10/44 The Baby-Sitters Club

私は中学生や高校生の時に、"ビバリーヒルズ高校白書"を毎週熱心に見ていた。登場人物は全員美男美女、オシャレで自由、おまけに高級車を運転して通学するといった彼らの生活スタイルに、アメリカの高校生と日本の高校生は全く違うとショックを受けた。

黒に近い紺色のセーラー服を着て、毎日をただ時間を潰すように生きていた私には、ドラマに登場する誰もがキラキラしているように見えた。

私とは違う高校生の姿を観て、アメリカへの憧れが大きくなり、「いつか私もアメリカで生活してみたい!」と強く思っていたことがある。

だから今、私はアメリカにたどり着いたのかもしれない。

アメリカのドラマは、登場人物を通して、社会問題になっていることを考えさせることが多い。薬物やアルコール中毒、自殺、家庭環境、人間関係、過激なダイエット、セックス、進路、その他。深刻な問題をリアルに見せる。この問題はテレビの中の過激な世界ではなく、アメリカでは身近にある問題なので、ドラマを通じて家族で考える機会になっているのかもしれない。

これらのことは日本で育った私には、学校や家庭でタブーとされていることが多いため、ドラマを観て自分と違う社会を知ると共に、自分ももしかしたらこういう問題にいつか直面するかもしれないと、考える機会になったと思う。

何が私の答えか、はっきりしたものはなかったが、多様な考え方に触れたことや、答えは出なくても考えたことは、私の考え方を広め、相手の立場になることを学ぶ経験になったと思う。

本日紹介したい本は、

『The Baby-Sitters Club』Ann M. Martin著

この本は、1986年から2000年までシリーズとして出版されていたベストセラー本。

私はこの本のことを、今月のはじめにNetflixのオリジナルドラマとしてリリースされたことで知った。試しに1話観てみたら、すっかり中学生の主人公たちのキャラクターに魅了され、シーズン1の全てのエピソードを見終えた。

コネチカット州に住む中学生は、ふとしたことがきっかけで、同じ学校に通う大の仲良したちでThe Baby-Sitters Clubを結成する。

もちろん、会社をつくったからといって一筋縄に行くわけはない。

結成したと思ったら、競合相手の出現、採用の問題、サービスの内容、病気、人間関係、移民としての文化や自分のルーツ、家族について、自律、自由や権利の獲得について、全てのエピソードで彼女たちは持ち前の個性を発揮し、大人顔負けの意思決定や問題解決のための行動を勇敢にしていく。

中学生という、一般的に子供と大人の真ん中くらいのちょっと頼りない世代に見えるけれども、実は中学生になれば十分に判断をすることができる見識を身に備えていることを、大人も分かっているから、このドラマを私は現実味を感じて観たのではないかと思う。

あまりにも面白かったので、アメリカ人の友人にもこのシリーズを知っているか聞いてみた。

この本が出版された1986年頃に学生だった人々は、夢中になって読んだそうだ。このブームは長く続き、それぞれがお気に入りの主人公になりきって遊んだようだ。

ちなみに、私が聞いた友人は、クリエイティビティがずば抜けてあり、ジャンクフードが大好きな日系アメリカ人のクラウディアが大好きだったそうだ。

私もクラウディアに親近感をもった。彼女になりたいと思った。アメリカで育ち、この本を読んでいたら、きっと彼女になりきっていたと思う。

ずいぶん前になるが、英語を教えているアメリカ人の友人が、英語の本を読む練習をしたかったらこの本がいいよと紹介してくれたのもThe Baby-Sitters Clubだった。

彼女たちは、中学生でビジネスを立ち上げたという点は、一般的な中学生とは違う。しかし、直面する問題については、実は今も昔も変わらない。スマートフォンやSNSといったテクノロジーがない時代も、便利になったと言われる今も実は人間の悩みや直面する問題は変わらない。そして、大人になった今も同じような悩みを抱えているかもしれない。

「私もこんなことを考えていた!」懐かしさに浸るのもよし、

「なるほどなぁ」と新しい発見をするのも楽しい。

英語の勉強の教材にするのもオススメ。

日本でこの番組をNetflixで今観られるかどうかは分からないが、私はこの番組も本も大人に紹介したい。

なぜならば、「世の中こういうものだから。」と言った、一種の諦めや世に流される感覚が彼女たちには全くない。これはテレビだから、本の中の世界だから。で終わらせたくない。

今、世界が同時に物凄いスピードで変化している。このような時代だからこそ、彼女たちの果敢な姿勢や奇抜なアイディアは大人が 身につける必要がある。そして、その奇抜なものを持っている人を受け入れる寛容さが必要な時代がとっくに来ているからだ。

もし今、何かに悩んでいたり、クヨクヨと考えることがあったら、彼女たちの姿勢があなたの問題解決に繋がるかもしれない。




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