【エッセイ】ネバーギブアップ!ポケビ&ブラビ
2024年1月も終わろうとしているが昨年の大晦日から元旦、そして今にいたるまで今までにない時間感覚を味わってきた気がする。
元旦の緩みきった独特のいちにちが地元石川県の能登半島を震源とする大地震でめちゃくちゃにされてまだその月が終わってない。
長くもあるし、それでももう2月がくるのかとも思う。本当に不思議な感覚だ。
正直、極端なことをいえばまだ新年をはじめられてない気もしている。どこかでポツンと置いていかれたような。時々そんな虚しさに陥ることがある。
そんな日々の中で中学生の甥っ子が「紅白でポケットビスケッツとブラックビスケッツが一番面白かった」と話してくれた。何気なくさり気なく私にそう言ってくれた。
私は紅白を観ていなかったが「うたコン」の紅白ダイジェストでちらっと当日の映像を観た。
なんとも懐かしくて、きっとそれなりに変化しているだろうけど目に飛び込んできた千秋もビビアン・スーも、キャイ~ンの二人も、そしてウッチャンナンチャンもあの中学生の頃のままだった。
中学生の私が観ていたポケビとブラビと今中学生の甥っ子が観ているポケビとブラビがリンクしていることに言葉にならない感慨深さがこみあげてきた。
『ウッチャンナンチャンのウリナリ!』というバラエティ番組から誕生した両グループ。
紆余曲折あったことは朧気に記憶されていて、その詳細をWikipediaで確認すると過酷なドラマが展開されていたことに改めて驚いた。
私の記憶の片隅には巨大な鉄球?か何かでテープ(音源)を破壊している場面や千秋がとにかく泣きまくっている場面、そしてなぜか室井滋が歳をさばよんでフィリピンだったかのステージでアイドルとして歌って踊っている場面が残っていた。
当時から番組から誕生する音楽グループブームは多くみられるようになったように思う。
数年後の『クイズヘキサゴン』なんかが典型的な企画系歌手量産型番組と化していた。
さて、我が思春期のポップコンテンツ、ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツに話を戻そう。
歌に興味を持つことが大人への第一歩みたいで初めて買ったCDは何だったのかを思い出していた。
中学校に上がった頃、母親に連れて行ってもらったCDショップ。
そこで何を買っただろう。
たしか初CDは2枚買ってもらった。
JUDY AND MARYの「そばかす」と、ともさかりえの「エスカレーション」だった。
「そばかす」はアニメ『るろうに剣心』のオープニングだったからという理由だが「エスカレーション」はなんでだろう。
ただなんとなくでもあの曲調とともさかりえの少しアンニュイな年上の歌声に惹かれたのだと思う。
そしてお小遣いを貯めて500円でも買えたポケビのCDを買ったのだ。
あの頃はマキシシングルでもなくまだ短冊型の8センチシングルだった。
ペラっとめくれば歌詞が書かれていた。
千秋のダイナミックでパワフルな歌声が耳心地よく「ウリナリ」での孤軍奮闘ぶりを重ねては同じ時を共有していたのかもしれない。
思春期少年の追体験アドベンチャー(なんのこっちゃ)
頑張れポケビ!頑張れ千秋!
そんな小さなエールは私だけでなく日本中からあがっていただろう。
ふと、歩きながらポケビの「Rapturous Blue」が聴きたくなりスマホで聴いてみた。
500円で買った中学生の懐にも優しいポケビのCDだ。
30年前なんて思えない全く色褪せてもいない新鮮な歌だ。
一気にあの頃が蘇ってきたが、斬新で懐かしさというより発見が勝った。
え?!こんなクオリティ高かったっけ?
これが本音だった。
ポケビブームは加速していった。
2ndシングル「YELLOW YELLOW HAPPY」はミリオンセラーを記録した。
そしてこの歌が2023年の大晦日、紅白歌合戦で歌われた。
もちろん今の中学生どころか10代、20代の若者は初めて聴く歌でも不思議ではないのだ。
まっさらな状態で「あれ?ウッチャン?」から入ってもおかしくない。
それでもこの歌をいい歌だと感じてくれて一番印象に残ったのであればなぜか私も嬉しくなるというものだ。
時が経っても、時代が変わっても、あの頃良い歌だなと思った歌は今も良い歌なのだ。
それは本当に嬉しいことなのだ。
余談だがポケビの育成ゲーム(たまごっちのパチモン)の難易度が異様に高かったことも併せて記しておく。