【私の新刊紹介】第2章・性をめぐる多様性 性自認・性表現・性指向
私の新刊が4月23日に発売されます。桜の咲く頃の出版を目指してきましたが、都心の桜はもう散ってしまいますが、北日本や山間部やソメイヨシノ以外の品種によってはまだまだという季節なので、ギリギリ春に間に合ったという感があります。『男はスカートをはいてはいけないのか?-キャリコン視点のジェンダー論-』というタイトルなので、まあまあ話題性があったり物議を醸しそうなところがありますが、内容はいたって真面目に今の社会の仕組みやキャリアのあり方への問題提起をしています。ありがたいことにnoteやほかのSNEなどをご覧いただいた方から、お声がけいただく機会も増えてきました。
今回は、前回に引き続き、章ごとの内容を簡単に紹介したいと思います。第1章に続く章は、「第2章 性をめぐる多様性 性自認・性表現・性指向」です。「LGBT」とか「SOGI」といったキーワードをみていただくと分かるように、この章はジェンダーについての基礎知識を解説している章になります。次の第3章以降は完全に各論に入って、著者のそれぞれの個性や独自の意見が色濃く出されていますので、第2章はその前提となるベースを共有するための章となっています。ただ、決まりきった用語解説のみをしているわけではなく、あくまで「キャリア」の視点から具体的にアプロ―チしていますので、読んでいて退屈されることはないと思います。第2章の目次は、以下です。
2-1.LGBTからSOGIへ
「LGBT」や「SOGI」については、この本を手に取られる多くの人はすでに知識をお持ちか、どこかで聞いたことがある人が多いと思いますが、この章では、LGBT(Q)という言葉への違和感や実社会における混同、混乱について触れています。今までの経験の中でマイノリティの存在に触れていたり、基本的な知識をある程度持っている人でも、なにげなく市民として社会生活を送っていると、ふと性自認と性指向の違いを無意識のうちに混同していることは少なくないものです。これが性表現となると、ますます分かりにくいと思います。私たちは差別はいけない、多様性を尊重しなければと意識しつつも、あまり深く考えずに「男らしい服装」「女らしい服装」にとらわれがちです。本書では、「性表現は何のためにあるのか?」という問いからジェンダーのあり方と実態について論じています。
性には「4つの要素」(身体的性・性自認・性的指向・性表現)があるというのは有名ですが、暗黙の前提のうちに「男女二元論」に依拠していることは意外と認識されづらいことです。「LGBT」という言葉が社会に広まって、さまざまな啓蒙活動が行われるのは素晴らしいことですが、言葉が独り歩きすることでかえって誤解が生じたり、そうしたカテゴリーには当てはまらない人が傷つくような場面もあります。この章では、いわゆる「性のグラデーションモデル」に対する課題について詳しく解説しています。
2-2.身体的性について考える<DSDの存在>
「DSD」という言葉は、一般的にはあまり知られていません。キャリアの視点からジェンダーを考える上での前提として、主に性自認の問題である「LGBT」や「SOGI」のテーマに加えて、身体的性の多様性を表す「DSD」のテーマを認識することも大切だと思います。性のグラデーションモデルによって逆に傷つけられる子どもたちもいるという現実から、この章では複数の図を用いて分かりやすく最低限の知識を整理しています。「DSD」への解説を通じて、「Y染色体神話を崩す」というテーマで章を締めくくっていますが、共著者の神田くみさんの専門分野でもあるので、かなり専門特化した内容をだれでも理解できるようにかみ砕いて論述しています。世の中にはたくさんのジェンダー関係の本がありますが、ごく一部の専門書を除いて、このテーマからアプローチしているものはほとんどないのではないかと思います。
4月23日発売予定ですが、すでにアマゾンでは予約が開始されていますので、興味のある方は見てみてください。次回はいよいよ第3章の紹介をしたいと思います。