飲食企業応援セミナー ~衛生管理編~ 【Seminar Report 20200528】
こんにちは、インフォマートの佐藤です。5月28日に開催された、花王プロフェッショナル・サービス株式会社と弊社の共催セミナーのレポートをお届けいたします。これからの季節とても重要になってくる、テイクアウトやデリバリーにおける衛生管理方法についてお話いただきました。
◆セミナータイトル
飲食企業応援セミナー
~衛生管理編~
◆登壇者
株式会社インフォマート マーケット開発室 室長 石塚賢吾
花王プロフェッショナル・サービス株式会社 C&S企画開発部 森綾香様
【テイクアウトを進める際の認知度UP方法と利益管理】
はじめに、インフォマートから簡単にシステムのご紹介をさせていただきました。サービス開始から右肩上がりで導入企業様が増えており、今では5店舗に1店舗が弊社のシステムを導入いただいております。北海道から沖縄まで全国でご利用いただいておりますが、参考として東京東部の導入MAPもご紹介させていただきました。
ここから本題に入ります。まずは背景として、「テイクアウト・デリバリー」がブームになっておりますが、要因として考えられる点が下記5つです。
また、新型コロナの影響で皆さまご存知のとおり、巣ごもり、買い置き、自宅でのイベント、ローカル化、在宅ワークや在宅授業 等が急増しています。
下の図は、インフォマートのデータを2019年度と比較したものです。この図からわかることは
①軽減税率によってテイクアウトの需要が増えた(2019年11月)
②3月のテイクアウト・仕出し業態の減り幅が少ない
上記2つが考えられます。
◆レストランマルシェで認知度UP
テイクアウトを始めてみて困ったこととして、飲食企業の皆さまからお聞きすることは、①売上が伸びない ②継続しない ③利益が薄い 等です。
①②については、“新しいテイクアウトのカタチ”として認知度を上げて、売上を上げるということが必要になってくると考えます。認知度を上げるにはどうすればいいのか?⇒『話題性』が重要なのではないでしょうか。話題を自ら作るという点でご紹介したいのがレストランマルシェです。
レストランマルシェとは、飲食店をマルシェ(市場)化し、新たな販売ルートを開拓するプロジェクトです。マルシェ化して軒先で商品を販売することで、普段と異なる客層に認知していただけると、コロナ終息後の来店のきっかけになり得ますし、テイクアウト品も並べておけば“ついで買い”も期待できます。
◆事例紹介
インフォマートご利用中の株式会社RYコーポレーション様の事例です。LA COCORICO浦和店では、マルシェを始めて売上は通常営業の6割程にまで伸びたそうです。
取材させていただいた際にお聞きしたのは、『これまでとは異なる客層の方にも来ていただけた』というお声です。コロナ終息後も、来店していただけるお客様になり得るというお話でした。何故このお店が成功しているのか分析してみたところ『立地と認知』という点でポイントが見えてきました。
・裏通りだが、ノボリやイーゼルを利用してマルシェを訴求
・買い物がマンネリ化した主婦層の口コミで広がる
・世帯数が多い街であった
また、売り場についてもとても工夫されていました。
・マルシェを意識した売り場設計(食物販の認知)
・外から見て、マルシェだとわかる棚割り訴求
上記点が特にポイントになる部分だと思います。お店に入る前から、食物販をしていることが分かるような作りになっていて、ワインやお野菜も大胆に陳列されていました。
◆レストランマルシェを始める前に
マルシェを始めるにあたっての不安要素としてよくお聞きするのが「営業許可」についてです。大前提として、まずは所管の保健所に電話でご相談いただくことをお勧めしています。実際に、新たな営業許可が必要かどうか尋ねてみたところ、
1.温度管理がいらないもの
2.パッケージ化されているもの
上記については新たな許可は不要であると返答いただきました。
但し、確認が必要なものもいくつかあります。
・肉や魚はどんな物かによる。お菓子やお酒も注意が必要
・お酒を販売する場合は今、「期限付種類小売業免許」が出ているので、許可を得ること
◆レストランマルシェ実現のポイント
①立地
⇒周りに居住者が居る生活商圏(オフィス街は不向き)
⇒大通り沿いではない、人通りが少なくても問題なし(認知が出来れば)
②認知
⇒レストランマルシェ化を訴求できるノボリや看板が効果的
⇒口コミを助長するSNS(Facebook、Twiiter、Insagram)の活用
③商品陳列(棚割り)
⇒外から見ても食物販をやっていることがわかる陳列
⇒可能な限り、多品種・大量陳列・立体的な陳列
◆レストランマルシェへの参加メリット
インフォマートからの新たなシステム提供はないので、参加表明にコストはかかりません。
メリット①無料で貴店をPRします
具体的には:SNSを利用して貴店を紹介します。
レストランマルシェ参加店舗サイトをOPENし掲載します。
メリット②商品ラインナップ拡充のアシスト
具体的には:在庫を抱えている卸企業様をご紹介します(小売向きでない商材) 小売向き商材に特化しているKURADASHIで初月送料無料で購買
メリット③(インフォマート未利用企業)インフォマート利用体験
具体的には:無料IDを配布。インフォマートを体験できます。
⇒アフターコロナを見越した自店の収益/利益管理の準備をサポート
レストランマルシェは、「販売ルート開拓・フードロス削減・認知度の向上」につながります!是非、お店のマルシェ化をお手伝いをさせてください。ご一緒に、コロナウイルスに打ち勝てるような業界の盛り上がりを作れたら嬉しいです。
◆原価コントロールで薄い利益をカバー
テイクアウトを始めてみて思ったことの③として、『利益が薄い』がありました。
テイクアウトに必要な包装コストとして上図のようなものが挙げられます。商品1つに対し24円~104円ですので、価格を上げると売上に影響してくることが予想できますので、原価コントロールが重要になると考えます。
★正しい原価率の把握 ≒ 正しい『メニュー原価の維持』
<メニュー原価あるある>
①オーバーポーションで実原価と理論原価に差が生まれる
⇒レシピの可視化
②作成時のメニュー原価が数ヶ月経過すると実は変わっていた...
(仕入価格変動)
弊社の『メニュー管理機能』をご利用いただくことで、メニューを構築した際に販売価格をセットしておけば、材料情報から原価を計算して反映させることができます。また、原価の変更があった場合も、どこかどう変わったのか可視化できます(右上図)。テイクアウトのメニューであれば、包材情報も含めて管理することが可能です。
テイクアウトやご紹介したレストランマルシェが、新たな販売の手法として皆さまの中で定着化していただけたら嬉しく思います。
【食中毒予防~テイクアウトを行う上での注意点~】
続いては花王プロフェッショナル・サービス様のお話です。
◆食品取扱者の義務・責任
食品取扱者には、お客様に安全・安心な食品を提供する義務があります。
責任という面では、法的責任と社会的責任があり、1度事故を起こしてしまうと、倒産や従業員の失職に繋がる可能性もあります。
◆そもそも食中毒とは?
そもそも食中毒とは、食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着した食品や、有毒・有害な物質が含まれた食品を食べることで起きる、腹痛・下痢・嘔吐などの健康被害のことです。
※免疫力が弱い子どもやお年寄りは重症化することもあるので要注意です
★O157、赤痢菌、ノロウイルスなどは感染力が強いため、人から人へ感染することがあります
★食中毒菌やウイルスが食品に付着しても、腐敗とは異なり、「味」「色」「におい」が変わることはありません
◆食中毒発生状況
2019年の発生状況のグラフです。細菌での食中毒が最も多く、発生した場所は飲食店が圧倒的に多いという結果でした(左図)。
月別で見てみると、細菌性食中毒は、梅雨など高温多湿となる夏場に発生件数が多くなり、ウイルス性食中毒は、空気が乾燥する冬場に発生件数が多くなっています(右図)。
◆細菌性食中毒の予防~テイクアウトを行う上での注意点
食中毒予防について、予防の3原則に沿ってご紹介いただきました。
【作業者の個人衛生】
・毎月、腸内細菌検査を行う(不顕性感染者(※)を見つけるため)
※・・症状のない感染者
・体調不良の場合は、責任者に報告する(食品を扱う作業はしない)
・作業場に入るときは清潔なユニフォームを着用する
・作業場に入るときは衛生的な手洗いを行う
【手洗い】
・扱う食材や作業内容が変わったら、衛生的な手洗いを行う(こまめに手洗いをはさむ)
【調理器具の管理】
・調理器具は使用後、洗浄・除菌する
・包丁、まな板は用途別・食材別に使い分ける
続いて2点目の原則『菌を増やさない』についてです。
【調理済み食品の冷却・保管】
<原則>調理後直ちに提供されない食品の管理
食中毒菌の増殖を抑制するために、10℃以下または65℃以上で管理する
加熱調理後、食品を冷却する場合
・一度沸点まで加熱した後氷水で冷まし、粗熱が取れたら冷蔵庫で保管する
・清潔な場所で衛生的な容器に小分けする等して、30分以内に中心温度を20℃付近 または60分以内に中心温度を10℃付近まで下げる
⇒食品を容器に詰め合わせる際は、十分に冷ましたあとに行う!
【喫食までの時間】
・調理済み食品は、販売までの時間を適切に管理する
⇒購入者には早めに消費を呼びかける!
最後が3点目の原則『菌をやっつける』についてです。
【薬剤の使用】
・洗浄剤で汚れを落とした後、用途に合った除菌剤を使用する
※微生物(一般細菌、カビ、ウィルス、細菌芽胞等)ごとに薬剤に対する抵抗性が異なる為
◆まとめ
普段の衛生管理 『食中毒予防の3原則』 を守りましょう!
◆ご案内
最後に、花王様からご案内として2点コンテンツをご紹介いただきました。
【食品動画コンテンツ】
集合研修の開催が難しい状況にある今、動画で学習できる「KPS食品衛生動画」を6月末までYouTubeにて限定公開しております。
【ご贔屓ナビ】
『ご贔屓ナビ』は、飲食店を長く続けていく為に欠かせない“ご贔屓さん”(リピーター)獲得のためのさまざまなヒントや経営ノウハウをご紹介する情報サイトです。
これからの季節、食中毒のリスクが非常に高まってきますので、基本的な対策は徹底していただき、安心で安全な食品の提供を行っていただければ幸いです。