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【論文レビュー】ナラティブレビュー:ボイスはどのように高まり、抑えられるのか

今回は、改めてボイスについてのレビュー論文を見ていきたいと思います。

参考文献

Morrison, Elizabeth W. 2011. "Employee Voice Behavior: Integration and Directions for Future Research." The Academy of Management Annals 5 (1): 373-412.
従業員のボイス行動:統合と今後の研究の方向性

ざっくりまとめ

  • この論文はナラティブレビューであり、従業員のボイス行動に関する既存の理論と実証研究を統合し、今後の研究の方向性を提示することを目的としている

  • ボイス行動は、「従業員が組織やチームの改善を意図して意見や提案を表明する行動」として定義され、挑戦やリスクを伴うことが多いとされる

  • ボイス行動に影響を与える先行要因として、文脈的要因(支援的な文化やリーダーの開放性など)、個人要因(職務態度、経験、職位など)がある。調整要因としては、ボイス行動への安全性、効果性への認知がある

どんな内容か?

リサーチクエスチョン

  • 従業員が組織内でどのようにして意見や情報を共有する(もしくは共有しない)のか?

  • 従業員がボイス行動を選択する動機や、その行動を促進または抑制する要因は何か?

研究デザイン

参照した先行研究文献は1960年代以降の計84件で、特に2000年代の文献が多く(全体の約54%)、当時の最新の研究成果を広範に取り入れてレビューされた

結果

ボイスの定義の整理

  • Van Dyne and LePine (1998)による初期の定義から、最近のTangirala and Ramanujam (2008b)の定義まで6つを紹介している

  • ボイス行動が単なる不平や批判ではなく、組織や業務の改善を目的とした建設的な意図を持つ行動であることが共通点である。ボイス行動がリスクを伴い、組織の現状に挑戦する性質があることも含まれる

従業員のボイスのモデル

ボイスのプロセス

  • 従業員のボイス行動は、組織や職場単位を支援する動機を始点として、文脈的要因(支援的な文化やリーダーの行動など(Dutton et al., 1997; Morrison & Milliken, 2000; Glauser, 1984))と個人要因(個人の性格、職務態度、経験、職位(LePine & Van Dyne, 1998; Detert & Burris, 2007))により影響を受け、また個人の認知(ボイス行動の効果性や安全性の認識)によって調整される(Ashford et al., 1998; Detert & Burris, 2007; Morrison & Milliken, 2000)こうしたプロセスを経て、ボイス行動は促進されるか抑制され、最終的に組織や個人の結果に影響を与える

学び

これまで心理的安全性の面からボイスを見てきましたが、それ以外のボイスを促進/抑制する要因を含めた概観を理解できました。
「心理的安全性が低くても、ボイスが高い状況はどういうことが考えられるか?」という問いには以下のことが言えそうです。
例えば、
1)組織や職場単位を支援する動機として、問題の重要性を強く認識し、それが組織全体にとって重要であると感じる場合
2)個人要因(強い自己効力感や高い役職)によって、自身のボイス行動の効果を強く信じている場合
3)文脈的要因(組織文化や支援的リーダーの存在)によって、声を上げる価値があると感じる場合
などが該当すると感じました。


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