演劇【推しの子】 感想
初日観てきました!
原作は最新刊まで読了済、アニメは1期の途中まで(全部見たいとは思ってるんですが、時間が……)な、きたむのオタクです。
以下はネタバレ有
全体
作りとしては
「推しの子を知ってると最高に楽しめる」
「全く知らなくても、ドタバタ2.5次元の作り方の物語としてそこそこ楽しめる」
な作品でした。
ただ、この2.5次元舞台編、題材が題材だけに、どうしたって「あ、ここはこういう作りにしたのね!」というメディアミックスによる違いが気になってしまうところでして、それを楽しみたいなら、やっぱり原作も観ておきたいかなと思います。
「うちの子達はこんなに馬鹿じゃないんですけど!」
というアビ子先生のセリフが、胸を刺す中、それでも原作を削りまくって、取捨選択した結果がとても素晴らしいなと思いました(朔夜のナンパするシーンを、観客に変えたあたりなんかも、本当に上手く登場人物を減らしてますし)
個人的に潔くていいなと思ったのはアクア周り。
主人公ですが、アクアについて深くやりたいなら、そもそも2.5次元舞台編を選ぶべきじゃないのもあって、アイ周りのあれこれや、それをあかねが想像するところは、ばっさりカット。
アイについての説明もナシ。
ラスト付近の「復讐」がなんなのか、舞台だけ見てる方は「?」だと思いますが、そのあたりは察してね、なのかなと。
これを入れるとそれこそ「5時間コース」になるので、潔く切ったのは、正解だったと思います。
原作オタクは、勝手にラストシーンでアイがもう1回笑いかけてくれる夢を思い浮かべて号泣するので大丈夫です(私はそうでした笑)
アクアが控えめな分、中心にいるのはかなちゃんとあかね。そして2.5次元舞台編の中心ともいえる脚本のアレソレです。
そして、舞台らしいお遊びシーンなんかもオリジナルで入る。
特にSMASH HEAVEN……遊びすぎ笑
原作でもアクアたちが見た舞台ではありますが、勢いで押し切ってて笑いました。
あとは、劇中劇で東京ブレイドをやるんだ、という意気込みもすごかったです。
1幕終わりのナレーションが「舞台、東京ブレイド開幕まであと15分です」で15分の休憩にいくのは、本当に天才。
稽古場セットの奥に東京ブレイドのセットが隠れていたのはかっこよかったですし、舞台にぐっと奥行きが出るのも、最高でした。
そして、観劇終わりに東京ブレイドのチケットをもらえるのも神。ちゃんと(C)鮫島アビ子なのにくい演出すぎます。
このあたりは並々ならぬこだわりを感じました。
自宅に戻ってから、原作を読み返したのですが、今回はカットされていた原作のセリフに
「新規のお客さんには2.5のファンじゃなくて、演劇そのもののファンになって欲しい」
というものがありまして。
今回の客層、小学生ぐらいの子(推しの子が好きなんだろうなぁ)や、その親御さんもいて、私の見てきた2.5の中ではかなり異質な客層でした。推しの子が好きで初めて2.5を観に来た人もいるでしょうし、そういう人たちに向けて、この願いを込めて、この作品は作られたんだろうなと、勝手ながら思いました。
だからこそ、逆にこのセリフはカットされているのが素晴らしい。
あえて、言わない。
でも、客席に伝える。
「演劇っていいな」
と。
素晴らしい脚本・演出でした。
鴨志田朔夜
配役を聞いた瞬間から、はまり役だと思ってました。
ただ、そんなに出番はないよな??と思ってたんです……が!
SMASH HEAVEN出てました設定追加、匁への設定も追加で出番は山盛りでした笑
ただ、あの乗っかった設定、全然原作を壊してないんですよね。
「戦いたくない」と言ってたはずの匁が、刀鬼にちょっかい出すシーンは原作にもありますし、別にキャラが変わっちゃってるわけではないんです。ただ、キャラの背景がついて、幅が広がっている。
とても気に入ってるのが、ブレイドとキザミが仲間になった後の宴のシーンです。
匁は楽しんでいるフリをしながら、こっそり酒を捨てていて、踊るときも、誰かと目が合えば笑いかけるけど、誰も見てないときは真顔。呆れてる感じさえあります。
このシーンこそ「キラーパス台本」をそのまま表現していて、最高だったなと。
この表現を、小説でやるなら地の文を入れないといけない。漫画だと、気づかせるならコマを割かないといけないし、見開きでちょっと描いてるレベルだとあんまり伝わらない。映像作品だと、その様子を上手く映すか、カットを入れないと伝わらない。
でも、演劇は違うんですよね。
セリフも、描写も必要ない。客席では気がつく人もいれば、気がつかない人もいるけど、それが深みになる。演劇でも、ちゃんと気づかせるなら、セリフ入れて、スポットライト当ててとかもアリなんですが、そうじゃないところがとても粋で、大好きでした。
ラストシーンの朔夜としてのカテコは、匁のかっこよさを忘れてきたチャラさで、切り替えの早さも半端なかった(あのシーンはさすがに日替わりかな……初日ですよ!とか言ってたし)
こんなにたくさん殺陣が見れると思ってなかったので(メルトとのシーンはあると思ってましたが)そんなところも大満足でした。
相変わらず、殺陣のスピードが速い速い……!圧倒的強者感が漂っていて、最高でした。
最高の朔夜くんと匁を見せてくれて、本当にありがとうございました!
歌も本当に綺麗でした(音楽が和田さんで、歌唱指導がエッちゃんなの最高の組み合わせすぎて……)