大小田万侑子さんの挿絵 〜初めての本づくり その4〜
今回は、『やまとかたり あめつちのはじめ』新装版の重要な役目を果たしている、挿絵について書いていきます。
新装版を作ることになった時から、挿絵は初版と同じ大小田万侑子さんの絵にしようと決めていました。
名前からわかるように、万侑子さんはこの本の著者、大小田さくら子さんの娘さんで、お腹の中にいる時からお母さんが読み聞かせているたくさんの絵本を聞いて育ち、古事記についても感覚で一番理解されている作家だと思っています。
現在は型染め作家として活動されていますが、小学校の頃からペンでずっと絵を描いていたというエピソードなど、作家になった経緯はこちらのインタビューに詳しくありました。
https://tobira-project.info/blog/2017_okoda.html
作品を初めて見せていただいたのは2015年だったかな。まだ万侑子さんが大学生だった頃でしょうか。円覚寺の如意庵で個展をされた時でした。
その後、大作もたくさん作られていて、自然と生き物のイキイキとした表情、スケールの大きさと細部の緻密さ、自由に展開する物語など、見れば見るほど圧倒される作品。。。
構想や下絵を丁寧に描くかと思いきや、この細かな図案を、ざっくりした下絵のみでペンで絵を描くようにカッターで切っていく、というので驚きます。
大小田万侑子さんの作品の魅力は、実際にじっくり見て、見ても見てもいろんな物語がその中に描かれていて、これが染物作品だということを忘れてしまうくらい楽しいのです。
小さい頃から古事記が身近だった彼女が想像する神々の世界、ストーリーも本当にユニーク。作品に言葉をつけたものが、こちらにありました。まるで絵本の世界。
https://okoda-mayuko.tumblr.com/
実際、インタビューの中でも語っているように、絵本にも興味があるそうなので、きっといつか本当に彼女独自の世界観の絵本を作ってくれるのではと期待しています。
今回の『新装版 やまとかたり あめつちのはじめ』では、その大小田万侑子さんのペン画を中心に、藍染作品も大扉や見返し、本文に見ることができます。
大小田万侑子さんの藍染作品【ものがたり文様Ⅱ -春日の神さま-】は、奈良の春日の神さまである鹿さんたちと藤が染め描かれていて、とってもかわいい作品。先に書いた、こちらにあります。
最初は、ぜひ表紙にしたい!と思っていたのですが、布貼りの表紙には箔押しが難しいということで断念し、大扉にさせてもらいました。
初版用に描かれたペン画は、万侑子さんが高校生の時のものでした。今回、新装版のために描き下ろしてもらったペン画と初版のものも合わせて、中面の本文はもちろん、表紙や扉にもふんだんにちりばめられています。飯野明美さんが大胆にデザインしてくれた一例をお見せします。
大小田万侑子さんの作品の数かずが、本文のデザインにもカラフルに活かされていて、見るのも楽しい本になっています。
中面のデザインについては、また改めて書きたいと思います。