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#iOSDC 登壇裏話と、60分登壇をやり遂げる技術
「ブログを書くまでがiOSDC」ということできっちり終わらせていきます。この記事はスピーカーとしての記事で、コアスタッフとしての記事は別途書きたいと思います。
登壇内容
「すべての人のためのアクセシビリティ対応」というタイトルで60分登壇しました。スライドはこちらになります。結局194枚のスライドになりました。
なぜアクセシビリティの話にしたのか
きっかけは今年の WWDC でした。Swift UI や Combine の話ももちろん魅力的だったのですがアクセシビリティの向上もかなり魅力的で、特に Voice Control は日常的に使おうかと思ったくらいでした。まだアプリ側の対応が追いつききれてないこと、英語しか対応してないこと、こころなしかバッテリー消費が激しいことなどから本格使用には至ってませんが、いずれは一般的に広まっていく(広まっていってほしい)機能になるのではないかと思いました。そんなこんなで今まであまり意識することがなかったアクセシビリティ機能ですが、自分も、周りのみんなも意識すべきではないのかと思い、CfP を出しました。
こうゆう経緯なので普段の開発でアクセシビリティ対応をすでにしているわけではなく、これから対応できたらいいなという思いで始めました。
登壇準備〜スライド準備編〜
去年 AutoLayout のデバッグの話を30分した時は1ヶ月前から準備してもかなりギリギリだったので今度は1ヶ月半以上は準備期間を取ろうと思ったんですが、結局7月末まではどうしても時間が取れず、また1ヶ月程度での準備になりました。平日は家に帰ってきてから、休日は遊びたい気持ちを抑えてちょっとずつ作ったものがこれ↑です(非常にキツかった…😇)。
■章立て作成
最初はこんなことを話したいなーと思うことをざっくり洗い出しました。その上で「ここらへんは調べておいた方がいいな」と思う事項を順に調べていきました。今回の場合だと HIG と WWDC 動画は避けて通れなさそうだったので、そこらへんを翻訳して少しずつ自分の中で消化していきました。
■サンプルコード作成(未達)
実プロダクトで取り組んでいない分サンプルコードをいっぱい作って理解を深めたり、アクセシビリティ機能の実用例を妄想したりすることに時間を割きたかったのですが、叶わず。調べたことをまとめただけのものになってしまったかなという反省はあります。
登壇準備〜トーク準備編〜
今まで「まあだいたい1時間くらい」という登壇(というか半ハンズオン)はしたことがあったのですが、「きっちり60分トーク」というのは始めてだったのでいろいろ工夫しなくてはなりませんでした。
■章ごとに読み練習
全て資料が完成してからではなく、ざっくりと章ができたらその章だけ読み練習をしてしました。全てが完成してからだと読み練習の期間が短くなってしまう、削る作業が連続すると飽きそう、どのみちどの章でどれくらい時間がかかるのかは削る時の判断材料として必要、などが理由です。とはいえ完全にバラバラだと章の関連性がわかりにくくなったり集中力が鍛えられないので、時間がある時は複数章を連続で読んでました。ちなみに読み練習を始めたのは1週間くらい前、全ての資料が完成したのは確か iOSDC の前日あたり、最初で最後の通し練習をしたのは発表の前日でした(今回かなりギリギリだった…)。ちなみに通し練習で数分オーバーしましたし、1回練習しただけで一時的に喉が痛くなりました。60分恐るべし。
■注意を向ける仕掛けを入れる
60分という長い時間聞いてもらうことになるのでたまに「切り替え」が必要かなと思い、数回「Siriを普段使っていますか?」のような挙手制アンケートを取り入れました。結果によっては話の内容をちょっと変えたりネタにできて便利なのでたまに使っている手です。
■ラップ時間の計測
時間を守れるかどうかは一番心配していたところでした。時間が長いということもあり、喋るペースをミスるとかなり調整しづらいので…。ということで最後の通し練習をしたタイミングで、「この章タイトルスライドを通過した時、xx:xxだった」という記録を付けました。そしてそれをスライドの登壇者用ノートに書きます。↓実物こんなかんじです。
実際の経過時間と事前にメモった時間が同じくらいなら、いいペースということになります。これはかなり役立ちました。
■予約ツイートの仕込み
前回も今回もやって、周りの反応も良かったこととしては、予約ツイートがあります。スライドで紹介したツールのリンクや「詳しくはここ見てね」のリンクを共有したかったので、いろいろと予約ツイートをしました。予約時間の設定は先程記録したラップ時間が大いに参考になりました。登壇資料を事前に流すのもこの予約ツイートでやったので、忙しい時に焦らずに済みました。
予約ツイートの準備完了 #iosdc pic.twitter.com/YhrL5r2JTf
— akatsuki🍶 (@akatsuki174) September 7, 2019
■宣伝ブログ執筆
単に事前ブログ特典がほしかったからという理由もあるのですが、1記事書きました。書くことによって自分の考えが整理されたり認知してもらうことができ、書いて良かったと思っています。
本番
登壇という点ではわりと成功だったのではないかと思ってます。満席+立ち見だったので100人くらいはいたのかな。ありがたや。
自分のトーク開始時間は14:20だったのですが、2分ほど前に時間をもらい、こんなスライドを映して喋ってました。
これは自分と、聴衆のアイスブレイクの意味合いも含んでいます。「はいみんな笑顔お願いします〜」とか言って登壇者席から見た聴衆席の写真撮って遊んでたりしました。アイスブレイクです。
トークは結果的に20秒余らせて終了、予約ツイートは(みんなの反応を見るかんじだと)ぴったりだったようなので、上記のような準備をしておいて良かったと思いました。
今回の登壇を通して考えたこと
資料を作っている時、及び質問をもらった時に考えたけど、未だにすっきりした答えが出ていないことが2つあります。
1つは「どうやって周りの理解を得て、取り組むか」。諸々の施策が走っている中、その手を止めてアクセシビリティ対応に工数を割くのは苦労するかもしれません。地道ですが社内勉強会を実施したり、「実際対応したらこんな体験ができるよ」と伝えてみたり、むしろ勝手に一部実装して使ってもらったりすることが大事なのかなと思います。必要であれば(あまり適切ではないと思うものの)費用対効果をシミュレーションしてみることも必要かもしれません。実際試しに入れてみた場合は、これ↓を使って計測してみるのもいいのかもしれません。
isVoiceOverRunning の on/off をトラッキングすることで、どれくらいのユーザがVoiceOverを使って自身のアプリを使ってくれてるかの計測ができて数値化出来たりしますね #iosdc #e
— Ryo Abe | freee (@RyoAbe) September 7, 2019
もう1つは「障害者に寄り添い、実際に役に立つようなアクセシビリティ対応をするためにはどうしたらいいか」。まずは自分が体感してみる(cf. 高齢者体験)とかも一つの手だろうし、実際に障害を持っている方に使ってもらうのも手だろうし。とはいえそれだけでは何かが足りない気がしていて。継続的に考えていくべきだなと思ったことでした。
おまけ:くすっと笑ってしまったツイート
「閃光を放つ表現はよくない。昔ポケモン(ポリゴン)ショックで気分が悪くなる子が大量に出たことはまだ記憶にあるはず。」という話をしていたときのもの。もう忘れてしまったけどそうだったのか…。ポリゴン風評被害…。
ポリゴンショックの犯人はピカチューさんでポリゴンさんは悪くないんやで #iosdc #e
— もりし (@m_orishi) September 7, 2019
Siri ショートカットの話をしているときのもの。確かに(コマンド名を覚えてられれば)こうした方が楽しそうw
Siri ショートカットで呼び出す時のコマンドを「プランB」とか「一掃作成」とか「メガンテ」とか登録して呼び出すとちょっと面白そう。
— ありぜ (@a_aryzae) September 7, 2019
(使わなかったらコマンドと内容がなんだったか忘れそうだけどw)#iosdc #e
アクセシビリティ機能が広まったら、AmazonダッシュならぬSiriダッシュが登場して便利になるのではないかという話をしていたときです。いいネーミングw
Amazon DashならぬSiri Dash。
— ありぜ (@a_aryzae) September 7, 2019
それなんていう パSiri#iosdc #e
最後に
これを機にアクセシビリティというものに対して少しでも考え、あわゆくば実際に対応してくれるプロダクトが増えるといいなぁと思っています。
宣伝
来週、リジェクトコンをやります。すでに定員に達してますが、きっと直前にキャンセルも出ると思うので興味がある方はとりあえず申し込んでおいてください。
また、今回は一般トーク枠も用意しました。普通の勉強会と同じ感覚で申し込んでもらって大丈夫です。内容は iOS エンジニアが聞いて楽しそうならOKで、技術の話に関わらず、デザイン、マネジメント、マーケティング、心理学等々でも構いません。iOSDC を経て発表意欲が湧いた方、ぜひお気軽にお申し込みを。
おわり。
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