BLACKJISAYKUMONOE -fated of nemesis-
自己増幅を繰り返したその体内は、鉄屑や固まりかけの砂鉄が歪に絡まり合う異様な光景に満たされていた。
どこに隙間があるのか時折吹く冷たい風が、静寂を嫌うように砂鉄を撒き散らす。
巨大な体躯を冷やすためだろうか、冷却装置の稼働する機械音がこの場の不気味さを際立たせる。
いくつもの眷属や砂鉄の波を躱して、まだら牛は迷いなく歩を進める。
その瞳の虚ろな色は影を潜め、この先に待つ真実を映し出すために光を宿している。
眷属たちは遠巻きに彼に視線を寄越すが動く気配はない。
ただ時折吹く風に