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在米邦人はこのまま住み続けるべきなのか? - コミュニティ、アイデンティティは自ら選ぶ時代

こんにちは。正直この数週間は在米移民には疲れるニュースが続いています。米国が権威主義、寡頭制に急旋回して行くのを目の当たりにしています。科学者には、学問の自由の喪失を懸念して他国への移住を本気で検討する動きが出てきています。

在米日本人の間でも、このまま米国に住み続けるべきかどうかが話題に上ることがままあります。カリフォルニア、ことシリコンバレーでは直接的に影響を感じることは少ないです。それでもアジア人移民という立場への不安、経済の混乱、保健衛生の劣化への不安は否めません。

ただそこでよく話に出るのは、じゃあ日本に戻りたいかというとそうでもないということです。日本の経済的な凋落も外から見て明らかです。ヨーロッパもドイツを筆頭に経済的退潮は明らかで、極右政党の台頭を許しています。では中国でしょうか?インドでしょうか?そもそも権威主義的体制です。要するに世界に望ましい国というものがあまり見当たらないのです。

そもそも特定の国にいるから成功のチャンスがあるという考え方が古いのだと思います。グローバル化の進展に伴い、先進国で中間層を支えた産業が空洞化し、同じ国の中でも経済的な格差が広がったことが、世界中でポピュリズムが広まった大きな原因です。これにはインターネットの普及も大きく影響しています。

今や物理的に同じ地域に住んでいるかどうかよりも、どんな情報やコミュニティに接続しているかの方が自分のアイデンティティを形成します。自分の場合を考えても、日本にいても日本のIT産業の価値観や仕事のカルチャーにはまったく共感しませんでした。自分は日本のAmazonで働いたり、それ以前からも、シリコンバレーの流儀に従って仕事をしてきました。だからこそ今シリコンバレーで仕事ができています。

日本にいるからといって10人が10人ともSAPIXに行って中受をして東大に行く、アメリカにいるからといってアイビーリーグに行くのが正解というのはもう過去の話です。レッドオーシャン競争で親も子供も金銭的にも時間的にもリソースを取られて疲弊することになります。にもかかわらず、その先の人生の成功に結びつく確証はありません。それよりも自分の価値観は何なのか?それを実現するために世界にはどのようなベストプラクティスがあるのか?どのようにそこと接続していくのか?といった問いの方が重要に思います。

このように、今の世界では、どこの国に生まれたからとかではなくて、どのようなコミュニティと接続して、どのようなアイデンティティを形成するか積極的に選んでいく必要があります。

もちろん自分の場合でも子供の頃に米国で暮らしたこと、親が積極的にITに触れさせてくれたことなど、環境の影響は決定的です。子供や若者に対しても、親をはじめとする大人は、意識的に世界に存在する多様なコミュニティや、それぞれの価値観を自らも学び、伝えていく務めがあります。

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