【2021年MY BEST BOOK】PACHINKO/リーミンジン著 を読んで
PACHINKO(パチンコ)という本を知っていますか?
・アメリカ最大の文学賞・全米図書賞の最終候補作
・アメリカで100万部突破
・オバマさん推薦
上・下巻からなる大作でしたが一気に読んでしまうほど面白かったです。和訳も超自然。サクサクすすみました。
間違いなく、私の中で今年読んだ本のNO.1でしょう。圧倒されました。日本の話なのに、全然知らなかった。
装丁もすごくこだわりを感じます。表紙をめくるとさらにおしゃれなカバーが貼り付けられています。
話の内容
タイトルからパチンコの話が多いのかな?と思いきやそうではなく、1910年の韓国併合の年から日本のバブル期の1989年までの、在日コリアン一家の四世代に渡る年代記がメインです。
<あらすじ>
主人公の少女ソンジャは今の韓国の釜山に近い島で家業の手伝いをしていました。そこで恋に落ち、相手の子を身籠もりますが、相手には日本で家族を持っていることがわかり一方的に別れを告げるところから始まります。
著者は韓国系アメリカ人。最初の構想から在日コリアンの方のインタビューなどから忠実に話が作られるまで、30年近くかかったそう。
どんなことが分かるか
・祖国が変わっていく様子を遠くから見る姿
・アイデンティティの悩み
・当時の朝鮮や日本の価値観
・当時の日本のコリアンタウンの様子
・帰国事業の際の北朝鮮の誤った情報
自分の国が分断され、全く知らない国になってしまった。
2世以降の子孫は日本しか知らないのに、「コリアンはこうだ」と言われたり、入国管理局から外国人扱いされることがある。
自分は日本人なのか?コリアンなのか?という迷い。
など、この作品を通じて沢山の知ることがありました。
私の経験から感じたこと
私は昔、パチンコホールの経営者さんと関わる仕事をしていました。パチンコ店の経営者の8割は朝鮮・韓国系といわれています。
あの時はなんとなく過ごしていたけれど、これを読んで
・なぜ家族で経営をするのか
・なぜ高学歴の人が多いのか
がわかった気がします。
日本へのヘイト本ではない
「過去の日本人がこんなひどいことをいた!」などのヘイト的な話に焦点はあたっておりません。多少の描写はありますが、こういう風に言われた、こういう扱いを受けたということが中立的に書かれている印象です。
それよりもこの家族が4世代に渡ってどんなことに悩んで、頑張って、今の財や幸せを築いてきたかを中心に話が展開されます。
身近なダイバーシティー
私を含む多くの方から
「外国の文化を学びたい」「ダイバーシティーについて知りたい」
いう声を聞きますが、そんな私たちはまず日本の国の中で実在している在日コリアンの歴史や実態を学ぶことも大切だなと感じました。
↑ダイバーシティーを学ぶならこの本