インプットの「型」を考えてみる【学習効率を上げる型も】
「インプットの型ってあんまり聞かないな……」
昨日、ふとそんなことを思った。
アウトプットには多様な型が存在している。
文章ならPREP法、ビジネスなら4Pなどのフレームワークや企画書の基本フォーマット、論文にだって型はある。
インプット(情報取得)→エディット(情報加工)→アウトプット(情報利用)の流れで考えると、エディットにも型はある。
ビジネスでは3Cなど、発想ならオズボーンのリスト、問題解決にもSimonのものを始めとしていくつかの型が存在している。
インプットはどうだろうか?
いざ言われると、インプットの型はあまり出てこない。
しかしそれは確かに存在している。
今回はそんな「インプットの型」について考えてみた。
インプットの型の重要性
インプット→エディット→アウトプットの中でインプットだけあまり型が意識されていないのでは、という疑問からスタートしたわけだが、インプットの型はきわめて重要である。
インプット→エディット→アウトプットという流れからも分かる通り、エディットとアウトプットはある程度インプットに依存する。良質なエディットやアウトプットは良質なインプットから生まれるのだ。
各分野、上位のプレイヤーの成長は凄まじい。
ここにはインプットの質が関係していると思う。
例えば将棋のプロとアマで考えてみよう。
前提として、
インプットの質=環境 × インプット能力
で決まると考えている。
環境はについては言うまでもないかもしれない。
彼らは日々、高レベルの相手と戦い、また高レベルの相手と共に研究しているわけだ。他人による高度なアウトプットが自分にとってのインプットになる。
当然仕事なので、そもそも求められる量も違うだろう。
インプット能力については認知科学の研究を取り上げてみよう。
熟達者は膨大な棋譜を正確に覚えることができる。これはチャンキングと呼ばれるプロセスにより駒をセットで覚えているわけだが、まずこれによりインプットの量が確保される。
そして蓄積された体系知と反応させ合いながら学習を繰り返す。
貴方の分野ではどうだろうか?
上の人ほど良質なインプットができる環境と能力を持ち合わせているはずだ。
今回取り上げる「型」はインプット能力に含まれるものだ。
ぜひ貴方自身に照らし合わせながら考えてもらいたい。
インプットの型は無意識に使っている?
今回の問題提起は「インプットの型がない!」ではなく「インプットの型が意識されていない」ことである。
僕らは無意識に型を使ってインプットしているのだと思う。
一般的な型を2つ挙げてみよう。
1つは「アウトプットの型をそのまま持ってくる」ものだ。
実践機会が明確な場合はこの型が起動していることが多い。というか、全く起動していないとしたら少しメタ認知したほうが良いかもしれない。
IKPOLET法を例に使ってみよう。
これは、『東大院生が開発! 頭のいい説明は型で決まる』にて犬塚 壮志さんが説明の黄金フォーマットとして紹介しているものだ。
・Interst(興味)
・Knowledge(知識)
・Purpse(目的)
・Outline(大筋)
・Link(関連)
・Example他(具体例など)
・Transfer(転移)
この流れを使うことで説明の質を上げるというもので、僕もアレンジしながら度々使っている(noteではあまり使っていないが)。非常に有効性が高くおすすめな一品だ。
学習では「人に教える」ことが効果的だとされている。
よって学習時にもIKPOLETの型に当てはめたインプットを行うことで、「人に説明するつもり」で学べるため学習効率が向上する。
当然プレゼンやセミナー前のインプットにも使える。
もう1つの型は「対応型」だ。
既存知識に対して新知識を対応させていくものである。
これは外国語の学習をイメージするとわかりやすいかもしれない。
日本語の単語に英単語を対応させていくだろう。
この学習法に関する賛否は置いておいて、少なからず経験したことはあるはずだ。
「赤の補色は緑」「クジラは哺乳類」なども対応型のインプットといえる。
僕らが普段もっとも多く使っているインプットの型であり、コストの低い型だ。同時に僕らは振り回す型でもあるのだが、その話は別の機会に譲るとしよう。
熟達していくと型は磨かれる?
各分野で熟達していくと、その分野におけるインプットの型が構築されていき、また洗練されていく。
これはいわゆる「目の付け所」と言うやつだ。
初級エンジニアと上級エンジニアであれば、新技術などが出てきた時の学習効率が全く違う(はずだ)。
上級エンジニアはどこを重点的に学べば使っていけるのか理解しているため効率よく学習していける。一方初級エンジニアにはそのようなフレームがないので、ベタベタに学んでいくしか無いわけだ。
貴方の専門分野ではどのようなインプットの型を用いているだろうか?
一度意識してみても良いかもしれない。
インプットの型「概念(体系)学習」
最後に、僕の持つ型を1つ紹介しておく。
新しい概念や分野を学ぶ時、積極的に利用してほしい。
■ 創造理念(コンセプト)
■ 基本構造(ストラクチャー)
■ 構成要素(エレメント)
■ 実体(インスタンス)
創造理念は、その知識が何のために存在しているのか、生み出されたのかということだ。その知識体系を抽象化し、一文で説明したものが望ましい。
基本構造は、その知識体系の構造である。基本的に全体像を先に学習しておいた方が学習効率は上がる。
構成要素は、基本構造の各要素といえる。どのような要素が存在し、相互にどのような関係を持っているのかを学習していく。この時点で重要度の評価もしておきたい。
実体は、具体例や事例、経験、実践法など個別の知識にあたる。言ってしまえば無数にあるものだ。しかし実体を抜かした学習ほど空虚なものはない。
基本的に、上から下に学習していくのが効率的だ。
が、実際にはそんな上手くは行かず、上り下りしながらインプットすることが多い。ただし上のレイヤーを埋めていくことを意識においておく。
良質なテキストなどであれば、あまり上り下りせずに学習ができ、ストレスを抑えたインプットができる。
この型の運用については、興味を持つ人が多ければ今度もっと詳しく解説してみよう。
今回は普段あまり意識されていないインプットの型について考えてみた。
インプットはその後のプロセスの質を決めるものであり、型を意識し、活用し、洗練させていくことでインプットの質を高めることができる。
ぜひ取り組んでみてほしい。
学習のアーティストを目指してます。学習ノウハウの体系化・学習体験のコンテンツ化を通して、学習者のレベルアップを手伝います。現状、お金よりも応援がほしい。