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数字と共にファインディデザインチームの24年上期を振り返る

こんにちは、ファインディでデザインマネージャーをしていますムカイ( @osk_kamui )です。

※約6,400文字あります、長いです。

弊社は7月からは下期となっており、上期が終わったということで振り返りのポストとなります。(今年もあと半分…!)

ちなみに23年の振り返りはこちら


大事な前提

ファインディのデザイナーの役割は「事業成長をデザインの力でサポートしビジョンの実現を早める」です。

デザイナー採用資料より

ビジョンを実現していくために、心を動かす表層、それを作るための情報設計や戦略など、デザインの力の使い所は、至る所にあります

ただ、「我々がデザインしたものは果たして誰かの課題を解決したのか」「我々はデザインをうまくやれているのか」といった点を感覚的に把握するのは難しく、それを把握する1つの方法としてファインディでは「数字」を使うようになりました。

数字で見るようになってからは、我々のデザインがちゃんとワークしているかという事が良い悪い含め明らかになってきており、また同じものを見ながら議論できるようになり、より実りある振り返りや社内外に対しての説明など多くの点でメリットがあり、その効果を実感しています。

もちろん目的と手段が入れ替わり「数字」を追う事がゴールになってしまっては元も子もないのでその点は非常に気をつけつつ、デザインの力を証明したいからこそ、ファインディのデザインチームではきちんと数字と向き合う事をしています

前置きが長くなりましたが以下本編となります。

総評:ネクストステージ来ちゃったネ…◎

23年に比べチームの規模はそこまで拡大できなかったのですが、より筋肉質になりOpsの改善を行いスピードとクオリティを高める事ができ、いよいよ本格的に事業貢献ができる準備ができました。

24年上期の戦略

23年は採用を強化し、仕組みを整えながら組織としての体を整える事ができました。そこからより事業貢献を目指し上期の戦略として「デザイン面から効率的/効果的に事業に貢献する」を掲げてきました。

上記を実現するための伸び代として「締切への意識」や定性的ですが「効果を意識できているか」といった点があり、それらを実現するために各事業にフォーカスしやすい体制や、チームKPIを意識できる状況、さらなる業務効率化を図る必要がありました。

行ったアクション

  • 事業担当制への変更

    • コミュニケーションコストとスイッチングコストの低減

  • Dailyシートの誕生

    • 日々のMTGやTODOをスプシに自動生成、やる事を明確に

  • 月次振り返りのアップデート

    • 定性だけでなく定量でも語れるように内容をアップデート

  • 週次振り返りの導入

    • さらなる成長を求めて週次で伸び代を埋めていく

といった感じで、効率的/効果的を主眼に置きながらアクションを推進してきました。

なぜ上記のアクションを行なったかというのは文中で詳細に説明をさせてもらうのですが、「やった」だけではなく結果がどうだったのかという点を記載するために数字と共に振り返っていきたいと思います。

※23年の対象数値は計測開始期間から

数字で振り返る24年上期

依頼数:146%増

23年平均:83件 / 月
24年上期平均:121件 /月(146%)

事業が急速に成長し事業部のメンバーが増えている事が最大の要因ではありつつも、23年から実施してきた「かけはし」(事業部との定例)に加え24年から取り組んだ「事業担当制」が大きく寄与したと考えています。

23年時点で行っていた「かけはし」ですが、当時は事業部担当制ではないために、この先起こることはヒアリングできても、デザインチーム側では事業状況とうまく紐づける事はできていませんでした。その結果、心の準備はできても、施策をそもそもやるべきか否か、どう作ると最もROIが良いのかまでは考えられていませんでした。

そこから事業部担当制に変わり、「かけはし」(詳しくは以下の記事にて)ではより深い事業状況や優先度を鑑みつつ、デザインチームから「やること」を引き出す事ができ、事業と並走するデザインチームとして信頼され依頼数増加にも繋がったと考えています。

冒頭に書いた事業部メンバーの増加だけが要因ではないという背景には、デザインが浸透していない組織(=デザイナーの信頼に伸び代がある組織)ではそもそも「デザインを依頼しよう」とならないという経験を過去にしているのも大きいです。

アウトプット数:164%増

23年平均:67件 / 月
24年上期平均:113件 /月(164%)

23年末から24年上期は若干メンバーの入れ替わりが発生し、チーム全体として人数は大きく増加となりませんでした。しかしアウトプット数は164%増と大幅な躍進を遂げました。

ここも最大の要因は事業部担当制となりますが、加えてDailyシートの誕生があります。

まず事業部担当制の功績としてスイッチングコストとコミュニケーションコストの低減があります。施策も地続きとなるためコンテキストを共有した状態はスピードを早めてくれました(属人的になった、とも言える)

またDailyシートですが、これは各デザイナーが今やるべきTODOリストが毎朝自動で生成される仕組みとなっています。

事業部担当制になったとは言え、前述の通り依頼数は増加していく中では1人あたりが抱える施策数は増えていきます。そういった状況で今自分が何をすべきかを判断する時間も増えていくのは自明でした。

そこで、施策のデータは全て管理されているためそれを「今日やる事」として自動で生成されるようにしました。

これにより日々やるべき事を管理するコストが大幅に下がり、デザイン業務に集中できるようになりました。

ある日のDailyシート

スピード:128%増

23年平均:69%
24年上期平均:89%(直近2ヶ月は93%)

スピードとは何かという話はとても難しいのですが、ファインディのデザインチームでは24年上期は「締切遵守」という言葉を使ってスピードの話をしていました。

締切を守るのは当たり前では?という質問をいただく事があるのですが、それは仰る通りで、その大前提がありながら弊デザインチームでは定義として「ステークホルダーと合意した、スピードとクオリティのバランスを鑑みてROIが最大化される締切に対して100%コミットする」という考えでいます。

23年末までは、以下の伸び代がありました。

  • ステークホルダーとコミュニケーションが取れておらず

    • 厳しい締切のまま進めてしまい、結果締切を守れない

    • チェックなど実デザイン以外で時間がかかりで締切を守れない

  • Opsができておらず、本来完了していたものが完了となっていない

大きくはステークホルダーとのコミュニケーション不足があり、特に優先度に関して勝手に「優先度高いだろう」と考えてしまい無理をするという事が度々ありました。またそういった施策が増えてくるとOpsがつい抜けてしまい、実態と数字が乖離することにつながっていました。

23年までは事業部横断のアサイン形式をとっており、1人のデザイナーがやりとりするステークホルダーが定まっておらず非常に高いコミュニケーションコスト(とスイッチングコスト)がかかっていました。

そこで、事業部担当制にしてコミュニケーションの範囲や責任範囲を小さくする事でコミュニケーションコストを下げる事を行いました。

また事業部担当制にした事で各事業を今まで以上に知る事ができ、先ほど伸び代に上がった「優先度」への言及や把握をしやすくなり、お互いクリアな状態で施策を進める事ができるようになりました。

その結果、ステークホルダーと合意した締切の遵守率の向上を行う事ができました。

ですがまだ我々の力不足な点があり100%が実現できてないのも事実です。例えば、プロジェクトのサイズが大きいと不確実性が高くなるためマネジメントしきれていなかったり、業務委託の方とのコミュニケーションに伸び代があったりと、ラストワンマイルという点は引き続き下期も改善に勤しみたいと考えています。

クオリティ:106%〜125%増

23年末時点:76%(総合スコア)
24年上期:87%

弊デザインチームでは3カテゴリ計30項目をチーム内でフィードバックしあい、点数をつけてクオリティを定量的に測っています。(100% = チーム全員が良いと判断している状態)

23年時点では取り組みを始めたこともあり数字のブレも大きかったのですが、徐々にフィードバックからのアクションを繰り返し数字の改善を行う事ができました。

具体的なアクションとしては、事業部とのヒアリング項目の見直しや、繰り返し使うものはアセットを作成、また項目の見直しも行なっています(1度ユーザーゴールが大きく低下している所が該当箇所になります)

下期は引き続き高いスコアのものは維持しつつ、やはりユーザーゴールが伸び代であるため、事業部と共に誰に何を提供するかをすり合わせ、課題を真に解決するデザインをしていければと思っています。

チームの負荷:全体では3.5だがチームで差分あり

依頼も増え、アウトプットも増えた状況の中、チームの負荷はどうだったのでしょうか。弊チームでは負荷状況を1~5(数字が高いほど負荷が高い)で毎日入力してもらい、その平均を週単位で見ています。

上記のように、コムデ/プロデそれぞれで負荷の上がり下がりが見てとれ、カンファレンスや大型のリリースがある際は負荷が上がっています。

そして半年運用してみて「平均4」(4の定義:1日の予定がいっぱいで空きがない)が1つの分水嶺となっており、ここを超えると何かしら対応が必要なレベルであり、チーム内で優先度を組み替えたり事業部とのコミュニケーションをとってきました。

このように、よりスピードと質を上げるために適切な負荷をかけつつも、定量的に(もちろん定性的にも)計測しながら進めてきました。

下期はあらかじめ4以上となることを想定しつつ、事前に対応をとれるような仕組みなどを模索していきたいと考えています。

採用:4名が新たにジョイン

4名(コミュニケーション1名、プロダクト3名)の仲間が増えました。以下は素敵な仲間の入社エントリです。

発信:進捗25%程度

  • note 16本

  • 外部記事 1本

  • イベント登壇 1回

  • 採用資料のアップデート 2回

想定をかなり下回る結果となりました 🥲
日々実務を通してナレッジが溜まっていくのですが、それをアウトプットできていないのはチョトツライな状態なので下期はより発信できる組織にしていきます。

一方で、下期はDesignship2024へのスポンサーやイベントがすでにいくつか決定しているため、そちら含め対外的な発信は増えていきそうです。

作ったものを振り返る

24年上期、約730のアウトプットの中から厳選してお届けします。(時系列順)

新卒採用サイト

新卒に力を入れ始めるという事でコンセプトやメッセージングからデザインTが関わりました。

Fine-day 2nd half of FY23

前回に引き続き全社総会のクリエイティブはデザインTで担当しました。担当デザイナーのnoteもありますので是非ご一読ください。

Findy マイページリニューアル

エンジニアのキャリア支援のためにイベント情報やテック記事など、より有益な情報提供が開始され、それに併せてマイページのリニューアルを行いました。

Findy Tools

ファインディの新サービスとして2月にリリースされ、そのプロダクトデザインを行いました。開発ツールのレビューサイトというもの自体があまり多くなく、POと膝を付け合わせながら議論とデザインを繰り返しています。

挑戦IPA / 開発生産性IPA

ファインディ初となるIPAは「挑戦」と「開発生産性」をテーマにつくられました。イベントなどでお出ししているのですが、皆様からは好評で、とてもファインディ「らしい」アイテムができたと思っています。

オフィス移転

5月にオフィス移転が行われ、デザインチームも非常に多くの点で関わりました。また移転後も日々改善が行われどんどん良いオフィスになっていっています。

開発生産性Conference2024

昨年の3倍、2000名以上の申し込みとなった開発生産性Conference2024、今回もクリエイティブに関わる点をデザインチーム一丸となって作り上げました。(詳細は後日noteが出るハズです)

改めて23年に言っていたことを振り返る

引き続き素敵な仲間に来てもらい組織を倍へ:△〜○

素敵な仲間にジョインいただく事ができたのは花丸ですが、24年末に目指す目標にはやや遅れをとっている状態となります。

ただ、上期を通して自分たちの強み弱みは何かを認識する事ができたため、下期はさらに採用を加速させ目標の組織へと邁進していきます。

可視化をさらに進め、質/量ともに最大化を目指す:◎

スピード、クオリティ共に23年末から着実に成長し続け、この上期は満足いく結果になったかと思います。

一方で、まだ可視化できる点もありますし、質/量最大化 = ROI最大化という点ではまだまだやれる事が見えてきたばかりです。

下期はさらに事業貢献を行うためにより一層力を入れていきたい所存。

事業伸長をデザインの側面からアプローチする:△〜○

スピード、クオリティを上げた結果、事業の検証を早く実行できたり、伝えたいメッセージを確実に届けるといった事ができるようになりました。

ただし事業状況を反映した思考にはなりきれていないため、ここが最も伸び代が大きく、下期最も投資したい箇所になっています。

24年下期の戦略

24年上期をふまえ、下期の戦略は以下となっています

24年下期デザインチーム戦略資料より

締め切りやクオリティという面では、上期に数字をちゃんと伸ばす事ができました(再掲) 🎉
また、属人的ではなく仕組み化(Daily、チェックリスト運用、コムデート等)がなされており、再現性もある程度持てている状態。
次に向かう先は「さらなる事業貢献」です(開発生産性Lv2

そのためには、今行なっている「締切遵守」や「高い質のアウトプット by コムデート」のみならず、事業観点を持ちながら事業にとって本当に必要なアウトプットができているか、それを追えているか(計測できているか)がとても重要になってきます。

24年下期デザインチーム戦略資料より

ちなみに開発生産性Lv2とはエンジニアの領域において提唱されている生産性の段階の2番目になります。(1番目は仕事量の生産性)

期待付加価値の生産性です。これは、仕事量だけではなく個々の施策がどの程度プロダクトにとって価値があることなのかを踏まえて評価したい場合に使います。

開発生産性について議論する前に知っておきたいこと より

数字でも出ているように、生産性という意味では躍進を遂げた上期でしたが、個々の施策の価値についてさらに考えるためにはビジネスマンとしての能力をもっと伸ばして行かねばと考えています

  • 質の高いドキュメンテーション

  • 事業戦略や日々の数字の理解

  • クリティカルシンキングなどの本質思考

ですが、「デザインを武器に」という大前提があるため、今まで通り情報設計や表層部分など、これまで培った武器は引き続き使いつつも、ビジネスを掛け算していき事業貢献を目指していきたいと考えています。

おわりに

数字で24年上期を振り返ってきましたが、改めて計測し可視化している事は素晴らしいなと感じています。

下期はここからさらに全員がより数字を意識しつつ事業貢献をできる組織にしていきたいと考えていますので、私たちと共にデザインの力で事業貢献をしていきたい!という方がいたら是非お話ししましょう。

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