絵本を読む時間。その静寂。

少し前に
勤めている児童発達支援・放課後デイサービスの子どもたちに

絵本を読む時間があった。

個別や小集団の療育を基本としている私の職場で

10人超のお子さんに一斉に注目してもらって絵本を読む
ということは、ほぼ、ない。
初めてかな。

どうなることやらと思って読み始めたら

おや?

静寂
静寂
静寂。

物音一つしない。

私の声だけしか聞こえない時間が、多分3分くらい流れた。

絵本の後半、少しだけそわそわした様子が伺えたけれども、
それでも全体的にとっても静かな時間が流れていた。

後でスタッフたちで1日を振り返ったときに
絵本の時間、めっっっっっちゃ静かでしたね!!!
とスタッフ全員驚いていたほど。
(絵本の時間以外は、静かな時間が3分続くことなんてなかった。)

興味深い体験だったので少し振り返ってみる。

初めにことわっておくと
静かに聞く=エライ
と思っているわけでは、ない。

ただ、静寂の中で言葉を聞く時間があることは
子どもたちにとってすごく意味のあることだと思った。

静かにしてないと怒られちゃうから、とか
そういう類の静けさではなくて、
多分それぞれに絵本を眺めて、言葉に耳を傾けていたように思う。
意外とこういう時間って、少ない。

思い返せば1年前、保育園でも同じ経験をしたことがある。
当時2歳児・次男のクラスの保育体験をしたときに
じゃあママ先生に絵本を読んでもらいましょう〜♬となったときも

読み始めたら

すっっっっ


静寂がおとずれた。

それももちろんほんの1〜2分の話。
でも保育園での生活の中で
(少なくとも私が見ている範囲では)静寂の時間なんてどこにもなくて
いつでも耳を塞ぎたいほどやかましい。

別のクラスから明らかに伴奏がおかしいピアノが聴こえてきたり
管理職の先生方による、適切とは言い難い指導があったり
とりあえず全部マイクで喋るし

本当、子どもたち、こんなにやかましい場所で毎日よく頑張ってるなと思った。
(どこの保育園でもそう、ということではないでしょう。もちろん)

そんな中で、得ることができた数分の静寂。
絵本の言葉だけが聞こえる時間。

これってすっごく意味があると思う。

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静けさが無理

という人は一定数いる気がして

家に1人、静かな中でいられないから
帰宅後まずテレビをつける。
そして見ようが見まいがテレビは寝るまで(寝てるときも?)つけっぱなし。

って何人も聞いたことがあるけど

こと、子どもたちには
静かな時間
が必要なんじゃないかと思う。

1分でも2分でもいい。

ただ流れゆく音声を止めて

静かな空間、自然の音だけが聞こえる空間を
作る。

絵本の場合だと、
静かな空間の中で、読み手のあたたかい声が響く。

あたたかい声っていうのが
これまた実は少ない気がして。

意識してみると
大人が子どもに向けて発する言葉って
(言い方のキツさやわらかさはあるけど)
指示命令にあたるものが、めっっっっっちゃ多い、ことに気づく。

でも、絵本はその真反対にいてて、
読み手の声にコントロール的な要素が、ほぼなくて

純粋に、読み手から聞き手へを思いやりながら読んでいるその気持ちが
そのまま声にのっかってくる。

思いがけず
子どもたちと良い時間がもてたなって思った ◡̈

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今、大人の世界では
断捨離とか
終活とか

多すぎるモノを減らす

ことが大切にされている向きがある気がするけど

子どもの世界はどうだろう。

あれも
これも
それも

いっぱいいっぱい頑張らせちゃったり
過剰になっていたり
することが、多分あると思う。

も然り。
本当に必要、ではない音があふれている。

絵本を読む声は、
子どもにとって、本当に必要な音 だと私は思う。

本当に必要な音。
本当に必要な声。
本当に必要な場所。

子どもたちに何が提供できるか。
改めて考えるよい機会になった◡̈

おわり。

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