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PL保険 販売者は必須

あなたはPL保険に加入しているだろうか?

今年初め、PL保険に加入していない飲食店でこんなことがあった――。

ある地方の小さな洋食店。夫婦二人で切り盛りしており、
地元の常連客が多いアットホームなお店だった。


元々は「うちの規模なら、保険がなくても大丈夫」という考えで、PL保険に加入していなかった。

それが、ある日を境に大きなリスクとなって降りかかってくることになる。

その日は、常連客のグループが食事を楽しんでいた。
メニューは大人気のハンバーグステーキ。

ところが、一人の女性客が食事中に「ゴリッ」という異音を感じ、
その後激しい痛みとともに口腔内を出血。

ハンバーグの中から金属片が出てきたのだ。

異物混入の原因は、調理器具の一部の摩耗や劣化によるものと思われた。夫婦はすぐに謝罪し、女性客を病院へ連れて行った。
幸い大きなケガではなかったが、歯が欠けてしまい、治療費も発生。
さらに精神的な苦痛への慰謝料も請求される事態に発展してしまった。

「今までこんなことは一度もなかったのに……」と店側は驚きと不安を隠せなかった。

ここで問題となったのが、PL保険の未加入である。
たまたま当日来店していた女性客は地元の常連とはいえ、被害を受けた以上はそれなりの補償を求めるのは当然だ。
治療費や歯科でのインプラント費用、欠けた歯の治療に伴う通院の手間、
さらにメンタル面への配慮も求められた。

金銭的な請求額は数十万円にのぼったが、経営がギリギリの小規模店にとって、その出費は大きな痛手になった。

また、一度起こった事故は瞬く間にSNSで拡散されてしまった。被害者の女性客が「このお店で食事中に金属片が出てきて、歯が欠けた」という内容を投稿すると、周囲は心配や批判のコメントで騒然。

SNSには「衛生管理がなっていない」
「器具もチェックしていないなんて危険」という批判的な書き込みが増え、お店の評判は急速に悪化していった。

その結果、一時期は売上が半分以下に落ち込むという深刻な状態に陥ってしまったという。

もし、このお店がPL保険に加入していればどうなっていただろうか。

  • 治療費や慰謝料などの賠償金は保険金で補償されるため、店舗の資金繰りへのダメージは軽減される。

  • 示談交渉などにおいても保険会社が専門家を通じてサポートしてくれるため、スムーズに話を進められる。

  • 迅速かつ適切な対応が行われれば、お客様の不信感を最小限に抑えられる場合もある。

実際、このようなトラブルは飲食店に限らず、あらゆる店舗で起こり得る。

飲食業界でありがちな“食中毒”や“アレルギー事故”、
小売業界では“商品不良”や“破損によるケガ”など、
リスクの種類は多岐にわたる。

何かしらの異変が起こり、お客様や第三者に被害を与えた場合、
企業や店舗の責任追及は避けられない。

小さなトラブルが裁判に発展し、結果的に数百万円、数千万円単位の賠償金を支払う事態にまで発展するケースも決して珍しくはないのだ。

自分たちの大切なビジネスを守り、お客様に安全と安心を提供するためにも、PL保険の加入は決して「余分な出費」ではなく、大切な「投資」なのである。


PL保険の重要性とメリット

以下の文章は、飲食店や小売業を営む方が加入を検討すべきPL(製造物責任)保険について、その概要やメリット・デメリットを分かりやすくまとめたものです。


【PL保険とは?】


商品や提供するサービスに起因して生じた賠償責任を補償するための保険です。

一般的に「製造業」向けのイメージが強いかもしれませんが、飲食店や小売店であっても、提供した商品や調理した料理が原因でお客様に被害が生じれば、損害賠償責任を負う可能性があります。

たとえば飲食店で提供した食事に異物が混入してしまい、
食中毒やケガなどの被害を与えた場合、お店は治療費や慰謝料などの賠償を求められる可能性があります。このような万が一の事態に備え、PL保険に加入しておくことで、賠償金や訴訟費用などの金銭的リスクをカバーできるのです。


【飲食店・小売業におけるPL保険の必要性】

飲食店では常に食材や調理器具を扱い、衛生管理を徹底していても、食材の仕入れ段階での品質不良や、

偶発的な調理ミスなど、どうしても100%のリスクを排除するのは困難です。また、小売業でも誤って不良品を販売してしまい、お客様が怪我をしたり健康を害したりする可能性はゼロとは言い切れません。
PL保険は「備えあれば憂いなし」の考え方に基づき、突発的な事故で事業を揺るがすような巨額の賠償リスクをカバーしてくれます。

夏場のテイクアウトにも対応している場合もあります。


【PL保険で有名な保険会社と月額費用の目安】

  1. 東京海上日動火災保険 
    日本最大手の損害保険会社の一つで、PL保険の取り扱い実績も豊富です。企業規模や業種、過去の事故歴などに応じて細かく保険料が設定されますが、個人経営の飲食店の場合、月額3,000円~8,000円程度が目安になることが多いです。

  2. 損保ジャパン
    自動車保険や火災保険など幅広い保険商品を扱っており、PL保険でもさまざまなプランを選択できます。基本的には年間一括で支払うケースが多いですが、月額に換算すると3,000円台から10,000円程度まで、幅広い価格帯が存在します。

  3. 三井住友海上
    大手銀行系グループの強みを活かしたサポート体制が魅力です。事業規模によっては独自の割引プランやセットプランが組めるため、最終的な月額費用は3,000円前後から数万円まで幅があります。飲食店や小売業向けの特約を設けている場合もあるため、事業内容に応じた柔軟なプラン設計が可能です。


上記の金額は般的な目安であり、業態や取扱商品、
店舗数、従業員数、年間売上高などによって大きく変動します。

また、過去に事故があった場合やクレームが多い業種の場合は、保険料が高く設定されることもあります。

【まとめ】

PL保険は、大企業だけでなく飲食店や小売業といった中小規模の事業者にも欠かせないリスクヘッジの手段です。

とくに飲食店においては「食中毒」や「異物混入」、小売業でも「不良品の販売」による事故リスクは常に潜んでいます。

こうしたリスクに対して十分な備えをしておかないと、突然の巨額賠償で事業継続が難しくなることもありえます。

一方で、PL保険に加入していれば、金銭的負担の軽減だけでなく、
示談交渉や裁判対応といった専門的なサポートを保険会社から受けることができるため、経営者自身が本来の業務に専念できるという大きなメリットがあります。

リスク管理は経営の要の一つです。
売上アップの施策と同じくらい、あるいはそれ以上に慎重に取り組むべき課題と言えます。

PL保険をうまく活用し、万全の体制でお客様に安心安全な商品・サービスを提供できるよう、事前準備をしておきましょう。

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