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電動アシスト自転車で事故を起こした場合、普通の自転車で事故を起こした場合より過失割合は大きくなるのでしょうか。

 ご存知の方も多いかもしれませんが、交通事故における過失割合については裁判所の判断が類型化されており、信号機の状況や道路の優劣関係などの基本的な事実関係が明らかになれば、大まかな過失割合はほぼ自動的に決まります。

 具体的には、判例タイムズ社から出版されている「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という本に整理されています。

 例えば、歩行者が点滅してから横断を開始し、赤信号を無視してきた自動車と衝突した場合には、基本の過失割合は10:90となります。

 同じ状況で、自動車が自転車に変わると、基本の過失割合は15:85となります。

 同書によれば、同じ状況でも自転車より自動車の過失の方が大きいのは、

「自転車は一般に四輪車・単車と比較して低速であり、歩行者の横断開始時に自転車が相当接近していた場合でないと事故が発生し得ないから、歩行者が左右の安全確認義務を尽くしていれば、自転車の接近を容易に認識し得たはずであって、この点からも歩行者の過失を問題にしなければならない。」

『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版』138頁

とのことです。

 そうなると、電動アシスト自転車は普通の自転車よりも一般に速度が速いのだから、その分歩行者の落ち度は少なくなるのではないかとも思えますね。


電動アシスト自転車は不利になるのか

 結論から言うと、現状、訴訟において電動アシスト自転車であることのみを理由に過失割合を自転車の運転者に不利に判断することはされていません。

 しかし、自転車がかなりのスピードで走行していた場合の考え方については、以下のように記載されています。

「自転車が時速15kmを大幅に超える速度(原動機付自転車の制限速度である時速30km程度が目安となろう。)で走行していた場合には、自転車修正(筆者注:自動車に比べて自転車を有利に扱うこと)をする理由に乏しいことから、(・・・中略・・・)歩行者と四輪車・単車との事故の基準を参考にして過失相殺率を検討するのが相当である。

『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版』130頁

 適法な電動アシスト自転車では、アシスト機能が働くのは時速24kmまでなので、時速30kmを出すには全て人力が必要となります。

 いわゆるママチャリにアシスト機能がついた自転車だと、時速30kmを出すのはなかなか困難でしょう。

 そうすると、自転車でより気をつけなければならないのは、電動アシスト自転車よりもロードバイクなどの運転者の方かもしれません。

 私もロードバイクに乗っていた時期がありますが、道路や風の状況によっては簡単に時速30kmぐらい出てしまいます。

 もちろん、時速30kmが絶対的な基準となるわけではありません。

 事故の状況によっては、時速30km程度にならなくても、自動車と同じ程度の責任を負うことになる場合もあり得ます。

 言うまでもないことですが、一番良いのは事故が起こらないことです。

 歩行者も運転者も、必要以上に注意をして、不幸な事故が一つでも無くなってほしいです。

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