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二転三転(ピアノじまい⑥)

お断りするメールを送る。
書きながら、とても申し訳なくなってきた。
ひとりでじたばたと問い合わせしてお断りする、私の「ピアノじまい劇場」に知り合いを巻き込んでしまったのだ。
なんてこった。

メールを送信して、より廃棄についての心が決まったように感じた。
これでいいんだ。

翌日。
ライブでお世話になるピアニストさんとのリハーサルを入れていた。
ひとしきり終わって休憩しつつ雑談。
ピアニストさんならきっと、実家ピアノの経緯について共感してもらえるかなと話してみた。
すると、その方の大学時代の同級生が、不要になったピアノを必要としている人に引き渡す活動を最近始めたのだと言う。
しかもうちの実家の近くじゃないか。

紹介してくださるとのことだったので、ここはひとつお言葉に甘えて、お話しだけでもうかがってみることにした。

その方は音楽教室を営んでいた。
聞いていたとおり、とても丁寧な口調で、詳しく活動内容を教えてくださった。
そして、こちらの話も聞いてくださって、もし使えそうであればとてもいい話だとも。
なんだか希望が持てた。
完全に廃棄の決心が崩れた。

良かったら状態を確認したいと言われて、あれ?この流れ、やったばかりだとはたと気がついた。

お断りのメールを送ったばかりだけれど、やはり最初に相談していた知り合いの方に、先に見てもらうのが筋なのではないか。

ん?この筋ってなんか間違ってる?
いや、もう思っちゃったからそうしよう。

音楽教室の方には正直にお話しして、また改めてご連絡しますと伝えた。

昨日の今日で本当に申し訳ないけれど、改めて知り合いに連絡を取ることにする。

が、その前に。
誰かに立ち会いをお願いしなければならない。
誰かに、というか、もう兄弟しかいないのだけど。

あまり迷惑かけたくなくて躊躇していたけれど、音楽教室の方の話で希望が持てた勢いで、思い切って弟にお願いすることにした。

使ってくれる人がいるならその方がいいと、立ち会いを快諾してくれた。
昔からいざという時に頼りになると思ってはいたが、とても有り難かった。

次は例の知り合いへの覆しメールだ。
再びピアノじまい劇場に巻き込んでしまうという罪悪感を携えながら、ピアノを見てもらいたい旨、メールを送った。
弟と直接連絡を取ってもらって日にちの打ち合わせをしてもらうことになった。

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