
『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』電子版コミックのご紹介
著作紹介にあたってのご挨拶
こんにちは。
漫画描きの晏藝(芸)嘉三です。
今回は私の著作で電子書籍にて配信中の『物見の文士』シリーズ『狸囃子が聴こえる』についてのご紹介をさせていただきます。
これから機を見て、配信中の自作品一つ一つについて、noteさんに作品紹介や作中では省かれている説明や裏話に試し読みなどを添えてアップして記録していきたいと思いたちましたのでやってみます。
一回目の今回は、拙作『物見の文士』シリーズから、
私の最後のアナログ原稿でもあります、短編『狸囃子が聴こえる』篇のご紹介です。
どうぞよろしくお願いいたします。
どれも、丹精込めて制作した作品ですので、これを機に、作品と良い出会いをしていだたける方もいらっしゃいましたら、作者も幸いです。
▼ともかく漫画の試し読み!
というお方は、下記の目次リンクから***お試し読み***をご選択くださいませ。
『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』作品紹介
《ストーリー》
時は明治初期、怪奇幻想ものを得意とする人気文筆家「先生」こと夜都木周平がまだまだ無名だった頃のお話です。
怪奇幻想譚や化け物話を愛好する夜都木先生は、同じ趣味を持ち、自身の作品の愛読者でもあるお光という少女と繁く文を交わしていました。
昭和風に申し上げると、ぺんふれんどでございます。
先生の作品が少しずつ世に出回り始めるようになった頃、突然、お光からの便りが絶えてしまいます。
心配になった先生は、お光の住む本所の住所を訪ねてみようと思い立ちます。
霧雨の降る初夏の本所にて、先生がお光の行方をあたってみると、
この辺りでは「そのような娘は聞いたことがない」と近所の人から言われてしまいます。
そして何と、お光からの文を見た大家さんから「これは近くに住む重婆さんの字だ」と告げられます。
さて、夜都木先生がずっと文通を続けていた少女、お光は、重婆さんの騙っていた存在しない少女だったのでしょうか?
彼女の所在を訪ねて見るとそこには…
という所までが『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』の冒頭です。
以下に、この辺りまでの試し読みページの画像をお付けしておりますので、よろしければぜひご一読くださいませ。
***お試し読み***
カラー表紙と冒頭二色漫画はデジタル描きおろし、モノクロ本編はアナログ作画です。
写植・タイトルロゴ・書籍化デザインなどのご編集は発行元の株式会社コンパス様でございます。
それでは『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』冒頭6ページ試し読みをどうぞ。






と、各電子書店様での試し読み可能ページはこちらまでとなっております。
発行元様公式のX(Twitter)ですと、気軽にネット上でもう少し先まで読めたのですが…
現在はアカウントがないと読みにくい仕様になってしまいましたね。
しかし、Xでも貼るには貼れそうなので二枚貼り付けておきます。
こちらは冒頭9Pまで読めますので、アカウントお持ちの方はよろしければ!
左上のコマタッチから左方向にスワイプでお読みください。いつまで表示できるかなぁ…頼みますよイーロンさんnnn…。
ここまで読むとちゃんと表題の狸さんまで出て来ます。
『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』(1/3)
— コンパスコミックス@試し読み (@COMPASS_tameshi) May 13, 2021
近所で『狸ばやし』が聞こえるという少女からの手紙を元に、夜都木が訪れた場所で出会ったのは…喋る狸!?
晏芸嘉三 @AkiYoshimi7777#試し読み #漫画が読めるハッシュタグ #コンパスコミックス pic.twitter.com/WqMyl209ha
『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』(2/3) pic.twitter.com/mxFYLQD1xT
— コンパスコミックス@試し読み (@COMPASS_tameshi) May 13, 2021
以上が、電子版総ページ数32ページの読み切り『物見の文士-狸囃子が聴こえる-』(おまけのその後イラスト付き)の冒頭でございます。
もし気に入られましたら、製品版でもお試しいただけたら幸いです。
では最後は、江戸明治豆知識と制作裏話などの、オマケ記事でございます。
制作の裏話とか雑学とか
▼【本所七不思議】(ホンショナナフシギ)
ほんじょでなく、《ほんしょ》読みが正式。と、ちゃんとした書籍資料にあったような覚えがあるのですが!!
覚書が今すぐ見つからない…
ネット記事資料だと、どこも《ほんじょ》と書いてありますが、その性質上、また書き資料が多いので、大元がほんじょ記載になっている可能性があり何とも言えない。うーむ、すみません。
ともかく、本所は江戸東京の地名ですね。
江戸時代には、武家屋敷が立ち並んでいたそうです。
江戸の武家屋敷はざっくりとは、全国の武家が江戸で暮らす出張所のような場所だったりします。
江戸の藩分けには、今の都道府県よりもっとずっと藩ごとの文化風習法律※に違いがありましたので、現代的に言えば、各国大使館みたいなイメージでしょうか。
※侍の髷をみれば、その形で藩が分かったそうです。
あと、それぞれ言葉も通じないレベルの方言でしゃべる。
江戸っ子の「田舎侍め!」には、身分上の侍に偉そうに話しかけられても「何言ってっか分からんのじゃ」的なストレスもあったんかな。と。
まれにいる母国語でまくしたて通じないとイライラするタイプの観光客かな?今も昔も変わりません。
創作の完全考証的には、本来は描き分けるべき部分ですが、現代人が見ても違いが分からんので無駄な労力となる部分…
いちいち字幕出してたらエンタメとしては、読み・鑑賞しにくいですし。
この武家屋敷は、庶民の長屋と比べて高い塀に囲まれた広大な敷地を有しており、土地のわりに中の人数は少ないので、閑散とし、夜ともなればさみしい雰囲気。
何処までも続く同じような高い塀。迷路かな?
真っ暗な道に。掘や葦の原。木がたくさん。柳生えてるし。
とにかく真っ暗。水音。、中では何が起きているか分からない、刀持った侍がいる武家屋敷。一人で提灯持って歩く。肝試しじゃん。
その昔には、忠臣蔵の吉良邸もありました。
怪談たくさん出来そうですね。
本所七不思議には、九つ以上の話がありました。それも納得な印象。
何か置いてかないと首置いてかされたりする『置いてけ堀』、何かずっと前に提灯見えるんですけど?誰もいないよ『送り提灯』、血まみれの大足洗わされる女中、忙しいのにちょっとやめてよ『足洗い屋敷』、夜通しお祭りやってるねどこかな?で延々と歩かされ最後に狸に馬鹿にされる『狸囃子』などなど。
って、あらめて書くと怪談ってスゴイ迷惑…笑
▼【東亰】(トウキョウ)
『物見の文士』は、明治初期の日本を舞台にイメージした作品です。
明治初期、江戸から東京になった頃の東京の表記は【東京】または【東亰】だったりします。
後者の表記は、時代が少し初期から下がると、あまり見られなくなってきます。
試し読みをご覧いただくと分かりますが、本作では私自身は東亰表記「とうきょう」読みを採用しております。
ちょっと現代と違う表記にする事でファンタジー感を出したかったのと、「何だろう?この字」と知らなかった方にも、人の積み上げる歴史の面白さを調べていただく、取っ掛かりになるかもという願いでもあります。
さらに、これらの読み方も昔は「とうきょう」と「とうけい」のどちらも二通りあったようですが、何故か次第に「とうけい」とは言われなくなります。
消えたとうけい読みについては資料を読んだ時にも、特に理由には調べあたらなかったのですが、これは個人的に思う所があります。
東京は初めは、東京府でした。
そして東京市が出来ます。
最後に両方が廃止されて、東京都となります。
これを関東弁で発音すると「とうきょうふ⤵」より「とうけーふ⤵」の方が若干言いやすい感じです。
次に「とうきょうし」はそこそこ言いやすく「とうけーし」はすらっと言えるけど、聞き取りにくい感じ。
最後に「とうきょうと」は言いやすいですが「とうけいと」はもはやキツイ。チカラが入って若干コケコッコみたいになる。
このへんが「とーけー」発音がなくなった理由では?
と勝手に思っております。
▼【三つのB】
映画などでは、三つのBを出すと支持を得やすいの法則があるそうです。
これすなわち
BABY (子供、赤ちゃん、子供)
BEAST (獣、動物、野獣)
BEAUTY (美人、素敵なおねいさん、美女)
ですね。
ディズニー作品や洋画、映画には特に多い配置ですね。
『美女と野獣』は、見事にこの配置です。ティーカップの子がメインの脇役・マスコットポジションに配置されていて可愛いを誘います。
これは『狸囃子が聴こえる』制作中に、お話どうしようか、題材は本所七不思議が良いなぁ『物見の文士』で、『狸囃子』を題材にと思っていた時に、なかなかほかの枠組みが決まらなかったので、そうだ、この3Bっぽい技にも挑戦してみよう!
と、キャスト配置を決めた作品です。
投票式のコンペのような場所に描き下ろした作品のため、取っつきやすくしたいなと思ったんですが…
実際はBABYに少女お光、BEASTポジションに長吉狸、そしてBEAUTY役には先生でよかろう。おねいさんは出ん。我慢せよ。
みたいになってしまいました。
もともと伝統的な怪奇幻想ものには人感のない人外めいた美人がロマンだよね!
小泉八雲作品とか、泉鏡花作品とかね!と思っておりまして『物見の文士』シリーズの昼行燈、夜都木先生のビジュアル設定だけは一応それに準じたものにはなっておりますので、一応これも3Bのくくりという事にてご容赦いただきたく。ね!
往復書簡ものも一度描きたかった題材でした。制作、楽しかった。
巻末に、作品主要リンクを貼って締めたいと思います。
▼マンガノさんの晏藝嘉三マンガフォリオ・単話版『物見の文士』シリーズの、主要お取り扱い電子書店様のリンクまとめです。
現在、一部ストア様にてセールもやっておりますのでこれを機によろしければ。
対象ストア様(敬称略・順不同)Renta!、Kindle、ebookjapan、LINEマンガ、dブックDMM.com、Amebaマンガ、pixivコミック、BOOK☆WALKERブッコミ、ブックライブ、auブックパス、Reader StoreU-NEXT、DLsite
『物見の文士シリーズ』作者:晏
藝(芸)嘉三あきよしみ
時代は明治初期、怪奇幻想物を得意とする昼行燈の文士の先生と、彼を取り巻く常人の目には見えない物達との不思議な日常のお話。
同『狸囃子が聴こえる』は、先生と、先生と文通をする少女とその友達の狸とのちょっぴり切ないお話です。
江戸東京の本所七不思議のひとつ『狸囃子』がモチーフの作品です。
シリーズ初出はコンビニコミック『妖怪奇聞異譚』2015年発行の『物見の文士-怪篇 酒吞童子事件-』(リニューアル予定/未電子化)です。
私が何にも縛られず自由に描くため、個人で別に働きつつ『神垣は緋』と並行して描いてますので、大変申し訳ないのですがのんびりめの不定期発刊となっております。
ので、続きはのんびりとお待ちいただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき有難うございました!
よろしければ、ほか作品もよろしくお願いいたします~!
*江戸繋がり『猫鬼の死にぞこないー晏芸嘉三江戸猫奇譚ー』
江戸時代、危険な任務中に猫を助け、一命を取り留めるも半身が不自由な身となった隠密の彪真が、異形のものとの戦いに巻き込まれる怪奇アクション。
変身ヒーローもの味のある表題作中編①~④に、短編『冥途に華の』『物見の文士ー嘘吐きー』を収録。
怪奇アクションものではありますが、ぐっとくる、感動した。というご意見をいただいております作品です。
◇note内、試し読み・コラム。
◇電子書店リンクまとめ
*怪奇系繋がり『ミケ』
「お父さんの嘘つき!ミケを飼って良いって言ったのに!」
可愛い三毛猫を保護してくるはずの愛娘リエが連れてきたのは、私達の想像とは違う戦慄の「ミケ」だった···
ある日、娘が捨て猫「ミケ」を連れてきた話。『キョーフの登場編』ほか描き下ろし『キョーフのおまけ編』を含む、全11編収録。
中盤から終盤まで読んでいくと読み手さんの何割かが「最初怖かったのに段々ミケが可愛く見えてきた···」「ミケ飼いたい···」「ミケ欲しい」「餌代いくらかかるかな…」と言い出すヤバい作品です。
また、読めないほど怖いという方も、ほぼギャグだと思っている猫好きの方も。
◇note内、試し読み・コラム。
◇電子書店リンクまとめ
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