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プロダクトマネージャーがChatGPTを活用した機能を2つ作ってわかった事

Findy IncでWebエンジニアの中途転職をサポートするプロダクト「Findy」でプロダクトマネージャーをしていますムカイ( @osk_kamui )です。

2023年3月6日に「ChatGPTエンジニアキャリアまとめβ」という新機能を
爆速でリリースし、2023年4月5日にその第2弾である「ChatGPTからインタビュー受けてみた」をリリースしました🎉

今回約一ヶ月という期間で2つの機能をリリースした経験からその振り返りをしていきたいと思います。

はじめに

お礼
まずは使っていただいたエンジニアの方々、記事として取り上げていただいたBRIDGEさん、そして関わっていただいた皆様ありがとうございました。

■ 記事を書いた背景

前述の通り、一ヶ月間という期間で2つの機能を出しましたが、AI周辺の流れの速さ、求められるものの違いなど、それぞれをきちんと振り返って次に活かしていくために書きました。

■ 対象読者

  • プロダクトマネージャーの方

  • ChatGPTやLLMを用いてサービスや機能を作っていきたい方々


🎉 エンジニアキャリアまとめの成功

前回作りました「ChatGPTエンジニアキャリアまとめβ」はTwitterトレンド入り、関連して書いたnoteは150スキ、NewsPicksでは495Picksと(もっとすごい成功はあると知りつつも)一定成功と言える結果となりました。

そして改めて振り返ると以下のような特徴があったかと思います。

■ ChatGPTの新規性と注目度

3月6日といえば連日ChatGPTがトレンドに入るほど「何かわからないが何かすごい事ができる」という感じでChatGPT旋風が巻き起こっていました。

また3月2日にはAPIが公開され、我先にとサービス開発が行われていた時期でした。まさに世は大ChatGPT時代。

そんな中、業界最速でChatGPTを活用した機能となったため高い注目度を集める事ができました。

■ SNSでのシェアしやすさ

バズがバズを生む、誰が言ったかわかりませんが前回も例に違わずSNSを見た人がまたシェアをするという構図となりました。

前回は「二つ名」という利用する人の心を(色んな意味で)揺さぶるようなものを生成する事でその面白さを演出し、またそれをChatGPTが言っているという構図がシェアのしやすさを生んだかなと感じています。

■ ユーザーのニーズに応える機能

前回の記事にもありますが、点在する情報をまとめるというお悩みにダイレクトに刺さったのも要因の一つと思っています。

当時多くのサービスが出ていく中で、課題解決にフォーカスしていたものは他よりも利用されやすい状況にあった事を考えると、Needs was all we need. だったのかなと思います。


💪 AIインタビューの伸びしろ

打って変わって4月6日にリリースした「ChatGPTからインタビュー受けてみた」ですが利用数において前回を超えることは叶いませんでした🥲
では何が違ったのか振り返ってみたいと思います。

■ 大量のChatGPT利用サービス

この一ヶ月間で数え切れないほど大量のChatGPT関連のサービスが出ました。私も日々追っていましたが途中から追いきれなくなるほどでした…

大量にサービスが出てくると情報を追いかけるのが大変にもなりますし、選球眼と言いますか、一定のもの以外見なくなっていきます。そして人々が若干の「飽き」を感じるようになった一ヶ月。というのが今の状況ではないでしょうか。

そんな中でも利用されるものを作っていくのは以前に比べハードルが高く、そのハードルを超えられなかったのかなと痛感しています。

■ 何ができるかわかってしまったChatGPT

大量に作られたということは、未知だったChatGPTが何者かわかってしまったという事でもあると考えています。

そうなるとChatGPT APIを使った機能やサービスを利用しなくても、「それChatGPTのWebから直接やればよいのでは?」といったものも出てきました。

つまりLLMやAIとしての期待値に加え、ChatGPTそれ自体以上の期待を超えなければいけなくなったのだと感じています。

■ 実用的 vs SNSシェア

今回は作成した職歴をそのままプロフィール情報として利用できるという実
用的な面を強めました。

前回設定した課題としては「点在する情報をまとめる事が面倒」でしたが、その際にわかった事として「そもそもまとめる元の職歴データがない」という方が一定いる事でした。

そして職歴を記載するという事も面倒で、何を書いたらいいかわからない、かつ魅力的に書くにはどうすればよいかわからない。というペインが存在しています。

ならばとトライした今回ですが、やはり職歴を作るという実益に寄った結果、SNSシェアはされにくい結果となりました。

ここのバランスは非常に難しく、実用的な情報ほどネタとして扱いにくいという壁を乗り越えることはできませんでした。

■ WOWまでの時間

前回は最短でボタンを押して30秒待つだけで結果が出ました。
しかし今回は職歴を作る機能のためにどうしても「AIとの対話」が必要になります。

それもあってか、最低でも5分程度かかってしまうため一瞬で「WOW」が得にくい構造となってしまいました。

ここも前述同様、実益的な結果を得るには一定時間がかかるという壁を超える事はできませんでした。

ただ実際世の中には 16Personalities のように長い質問に答えて結果を得るようなものも存在している事を考えると、このあたりを超える方法はあるのだなとも思っています。


🔍 AIを活用する上でのポイント

さて、前回と今回ChatGPTを用いたものを作った経験から、いくつかのポイントが見えてきましたのでまとめていきたいと思います。

また、ここから先はChatGPTのみを使うというフェーズが終わりに向かうため、より広くAIを使った機能やサービスを作るならここがポイントなのではないかという点で見ていきます。

■ AIなければ解決できないものを作れるか

ただAIを使えば良いという状況は既に終わりを迎えまして、「正しい課題に対してAIでなければ解決できないものを正しく作れるか」というめちゃむず総合格闘技みたいな状況になっているかと思います。

  • キーボードなしでコードが書ける

  • デザインカンプをアップロードするだけでコーディングが完了する

上記2つは最近発表されたものですが、めちゃくちゃ良いですね??
そして、もちろんAIでなければ解決できないものになっています。解決すべき課題も明確。完敗。

ではAIインタビューはどうだったかと振り返ると、声で操作も可能ですし、対話の返答もChatGPTが考えてもいます。しかし本当にAIでなければ解決できない箇所はどこか?と聞かれると最後の職歴作成の部分にどうしてもなってしまいます。

つまり機能の2~3割程度にAIが絶対必要で、それ以外はAIでなくても良いのです。そういう意味だと利用した時の驚きや利便性も機能の2~3割に留まってしまったというのが反省点になります。

今後はこの正しい課題に対してAIでなければ解決できないものを正しく作れるかという事を念頭に置きながらサービス開発に向き合いたいと思います。

■ このスピードについていけるか

そして次にスピード。人類史上最速と言っていいほどAI周りの進化が早いです。

ChatGPTのAPIが公開された3月2日から、わずか一ヶ月で「APIを叩いて活用する事」から「内製LLMをどうしていくか」「どういったデータを利用するか」「法整備はどうなるのか」と寝て起きたら世界が変わっていると言っても過言でないほどに進みが早いです。

もちろんまだまだAPIを活用したサービスは登場していくと思いますが、もうほとんどの個人/企業が次の未来を見据えて動いていっているのではないでしょうか。

ここまで早いとそのキャッチアップも大変ですし、もしかしたら今日作ったものが明日には過去のものになるかもしれません。その時に作ったものを壊し新しい方に舵をきれるかなど、ハードな意思決定も瞬時に必要となってくると思います。

そのため技術進化のスピードもそうですが、それに関わる私達自身もスピードを上げていかないといけない状況かと思います。

■ そして続ける事ができるか

最後はやはり継続できるかどうかです。進化が早いぶん、失敗しても成功してもすぐに次のチャンスが回ってきます。その時に何かした人と何もしていない人では雲泥の差がついていくと考えています。

もちろん私も今回の成果を見てAIの活用を辞めることはありません。むしろ作った人間にしか見えない景色というものが見えているのではないかと思います。

UXでの解決や業務知識をフル活用して最後のラストワンマイルの部分で勝負を挑むという考え方にしようと思います。そういった観点からは、従来の概念にとらわれないアプローチが重要だと言えます。

具体的には?

今は「おもちゃじゃん」と言われてしまうようなものをどんどん作っていきたいと思っています。5年後に振り返ると100個の失敗を経験して1つ大当たりを狙いたいと思っています。

https://thebridge.jp/2023/03/how-startups-should-prepare-for-the-era-of-chatgpt-interview-w-yoshinori-fukushima

そしてLayerXの福島さんも仰られている通り、従来の概念にとらわれないアプローチをしながら、この時代を楽しんでいきたいと考えています。

また、続けるためにも1人で戦い続けるというのはけっこう大変です。そのためにも一緒に楽しむ仲間を巻き込んでいけるかというのも重要になってくるとも感じています。


まとめ

今回2つの機能を振り返ってみて、その違いやこれからどうすべきかという点について書いてみました。

まだ始まったばかりのGAI時代の波にうまく乗りながら「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョン実現に向けて邁進していきたいと思います。

最後となりますが、Findyでは共に未来を作っていくプロダクトマネージャーを募集しています。


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