なぜ槍でも斧でもなく刀だけが人気なのか
先日、ジャンプの人気急上昇中漫画『カグラバチ』を読みました。めっちゃ面白かったです。
あらすじざっくり紹介↓
日本一の刀匠・六平国重の息子である千紘(チヒロ)は、自身も刀匠になるべく父の元で修行に励む。そんなある日、父は3人の妖術師に殺され、国重の打った6本の妖刀を奪われてしまう。チヒロは父が最後に残した7本目の妖刀を携え、妖刀を奪った妖術師を探す物語が始まる。
定番の異能バトルですが、この妖術師・妖刀がポイント。呪術廻戦でいうと呪術師・呪具の関係なのですが、妖刀の重要度が大きい。呪術廻戦の呪具はあくまでサポートアイテム(禅院のフィジギフ2人は別)ですが、妖刀は存在自体が危険視されるほどめちゃ強い。
キャラクターの個性、ストーリー、日常シーンで挟まれるユーモア、あらゆる面で圧倒的に面白い。
その中で一番感じたのは
「刀、かっけぇ〜!!」です。
小学生みたいですが、みんな思ったはず。
刀ってなんでこんなかっけぇんでしょうか。呪術廻戦の乙骨も刀だし、Fateのセイバーのエクスカリバーなんかは鞘までかっけえですからね(あれは西洋剣ですが)。
るろうに剣心、ブリーチ、キングダム、鬼滅の刃、バガボンド、刀剣の戦いがメインの漫画・アニメって本当に多い。刀剣がメインの作品じゃなくても、人気の高いキャラは刀を持ってることも多い。乙骨もそうだし、ワンピースのゾロもそう。
映画で言うと『プレデター』の刀が登場するシーンが最高ですね。光学迷彩やレーザー銃で人間を狩るプレデターと、銃器や罠で応戦する人間。そんな中でポン刀(日本刀)ひとつで立ち向かうヤクザ。その心意気に応え剣(腕から出てるやつ)で迎え撃つプレデター。狩人と狩られる側ではなく、戦士と戦士の戦いになります。たまらんですね。
なぜ僕らはこんなにも刀に心惹かれるんでしょうか。るろうに剣心やキングダムは時代背景・設定的にに刀が出てくるのは必然なのですが、呪術廻戦、ワンピースなんかは能力バトルがメインです。極端な話、刀キャラは居なくても話は進められるわけです。
近接キャラを登場させたいなら、乙骨がナイフを持っててもいいし、ゾロが斧を口に咥えててもいいわけじゃないですか。なぜ刀なのかってそりゃあ、カッコいいからですよ。なんでこんなにカッコいいんですかね。
思うに、刀と分かち難く結びついている"侍"や"武士"のイメージがあるからじゃないでしょうか。歴史に明るくないので細かいことは分かりませんが"侍" "武士"と聞くと、なんとなくかっこいよさ、凛々しさをイメージしますよね。
司馬遼太郎の小説『燃えよ剣』のラストでは、主戦力が銃器になりつつある箱館戦争にて、愛刀・和泉守兼定と共に鉄砲の雨の中を駆け抜け散っていく土方歳三が描かれています。
マジでカッケェですよね。都内にある土方歳三資料館に和泉守兼定が展示されていると聞き、読み終えた翌日に行きました。※驚くことに、この資料館は土方歳三の子孫の方が運営しています。興味のある方はぜひ。
作中では(史実でも)土方歳三は敗れてしまうわけですが、どうしようもなくカッケェんです。刀を持ってるからではなく、その生き様がです。そういった意味では、日本人にとってやはり刀は特別な意味を持つ武器なのでしょう。「刀には魂が宿る」とは言いますが「槍に魂が宿る」とは言いませんよね。
カグラバチの妖刀は異能力をもった刀ですが、本来「妖刀」という言葉は徳川家に不幸を招いたとされる「妖刀 村正」が有名らしいです。妖槍は聞いたことないし、ハンマーに魂は宿らない。やはり刀に深い思い入れがあるのが日本人のようです。
そんなわけで、僕らが刀に惹かれるのは"侍"、"武士道"といった生き様、信念を感じさせるからのようです。まあ、ぶっちゃけ見た目がかっこいいってのもあるでしょうけど。
そんなわけで、カグラバチが気になった方はぜひ読んでみてください。また、かっけえ刀が出てくる作品があればぜひ教えてください。