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交換ノート
離れて住む友達と交換ノートをしている。旅行中に一緒にノートを選んだ。シンプルなノートだけど紙の色がグレーで白のインクがよく映える、という点がお互い気に入って決めた。ただ、問題は白ペンが意外と売っていない。種類が少ない。めちゃくちゃ書きやすい!と言えるものがまったくない。まあよく考えたら紙やノートのほとんどは白色なので、需要がないのだろう。ジェットストリームから白ペンが発売されてほしいと切に願う。最初は嬉々として白ペンで書いていた私たちは、いつしか2人とも黒ペンでしか書かなくなった。まあそんなもんだよな。可愛さなんて書きやすさには絶対に敵わないのだ。
交換ノートにはなんでも書ける。恥ずかしいこともムカついたことも今あるモヤモヤした気持ちも言葉を選ばずになんでも書いている。自由で楽しい閉ざされた空間。私にとって心置きなく言いたいことを言える場所。そんな場所を共有できる友達がいてありがたい。
最初のやりとりで1つ約束をした。
「このノートが終わったら、一緒に燃やそうね」
思い出に取っておこうなんて言わなかった。友達も私も揺るがぬ気持ちで「絶対に燃やそう」と誓い合った。そして私たちはもっと自由に、どこまでも身勝手に、書きたいことを書き続けている。(と、私は思っている)
いつも待たせてばかりいる私が言うのもなんだけど、交換ノートってすごく楽しい。
手紙を書く人が年々少なくなり、年賀状文化はLINEにぐいぐい押されて崖っぷち。限定デザインの素敵な切手が発売されても見向きもされず、書くことをしなくなった人たちはどんどん漢字が書けなくなる。忘れる。
この交換ノートがきっかけで書くことの楽しさを思い出せた私は、PCに向かう回数を減らし、なるべくペンを持つようにした。もちろんPCやスマホで打つことの方がまだまだ多いけど、手帳をやめてスマホのアプリ管理にしていたスケジュールは、2024年からまた紙の手帳に戻した。スマホのメモ帳機能ばかりに頼るのをやめて、紙のノートに書くようになった。
デジタル化はとても便利だ。便利だからどんどんデジタル化すればいいと思う。会社がデジタル化に追いついておらず大量の紙を印刷するたびに、デジタル化しろよ!と叫んでいる。でも、これは矛盾じゃない。仕事の書類と気持ちを伝えるためのノートや手紙はまったく別の世界の話。
昭和生まれの人間としてはやっぱり書くことの良さも忘れたくない。何事もバランスなんだよね。 ”便利” と ”ちょっと不便だけど心地よい” の いい塩梅を見つけたい。
2025年の手帳に予定を書き込みながらそんなことを考えていると、前職のとき使っていた(会社から支給されていた)"黒手帳"が好きだったことを思い出した。表紙が真っ黒のシンプルな手帳だったから、みんな"黒手帳"と呼んでいた。
私はその手帳に 先輩や上司の悪口ばっかり書いていて、退職した日に1つ残らず葬り去ったのだけど、今思うとあれはあれでとっとくべきだった。「ハゲ頭が顔を真っ赤にして説教してくる。ほぼ茹でダコ」とか「”5年目ノート”とわざわざ表紙にタイトルをつけてるノート見ながら怒られてる2年目の私って結構すごくない?」とか そんなくだらないことを書き殴っていた。理不尽な怒りをぶつけてくる先輩の長い長い説教中、ずっと深刻な顔をして聞いている振りをしながら、悪口を書くペンのスピードはどんどん加速していった。懐かしい思い出。
結果、やっぱり葬り去って正解だった。そんな悪魔みたいな手帳、とっておくなんて恐ろしい。呪い。
そして改めて誓う。
交換ノート、絶対に燃やそうね。
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右は自分でカスタムオーダーしたお気に入りのノート。