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「諦めの悪さ」を教えてくれた物語

「もう無理」

生きていると、こう思うときがある。直近で私の心が折れたのは、コンテストに応募した小説が落選したときだ。半年もの時間をかけて書き上げた小説が無に帰すのは、ショックが大きい。子どもの頃から追いかけ続けている作家になるという夢を、私はもう諦めるべきなんだろうか……。


落ち込んだ私の心を支えてくれるのは、いつも『テニスの王子様(以下テニプリ)』だった。テニプリは、中学校のテニス部を舞台にしたスポーツ漫画だ。試合に負けた選手が這い上がっていく様が描かれているから、何度読んでも勇気をもらえる。

たとえば、乾 貞治。青学テニス部ではNO.3の実力を持つ3年生だ。分厚い眼鏡をかけたその顔からは、なかなか表情が読み取れない。得意とするのはデータテニス。ライバルのデータを集め、試合の流れを予測してプレーをする。

乾は、校内ランキング戦で主人公の越前 リョーマと2年生の海堂 薫に敗北し、レギュラーの座を奪われてしまう。しかし、彼は諦めていなかった。レギュラー陣のサポートに徹しながら、その陰でデータテニスを磨き、チームメイトの誰よりも練習に励んだ。レギュラーに返り咲いた乾は、関東大会の決勝戦で青学の勝利に貢献した。


本作に登場する多くのキャラクターが、敗北を経験する。でも、彼らは決して諦めない。敗戦から学び、必ず立ち上がる。私は「もう無理」と泣く度に、彼らの姿を思い出す。テニプリは、何度だって私を奮い立たせてくれる。

次に応募するコンテンストに向けて、私は再び筆を執った。




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