な精神なので。

ナナ:ピュアピュアだにゃ~~!!

リサ:猫が好きになったきっかけはありますか?

Shinnosuke:子供の頃は犬を飼っていたのでずっと犬派だったんですが(笑)
ひょんなことから猫を飼うハメになったので……

ナナ:ええ~!?昔はワンちゃん派だったのにゃ!?
ワンちゃんも一緒に暮らしたりはしないのにゃ?

Shinnosuke:というか元々動物は大好きなんですが、普通はほぼ先に旅立たれるじゃないですか。
もうそのお別れが嫌でね…今の猫様もそろそろ良い歳なので少しずつ覚悟しはじめてるんですが、悲しむのが辛いから嫌で嫌で…。
なのでこの先はもうペットを飼う事はないと思います。好きですけど。

リサ:絵画や猫の他に趣味や好きなことはありますか?

Shinnosuke:音楽と絵以外にあんまり趣味とか特技とかもないんですが、アニメだけでなく海外の映画やドラマ系も好きなので良く観てます。

ナナ:映画は映画館でみるにゃ?それともストリーミングかにゃ?

Shinnosuke:映画はやっぱり映画館で観たいんですよね。大画面で視覚も聴覚もたっぷりと味わいたいので。だから結構映画館へ行ってる方だと思いますよ。
ちなみに、漫画やアニメはデッサン力がある絵柄が好きですね。作画が良いアニメとか。受験生の時は石膏デッサンが好きだったので、画力がある人を崇めてたんですよ。

リサ:幼少期のお話を伺った際、読書が好きとおっしゃっていましたが、今も本はたくさん読みますか?

Shinnosuke:最近また色々本を買って読書もしてます。これも電子書籍ではなくてやっぱり紙の本が好きなんですよねー。

ナナ:紙の本の良さ……わかるにゃ~~!!

リサ:好きな場所はありますか?

Shinnosuke:京都が好きです!
海外はほとんど行ったことないけどルネッサンス絵画や彫刻が好きなのでイタリアが大好きなんですが、なんかそういう歴史のある場所が好きみたいで。母が京都大好きで生前良く話を聞いてたのでその刷り込み、ってのも大きいですね。

ナナ:なるほどにゃ~
京都にはよく行くのにゃ?

Shinnosuke:今は母は京都に眠っているので行ける時にはお参りがてら観光しますよ。
一人でお寺とか神社とか行くと心が洗われるというか。癒されるんですよね。基本的に人間が嫌いなので(笑)そういう世界へ逃避したくなる時は京都行きます。友達もほとんどいないし一人で寂しいんですけどねー(笑)

💟これからのクリエイターに求められていること

リサ:自分でパソコンで作曲をしたり、インターネットで年齢や経験問わず気軽に発表できる世の中になりましたが、Shinnosukeさんが思う、クリエイターの理想像などがあれば教えてください。

Shinnosuke:そうですねー…もう僕も古い人間になってきてしまっているのでついて行くのに必死で偉そうな事は言えないんですが。
でもやっぱりいつの時代も個性的な魅力を持っている人(作品)がアートとして輝くのは変わらないと思うんですよね。それこそ大昔は死後に作品がやっと認められたとかもありますが、やっぱり普通じゃダメなんだろうなと。
変わりすぎも良くないだろうし塩梅は難しいと思いますけどね。でもやっぱり良い意味で変態じゃないとね。

ナナ:マニアックってことにゃ!

Shinnosuke:マニアックになりすぎると「大衆芸術」という意味では違ってくるかもですが、でもやっぱりオタクにならないと。
プロのクリエイター達はそれぞれの専門家な訳ですからね。
パソコンとソフトがあればある程度は誰でもそれなりに出来ちゃう時代だからこその個性とセンスが重要だろうし。
AIが急速に発展しているタイミングでもあるので、これからどんどん機械化になってくと思うから大変ですよね。でも、それを上手く取り入れていかないと生き残れない世界だとも思うんです。

リサ:テクノロジーの進歩ともうまく付き合っていく……ということですね。

Shinnosuke:ピュアアートで良いならコンピュータは取り入れずにフィジカルのみで表現できるクラシックな芸術を突き詰めれば良いと思いますが、デジタルクリエイターは今後もう避けて通れない話だと思うので。
となると結局は人間だからこその「ファジーさ」だったり「間違え」だったり「計算外」だったり…という面が大事になってくるでしょうしね。そういう人間らしさの魅力は必要だと思います。
あと、結局仕事は「人間同士」「対人間」ですることになるので、人間力だったり魅力を持っていないと求めてもらえないですよね。それはクリエイターとしてだけの話じゃないんですけどね。物凄く超天才的な作品を生み出せる人でしたら話は別かもですけど、人間的に嫌いな人に仕事頼もうとしないでしょ。
少なくとも僕が依頼する側だったらそうだなぁ。

ナナ:ナナも、キラキラ輝いてる人とお仕事してるほうが楽しいにゃ!

Shinnosuke:クリエイターやアーティストって結構クセが強い人多いんですよね。良くも悪くも。
良ければそれは個性として魅力的に輝くんですけど、悪い面で出ちゃうと避けられる要因になるので……そういう気遣いも少しは必要なのかな、と。最低限の身嗜み(精神的な)と言いますか。

リサ:バランス感覚が大事ということですね。

Shinnosuke:良い子になる必要は全く無いですが。結局はセルフプロデュース能力が重要になると思うので、その辺の感覚バランスに長けてる方が良いんでしょうね。

💟これからクリエイターになる人たちへのメッセージ

リサ:アーティスト活動やDJ活動、楽曲提供等の活動をしてみたい、できるようになりたい方へアドバイスやメッセージがあれば、お聞きしたいです。

Shinnosuke:色々な経験をした方が良いと思いますよー。生きてる時間は限られてるので。まぁデジタルやAI云々は関係なく、普通に考えてもそうなんですけど。

ナナ:例えばどんな経験かにゃ……?

Shinnosuke:恋愛、食事、旅行、などなど…何でも良いんですけど。
病気とか怪我とか以外は何でもポジティブに自分の経験値・財産になって行くので、それらが自分を作ってくれますから。「経験」「体験」を沢山して欲しいですね。それが「知識」や「技術」になって行くので。
僕もまだまだ色々経験したいと思ってますし。
特に海外旅行はしてこなかったので…イタリア行きたいなぁ(笑)

ナナ:ナナも海外旅行行きたいにゃ~!!

Shinnosuke:話戻りますけど、そういう経験があるから「判断」が出来て「クリエイト」できるわけで。AIだって全て過去の情報があってのものでしょ?機械ほど優秀じゃないかもだけど人間も同じですからね。
苦手なことは無理してまでやる必要はないと思うけど、とにかく色々な経験を。

リサ:様々な経験を通して成長する……大事なことですね。
そういえば、Shinnosukeさんは以前よりもマルチクリエイター的なイメージが強くなったのですが、何でも自分でできた方が良いと思いますか?

Shinnosuke:「音楽でも映像でも何でも、全て一人で出来て当たり前」な感じになってきちゃってますが、そこも良し悪しだと思うので「何が何でも全部出来ないとダメ」ではないんですが、でもやっぱり色々自分だけで完結出来る方が良いことも多いです。
一つの専門家になるのか?広く浅くでも良いからマルチになるのか?という判断も必要なのかもですが、でも色々と出来るに越したことないので。その上で敢えて他人と一緒に制作する、とかここから先は振ってみる、とかもね。
相性とか相手のレベルとかも関係してくるだろうからそれはそれでなかなか難しいんですけど。

ナナ:まずは「やってみる」のが一番にゃ!

リサ:Shinnosukeさんとしては、どんなクリエイターが好きですか?

Shinnosuke:日本や世界の経済状況なども影響あるだろうからどんどん夢の無い時代になってきてしまってますが、でも夢は持っていて欲しいなぁ。
日々の生活は大事だけど、叶わないかもだけど。
でも小さくても良いので何かしらの夢や憧れを持っている、ある意味ピュアなクリエイターが僕は好きです。自分もそうありたいので。
でもそれが「真似」ばかりになってもダメなので履き違えないように要注意ですけどね!憧れを持ちつつ気にしなくなった先にオリジナリティが見つかるんだと思うし。僕もまだまだ模索中です。
夢なんか無くても経験とセンスで黙々とこなす職人気質なクリエイターもそれはそれでカッコいいですけどね。
クリエイターって仕事にして行くには本当に大変だと思いますが、楽しみながらやりましょうね。
苦しい時も辞めたい時もあると思いますけど、辛くなったら少し離れたりしてどうにかセルフコントロールして。で、またちゃんと楽しんで創作活動できるようにね。そういうふうに生きていけたら幸せだと思います。


ナナ:セルフコントロールにゃ!

Shinnosuke:あと最後に一つアドバイスというか、お願いというか。
クリエイターの世界だけの話ではなくて、どんな職業の人もなんですけど。
昨今色々な所で「パワハラ」「セクハラ」という話がありますが、昔からクリエィティブな世界でも多いみたいですよね。
幸い僕は今までそういう経験が無かったので幸せだと思いますが、もしそういう事があったらなんとか逃げてください!
そこで我慢した先には幸せは無いと思って避けてください。これも僕の考えなので強制することでもないんですけど。
ほんと嫌な奴、変な奴ってどこの世界にもいるので、とにかく自分のことは自分で守れる人でいて欲しいです。
それが出来なくても誰かに助けを求められる人でいて欲しいです。
そうでなくてもクリエィティブの世界って常に自分との戦いでもあるから一人で考えて悩んじゃったりもするので、どうにかそういう被害に合わないように逃げてくださいね。

似たような感じで、「自分が必要とされてないな」と感じたらそこから離れる勇気も必要だと思います。
かと言ってすぐに他で必要とされるかどうかは分からないけど、そのうち少しずつかもだけど自分の居場所を見つけられる日が必ず来ると思うので。
それは悪いことではないし、恥ずかしいことでもないのでね。
諦めずにこだわり続けて食い下がってるのも良いと思うんだけど、方向転換したら意外とそれが正解だったということもあるので。何が正解かは分からないっちゃあ分からないんだけど、とにかく自分を大事にしないと良い作品も作れませんから。周りに迷惑をかけてもダメだし、自分を大事にしてあげないとダメですよ。
僕自身もそう思って生きています。


リサ:本日はインタビューを受けてくださりありがとうございました。とても有意義なお話が聞けました!

Shinnosuke:少しでも僕の経験談が何かのヒントになってくれたら嬉しいです。優秀なクリエイターが育っていって、いつか何かでご一緒できると更に嬉しいですね!

ナナ:ありがとうございましたにゃー!


💟Shinnosuke プロフィール


Shinnosuke

Song Writing (Compose / Words) , Arrangement , Produce , Remix , Mix
主な楽曲提供/リミックス:
『アイドリッシュセブン』TRIGGER、嵐、小室哲哉、access、Every Little Thing、中川翔子 他
BGM(劇伴):
ビブリア古書堂の事件手帖(2013年)」「魔術士オーフェンはぐれ旅」シリーズ 他


💟SNS リンク

▼公式Twitter(X)

https://twitter.com/Shinnosuke_Syn

▼公式Instagram

https://www.instagram.com/shinscapade/


💟Shinnosuke 最新情報

ナナ:Shinnosukeさんが劇伴を担当している、TVアニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅 アーバンラマ編・聖域編』のオリジナルサウンドトラックが絶賛配信中にゃ!

Shinnosuke:2期分なので劇伴だけで全68曲の大容量で、ほとんどオーケストラ系の曲なので、そういうのがお好きな方は是非!
映画音楽好きな僕の面が出ている作品となっています。

Shinnosuke:僕がプロデュースして一緒に楽曲作りをしている Sarah L-ee が楽曲を配信中です。こちらも是非!


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