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『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の感想

別の惑星で有人宇宙飛行に挑んだ男たちの話。最初に結論を言う。良かった。作画も演出も脚本も全部良かった。良いところばかりでなにも言うことがない。

はじめに「別の惑星の話」と言った。
理由その①彼らが地球人類と全然違う文化を持っているから。
理由その②文化は違えど技術は似通っているゆえに異世界と考えるのは不自然だから。
理由その③ぶっちゃけるとSFだから。

話はシロツグ・ラーダットを中心に進む。宇宙軍の同期たちと絡む。変な宗教の女と絡む。国際政治なんてスケールの大きいものとも絡む。シロツグをメインに物語は進行していても、主人公はシロツグというより、この惑星の人類全体だ。シロツグはそれを代表する役割を担っている。だから、もっと規模の大きなこの惑星の人類史とも絡んでいる。

『王立宇宙軍』は地球人類の鏡だ。地球人類が過去したことを現在している。アポロ計画世代ではないと宇宙に行く意味の当時の重さはわからない。でも、この別の星の住人を通してそれを追体験することが可能になる。そういうノンフィクションの役割も果たしている。地球ではもう何度も人工衛星が打ち上げられているし、人間もたまに打ち上げられている。人間のなかの宇宙の重みは減っている。そんな世代こそ観るべき映画だ。

映画を観終わった後、考える。人類の来し方と行き方について。地上で生きている意味について。宇宙に行く意味も。結局、2時間のあいだに地球人類の大反省会をしていたようなものだ。教材はもちろんシロツグたち別の惑星の人類だ。あー面白かった、で終わらない意味ある映画体験がしたければ鑑賞すべきだ。

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