マッチングアプリで付き合った人が、大好きな人になった話

大好きな彼と付き合って、先日2年半を迎えた。

2年半となると、そう盛大に祝うようなものでもない感じがするけれど、私の中では「彼氏のことが大好きになって2周年記念」の、ちょっとした節目である。

そう、今でこそ、虎視眈々と妻の座を狙い、隙あらば抱きつき、会えない日は電話で「大好きだよ!」と囁き続けているけれど。

付き合った当初は、大して好きではなかった。
アプリで連絡取り始めて3ヶ月、出会って2ヶ月、デートは4回目。
居心地の良さと、LINEをしてて苦にならないテンポ感が良くて、私の中で彼は「最近よく遊ぶようになった友人」だった。
一緒にいて楽しいけれど、漫画で見たような、友達の恋バナで聞いたような、熱烈な気持ちは湧いていなかった。

今はもう何をしていても可愛く感じているが、最初は顔があまりタイプではなかったのだ。
今はよく吸いにいくが、体臭が好きとかもなく。
今は毎日聞きたいけれど、当初声が好みとかでもなく。

でも、アプリで出会った男女は、大体3回目ぐらいのデートで付き合うかどうかを決めるし、私の中でも4回目の水族館デートで告白されなかったらこれから先は自然と会わなくなるだろうな、と言う予感があった。

それはちょっと寂しかった。せっかくできた、気の合う友人を失うのは嫌だな、と思っていた。
自分から告白するほどの恋愛感情は自覚していなくて、「告白されたら付き合うか」というスタンスだった。

「記念受験のつもりだった」とのちに彼は言う。
とりあえず告白してみた彼と、告白されたら付き合う気だった私は、うっかり付き合うことになったのだ。
それが、2年前の3月10日。

彼氏と彼女になった私たち。
でも、出会って2ヶ月ちょっとで、学校だったらまだ1学期も終わってないくらい。
彼氏ができた!という喜びはあったし浮かれていたけれど、彼のことが大事だとか思っていたかと言うと、そこまでの感情はなかった。
彼氏ができたからと言って、友達と遊ぶ時間が減るのはいやだなぁ、とすら思っていた。
10年来の友人と、あってちょっとしか過ごしてない彼氏と、どっちが大事?ってそりゃ、友人でしょうよ、と。

恋愛経験が少なすぎた私は、ネットが大先生だった。
特に、「男性は付き合う前が熱量のピーク、付き合って3ヶ月で一つ目の山を迎える」みたいな記事は、それはもうたくさん読んだ。
男は、釣った魚に餌をやらない、最初は連絡をいっぱいしてきても、それは女を落とすために必死になっているだけで、落ち着いてきたら本来の自分に戻って、何もしなくなる。とか。
私は、一人になるとそんな記事を読んでは、彼もきっと次第に変化していくのだろうと、疑心暗鬼に陥っていた。

付き合って3ヶ月、私の誕生日に彼と旅行に行くことになった。
当時しょじょ。
楽しみな気持ちはほとんどなく、初めてのお泊まりに戦々恐々としていた。
旅行も不慣れだ。準備も億劫で、仕事も多忙で、前日はちょっと体調が悪かった。ドタキャンすら考えた。
でも、準備してもらっているし、と思って、行ってみたら、やっぱり一緒にいると楽しいのだ。
出会い頭に、準備の悪い私が「飲み物買いに行きたい」と言ったら、「そう言うと思って」と麦茶を差し出してくれた。
「旅行がプレゼントだから」と、旅費もごはんも全部奢ってくれて。
しかも、ちょっといいお財布までくれた。
あまりに大事にしてくれるから、ここまできて夜は寝ます!もできない、背水の陣のような気持ちで、挑んだ。詳しくは書かないけれど、まぁ、大変だった。
でも、刺激的で今でも鮮明に思い出せるくらい、面白い旅だった。

問題は、その翌月が彼の誕生日だったことだ。
これだけ祝ってもらって、多分総額は5万円以上だっただろう。
プレゼント5000円分で〜とは、流石に言えない。
私には彼氏がまともにいたことがなかったし、家族や友達の誕プレは3000円前後。
一人暮らしで生活は赤字スレスレ、しかも同時に洗濯機が壊れ、従姉妹が結婚式だった。
「彼氏」というのが重たかった。金銭的に。
たまたま、GOtoキャンペーンが適用されたり、もともと存在していなかったボーナスがちょっと現れたりして、なんとかその月は乗り切ることができた。
旅行自体はとても楽しかったし、お宿も本当に良くて、最高だった。
今思い出しても、いい旅行だったなぁと思う。

ちょっとずつ、彼のことは特別に感じていた。
それだけ特別な気持ちになっても、ひとりになるたびに「これだけ楽しい思い出を共有しても、いつか冷めて、元彼になるのかもしれない」と思うと、苦しかった。
友達に、「結婚するかどうかもわからない相手と、こんな旅行ばっかり行って、思い出作りすぎても苦しいだけだ」と愚痴っていた気がする。
私はポジティブだけど、めちゃくちゃネガティブだ。

翌月の8月は遊ぶ予定があったけれど、私がコロナになって間が空いた。
彼からの提案で、9月に直島に行くことになった。
もちろん旅行だ。

私には半年以上前から10月に友達と沖縄旅行に行こうと約束して宿も飛行機もとっていた。お互い、これから先こんな自由に旅行行くことなんてないかもしれないから、と結構大きめの覚悟で決めた予定だ。

財布が、大ピンチだった。
死にはしないが、お金が大きく減ることがものすごく私の中でストレスだった。
彼との旅行は全然楽しみに思えなかった。

爆発したのは、旅行の前日。
嵐の夜だった。
電話をしていて、旅行を楽しみにしている彼と、悲壮な気持ちの私の間に温度差を感じた。
いつもなら、我慢できていたけれど、気圧の変化に弱い私はふいに本音をぶちまけてしまった。
「旅行旅行って、実家暮らしでお金ある〇〇君はいいけど、こっちは1人暮らしで給料少ないしカツカツでもうほんとにしんどい!」
他にも色々ひどいことを言ったと思う。
彼は、喧嘩の時は言い返してこず、じっと聞いてくれる人だ。
その時も、何も言い返してこないで、最後まで私の話を聞いてくれた。

次の日は旅行。
猛烈に気まずい中、彼と会った。
もっと冷たくされたりするのかな、と思っていたら、案外普通だった。
気持ちが大荒れして、緊張していた私と、いつも通り手を繋いで、ちょっと昨晩のことをからかいながら、受け止めてくれた。

旅行はとても楽しかった。
直島は映えスポットがいっぱいで、宿は無印の家具で統一されたほぼ無印ホテルで。
事前に本音でぶつかってしまったからこそ、肩の力を抜いて楽しめた。
宿の夜にご飯を食べ終わってから、「俺はやっぱり旅行は行きたい。でも、〇〇の負担になりすぎないように、ちゃんと考えるわ」と言ってくれた。

あ、この人のこと、好きだな。

と、自然と思った。
一緒にいて心地いいだけじゃなくて、ちゃんと本音を伝えたら、聞いて考えてくれる。
素を出しても、一緒にいられる人なんだな、と。

それがちょうど、2年前の9月10日ごろ。

彼氏になった人が、好きな人になった。
普通、多分逆だよな?と思うけど。
なかなかひどかった私を、半年間そこそこ冷たくて傷つけただろうに、ずっと大事にしてくれた彼がすごいのだ。

1年経ったら熱が冷めるとか、色々その後もネット記事で読んだけれど、2年経っても毎日電話してくれて、可愛い可愛い言ってくれて、相変わらず、旅行の時は飲み物も持ってきてくれる。
ネットなんてあてにならないね!(笑)

この2年半で相当の思い出を作った。旅行もかなり行った。
年5回は行ってる。ずっと楽しい。
彼は特別だ。大好きだ。
手放す気はないので、引き続き妻の座を狙って頑張ろうと思う!



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