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僕の制服を隠すN先生
今回のかきあつめのテーマは「忘れられない先生」だ。今回は他のかきあつめメンバーも苦戦しているようで、僕も同じ状況にいる。中高時代を思い出そうにも、15年以上前なので記憶がおぼろげになっていく。
自慢できることではないが、当時の僕は教員という仕事からしたら嫌な生徒であったと思う。いわゆるADHDというか、授業は集中できず歩き回っていたし、彼らの日本語の意味は分かっていなかった。
成績も悪かったのでよく三者面談で母親が呼び出されていたのだが、この母親がパワータイプだったりするから、最終的には教員のほうが参ってしまう。とまぁこんな感じで、担任をしていた人間はすべからく距離を置くような生徒であった。
そんな僕が忘れられないのは、高校1年のときの担任であるN先生だ。現国の担当である彼は、アイデンティティ・見浦に羽生善治棋士を足して2で割ったような人物であった。
あれはたしか、京都への修学旅行の夕食の時間だったと思う。どういう経緯だったかは完全に忘れたが、僕含め同級生が部屋から出たすきに、彼は僕の制服をテーブルの下に隠したのだ。そして、たまたまUターンした僕と友人たちにその現場を見られたのである。
たしか、「何してるんですか!」と言うと、ゴニョゴニョ言ってバツが悪そうにしていたと思う。僕はN先生にあまり興味がなかったので、それ以上追撃することもしなかった。
これが僕の忘れられないN先生の唯一の記憶である。
彼が僕のことを気に食わないのは知っていたが、こっち側に降りてきてまでそんなショーモナイことをやるとは。この一件あたりから、「あぁ、教員もヒトなんだなぁ。」と理解するようになっていた。相手はロボットではない。当てれば響く。当分の間は面白がって悪態をついていた気がする。はっはっは。良い生徒ではなかったなぁ。
やー、N先生とか、会いたくもないけど、元気にしてるのだろうか。考えてみると50近くのおっさんになっているんだなぁ。
当時で35歳を過ぎていただろうから、案外今でも生徒の制服を隠していたりしてね。
記事:アカ ヨシロウ
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