Designship 2024「事業貢献とデザイン生産性」 書き起こし
こんにちは、ファインディでデザインマネージャーをしていますムカイ( @osk_kamui )です。
本記事は2024年10月12日に開催されたDesignship 2024のDay1のメインステージで登壇した内容の書き起こしになります。
はじめに
こんにちは、ファインディの向と申します。今日は事業貢献とデザイン生産性というテーマでわたしの物語にしばしお付き合いいただければと思います。
早速なのですが、まず2つ質問させてください、事業貢献してるぞ、というデザイナーの方はいらっしゃれば挙手いただいてよいでしょうか。
また別の質問でデザイン生産性という言葉についてご存知でしょうか。
ありがとうございます、挙手いただけた方是非後で色々と教えてください。
それ以外の方には、今日のお話しが少しでも参考になれば幸いです。
本日お話しする内容はこちらになります。
早速本題に行きたいのですが、まず話し手である私が誰かという所と会社の紹介をさせてください。
改めまして、ムカイと申します。生まれも育ちも大阪淀川、就職と共に上京して参りました。
最初の就職先は面白法人カヤックという、ちょっと変わった会社にエンジニアとして入社して、開発やりながらも企画とかデザインとかしてました。また前職は教育系の会社だったりもしてかなり振れ幅が大きい中で、22年の1月からファインディにジョインしてプロダクトマネージャーとかデザインマネージャーをしてきております。
次に会社の紹介になるのですが
「つくる人がもっとかがやけば、世界はきっと豊かになる。」ということで作り手にフォーカスした経営理念を掲げています
ビジョンとしては「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」ということで、つくり手の中でもイノベーションに近いという点もあってエンジニアにフォーカスしています。
そのために4つの事業を展開しておりまして、エンジニアのペインに向き合い、現在全社員300名デザインそしき11名というところでデザインを武器にしたビジネスマンを目指してペインを解決していっています。
さて、ここからが本題となります。
今回お話しする内容ですが
「事業貢献とデザイン生産性」ですが、実はかなり行間がありまして、実際は
「デザインで事業貢献すると腹を括ってから試行錯誤した結果、デザイン生産性にたどり着いた話」です。
なぜ事業貢献しようとしたのか、どう事業貢献に向き合ってきたのか、血と汗と涙、友情努力勝利の前日譚を是非お楽しみください。
ちなみに、本日ほぼこのスライドから動きませんので、是非話にフォーカスして聞いていただければと思っています。
明日からデザインチームお任せできますか?
遡る事21年12月、サンタの足音が近づいてきて、みなが浮き足立っているような時期だったかと思います。すでにプロダクトマネージャーとして業務委託で関わっていました。
ある日、マーケティング部のマネージャーから呼びだされました。
マーケティングとプロダクトといえば、プロダクトマーケの話かなとと思い聞いてみると、開口一番「明日からデザインチームお任せできますか?」と言われました。
私こう答えました「わかりました」と。
プロダクトマネージャーとして良いものづくりのためにはデザインチームも管掌できることは重要と捉えていたため、やったぜという気持ちが大きかったです。
ただこの時、デザインと事業貢献を推進することがどれだけ難しいは知る由もなかったわけです。
成長&成長
次に成長&成長という話に移るのですがファインディ、今もそうなんですが、成長が早いです、過去数社経験してきましたがその中でも早い。
事業成長はもちろん、人の数、組織の拡大、また自分自身に求められる成長もあり、まさに「成長&成長」という状況でとても良い環境だなと感じました。
ただ、ここ成長の真っ只中で、ある違和感に気づく事になります。
そこか次の章へつながります。
置いていかれるデザイン
会社が成長し、自身もそれに応じて成長を求められている中、デザインに関する話がどこからも出てこないのです。
なぜだろうと考えた結果、シンプルに事業と遠かったんですね。
ただし、これはデザイナーや組織が悪いのではなく「事業へのコミットメント」がなければ全ての人起こりうる事なのです。特にデザインは遠くなりがちという話なんですね。
その上、デザイナーへの期待値が悲しきかな当時は表層であり、情報設計や戦略において期待されにくい部分があります。
この距離をどう詰めていくか、が私の戦いになります。
腹の括り
そして、その置いていかれることが続くとどうなるか、確実に事業貢献、ユーザーへの価値貢献においてボトルネックになるという事です。
デザインは本来エンハンスするものなのにボトルネックになっていてはしょうがないと。
会社の経営理念、ビジョンを実現するために入った自身によってデザインチームが事業成長の足枷になり、ビジョン、経営理念の実現が遅れるという事はあってはいけない、と考えたわけです。
そこからは、デザインチームのリーダーではなく、マネージャーとしていかにデザイン組織をマネジメントし全社貢献していけるのかにコミットしていきました。
私の中では「CDO行脚」と呼んでいるのですが、何名かの方に相談させていただいたり、特にVISIONALの田中さんには非常にお世話になりました。
また、名著である「デザイン組織のつくり方」を読んでは実践したり、採用を強化し優秀なメンバーにジョインしてもらったり、コミュケーションデザインとプロダクトデザインをわけて専門的な戦い方をしたり、はたまた「かけはし」と称して他事業部との定例を持ったり、データにできそうなものは見える化しみたりと。
色々やってきました、一部はcocodaさんに記事化されているので是非ご覧いただきたいのですが、どうすれば事業貢献に近づくかという事を考えアクションしてきました
ただ、腹を括りつつも、なかなか成果は出ないなと、どうすれば成果に繋がるのかなと色々と考えていた時期でもありました。
デザイン組織後発の難しさ
とにかく事業成長が早い、というお話をしましたが、成長が早いという事は人が増えるという事です。
つまり、良いデザイナーメンバー増えても事業部にも人が増える、またデザイナーが増えると、事業部に人が増える…と。
そして、みなさんご存知の通り人が増えれば良いと言う事ではなく、新しい方へのオンボーディング等々と追いつけ追い越せという形でやってきました。
いかに腹を括ろうとも、それだけではうまくいかないというのを痛感しておりました。
デザインチーム meets デザイン生産性
そんなる日、弊社の提供しているサービスであるtoB SaasのFindy Team+が目につきました。
このサービスはレビュー時間やアクション数などの行動ログから開発生産性を可視化し改善や自己組織化などのアウトカム、いわゆる事業貢献をゴールにしたプロダクトになっています。
もちろんそれを社内で使っているのですが、みなが自身のパフォーマンスを可視化し、それを元に上長や周りの仲間と話したり、経営が開発組織の健全性を知るためにも使っていました。
以前からあるプロダクトなのでこれまで意識はしていなかったのですが、デザインでどう事業貢献をするかと考えていた私には、電流が走るわけです。
そう、経営が見ているんですね。
さらに開発生産性にはレベルが1から3までありまして、それぞれ
Lv1が仕事量の生産性
Lv2が期待付加価値の生産性
Lv3が実現付加価値(アウトカム)の生産性
とまさに私が求めていたものでした。
その考え方をデザインに転用することで今まで可視化や事業貢献に向けたアクションが線でつながりました。
まさに今回のDesignship 2024のテーマと同様に「広がりを繋ぐ事」ができました。
そこからはデザイン生産性の観点で考えるとどうか?という問いを組織、施策、人とできるようになりました。
効果的効率的にデザインができているか、それが個人ではなく組織だとどうかといった生産性の観点から携わるプロジェクトの予測と実績を回収し、期待効果をきちんと見るなどしています。
それらを用いて直近では事業に必要なデザインの予測を事業部や管掌役員と共に立て、そこに対してどうデザインが関わっていけるかという戦略から話をする機会も増えてきました。
おわりに
長い期間、事業貢献とデザインについて頭を悩ませていましたが、やはり事業貢献するにはいかに経営に近づけるか、という事は避けて通れないと気付かされました。
そのため私はデザイン生産性を用いて、デザインと経営(事業)をつなぎました。
ただし、みなさんご存知の通り、生産性が全てではありません。あくまでひとつの手段でしかありません。
ただ、今回の話を通して、デザイン生産性という取り組みや、考えるきっかけになると良いなと考えていますので、是非みなさんも考えてみていただければと思っております。
ご清聴ありがとうございました
今回このような素敵な舞台で登壇できた事を大変嬉しく思うと同時に、まだまだ未知半ばな「事業貢献とデザイン生産性」をもっと推進していかねばと改めて思った次第です。
是非ご興味ある方は、お気軽にご連絡ください!