ピアノと私

4年前のクリスマス、大切な友人の息子さんが急性虫垂炎で入院しました。
嘘みたいな話ですが、抗生剤が効かずあれよあれよという間に状況が悪化し、正月明けには重体になってしまいました。

友人に、皆でビデオレターで励ましてくれない?と頼まれ、まだ年始ムードのなか、都内に帰省から戻ってきている近所の小学生を集めました。小学生でしたが、皆状況を理解し、必死に歌い、届けた歌がビリーブでした。

皆の願いが通じたのか、息子さんは順天堂大学のICUまで入って本当に余談許さないところから回復し、今は普通に高校に通っています。それだけでないけど、音楽に込められた力もあったんだと信じています。そんなわけで、ビリーブは私の中で特別なパワーを持つ曲のひとつになりました。

その友人は、私のピアノでセッションしたい、という夢を叶えるきっかけを下さった方でした。音楽好きでしているものですが、コンサートは聞き手に合わせた選曲でした。音楽は聞いている人を楽しませるものだから、好きな曲を好きに弾いていいのはプロと子供だけ、と思っていたんです。  

そんな中、よかよか学院のあり方スクールの最終日、何故か、全くうまく弾けないベートーヴェンの月光を弾くことになりました。最初、いや、だれもこんなの聞いて喜ばないから、とかなり拒絶感がありました。でも周りの方たちとの温かい交流もあり、腹をくくり、感情のまま弾き殴りました。ありスクでは母へ承認を求める自分への決別のつもりでしたが、その演奏を聞いて娘さんを重ねて涙された方がいらっしゃいました。その方の投稿で、自分の好きな曲を一人で弾いて、こんなにも誰かの心に届くピアノに出会わせてくれた母に感謝のメールを書くことができました。

先日その方が聞いてくださる機会があら、改めてビリーブがなぜか気になり弾いたのですが、それは自分の中の小さくてピアノが大好きで、ピアノだったらお母さんに喜んでもらえる、そう思っていた小さいあきこちゃんに向けて弾いていたのです。私の中で本当に大事なメッセージのある曲を自分のために、自分を勇気づけるために弾いていました。

どうすることが自分のピアノか、掴めたような掴めてないような気がしますが、これからも音を大切に奏でていきたいと思います。



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