9/44 オニババ化する女たち

すごく怖いタイトル。

吉本ばななさんの本の中でこの本を知った時、怖いもの見たさ半分、そして、このタイトルは核心をついてると、ドキッとした気持ち半分で読んでみた本。

『オニババ化する女たち〜女子の身体性を取り戻す〜』三砂ちづる著

男女均等と言われるようになり、長い歴史の中で女性たちは戦ってきた。男性のようにがむしゃらになって働き、家庭を守ってきた。今でもこの歴史は続いている。

遠い昔に主張してくれた女性がたくさんいたから、今の女性は以前とは比べて良い環境で過ごすことがでいている。完全とは言わなくても。しかし、完全に解決する日は来るのだろうか?完全という世界は永遠にはこないと私は考えてる。そもそも男性にも女性にも完全な世界など、私には想像できない。

近代化が急激に進み、私は母の時代、祖母の時代とは全く違う世界で過ごしている。テクノロジーの恩恵でかなり快適な生活を送ることができている。しかし、人間の体や心は、テクノロジーの進化とは別で、祖母の時代やその前とは大して変化していないのでは中と思う。

確かに、高品質な栄養を取れるようになり、平均寿命は劇的に長くなり、背も高くなり、足も長く顔も小さくお人形のようにキレイな男性も女性も増えてきているが、本質の部分は変わらないのではないか?

昔の女性は、出産を病院ではなく自宅で一人または助産師さんと静かに快適に過ごしていたそうだ。今のように、痛い、怖いといったイメージは実は最近までなかったようだ。また、女性の体の変化についてもタブー視ではなく、親から子へ、そして地域で受け継がれていたそうだ。だから、何があっても慌てることなく、自分の体の繋がりや変化を本能として、また自然との繋がりがある神秘として受け入れていたそうだ。

以前に、私は同じような話を知っている人から聞いたことがある。そして、その話を聞いて「なんて素敵なんだろう。女性として生まれて良かった。」と誇りに思ったことがある。

近代医療の恩恵を受けることは決して悪いことではない、むしろ、歓迎することだと思う。同時に、近代化に偏りすぎ、本来持っている本能を無視していいのか?と疑問に感じる。

著者は本能の部分と、近代化と共に、女性の意識がどのように変化したかを独自の調査により言及している。

このタイトルのように、確かに女性は”オニババ化”していると思う。女性はというと反感を買うかもしれないが、確かに私は”オニババ化”していることを否定することはできない。何でもないことで怒ってみたり、主張してみたり、自分でも「そんな反応はいらないよ。」と思いながらやっている。そして、”オニババ化”反応の後は疲れ切っている。

男性に負けずに成果を出すと頑張っていた時、誰も勝ち負けなんて気にしていないのに、勝手に無意識に自分で敵対視したり、認められたいと頑張っていた時、私の女性ホルモンや本能は正常に機能していなかったと今は思える。病気の診断を受けた時、私の女性ホルモンは悲鳴を上げているとは思っていたが、それを受け入れることはできなかった。また働き盛りの私たちの世代の女性では、子宮、卵巣、妊娠、出産といったことで度々不調や問題を抱える人も増えている。

ありがたいことに、”女性の時代”と言われることが増えた。このような時代だから、男性と比較したり、または男性と同化することなく、女性の体と心、本能の部分を前向きに自分で受け入れたら、もっと女性は輝くことができるのではないか、またもっと社会で活躍できるのではないか?と思うことが度々ある。

女性の体について、男性に理解して欲しいという女性も多いが、それは難しいのではないかと思う。男性と女性は全く違うのだから。そして、女性の中でも全く違い、全員違うのだから。私は、お互い違うということだけ理解し合えれば十分なのではないかと思う。

私は女性が女性の本能をタブー視しないで、それを前向きに受け入れたら、声を上げなくても活躍できるのではないかと思う。

もちろん、仕事や家事で無理することもあるだろう。そもそも私を含め多くの女性は完璧主義なのだから。でも、女性の本能を意識すれば、無理した時にもすぐにニュートラルな状態に戻るだろう。そうやって、自分の本能に正直になろうと意識した時に、先ほども書いたが、より女性は輝くのではないか?

ふと街中で、母と娘の会話を聞いていた。

母:「あなたはもっと強くならないといけない。泣いてはいけない。ハードワークで良い大学に生き、良い会社で働き、より良い生活を獲得しなければいけない。だからあれもこれもしないといけない。」

娘:、、、

小さな女の子は黙って聞いていた。実は、このような光景を目にすることは珍しくない。私は「この子はどんな気持ちで聞いているのか?」といつも心配になる。この小さな女の子のお母さんは、娘の幸せを願い真剣なのだと思うが。

私も次世代を考える年齢になってきた。次世代の女性はもっとテクノロジーの恩恵を受け、便利な社会で忙しく過ごすだろう。でも、次世代の女性の生活や考え方は変わっても、本能の部分は今の私とほとんど変わらないだろう。本能の部分も大切にして欲しい、それもあなたの大切な部分だから。と伝える番はすぐに来る。こんなことを考える本だった。


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