見出し画像

麒麟がくるレビュー・2軍       その21「決戦!桶狭間」ついに!

私の単なる思いつきで、今年82歳になるじーちゃん(日本人。日本在住)と12歳になる息子・エル(日本人とスペイン人のハーフ。スペイン在住)にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のレビューをお願いしている。
今回でドラマはしばらく休止なんだよ、じっくり堪能したあとはじっくり意見をお伺いしようではないか。

信長はええなぁ。

6月7日を最後にして、『麒麟がくる』のドラマ放映がしばらく休止になる。こんな時になって、がぜんこの番組が好きになっのがじーちゃんだ。

「ま、信長はええですなぁ」
そう言って82歳は遠い目をする。
(ウソです。電話で喋ってますので、顔を見ていません)
「わしはこの信長を見るために『麒麟がくる』を見ようと思う」
早い話、じーちゃんは信長のファンになった
というのも・・・。

【じーちゃんの心を掴んだ信長のスゴさ】
・最初はこいつ(信長を演じる染谷将太)はどーなるかと思うたが、最近は堂々としてええ役者になった
・こいつ(信長)は賢い。誰にも頼らず、自分で敵方の兵の数までうまく操り、兵の数を計算して戦略を立てた
敵の性格をよく知っている。今川義元を探すには「輿を探せ!」といったじゃろう? それも信長が義元の公家っぽい行動を知っていたからじゃ

うん、今回はじーちゃんの意見に納得。
さすがの帰蝶も今エピソードでは口を挟む余裕はなかった。
信長はただの怖い物知らずなのではなく、きちんと敵を知り、戦略を立てて戦いに臨むキレキレの武将だったね。
じーちゃん、それを評価したんだね! そーだね? 

そしてじーちゃんは続ける。

大体、戦場に向かうのに輿に乗るなんて、どういう了見なんじゃ? 何様のつもりじゃ。(←今川義元様じゃ)
・ちょっと思い上がっているようじゃのう

話しは信長を褒めるより、今川を非難するほうへとシフト。
そしてエスカレートしていった。

悪口は続く

今川ちうのは、武家というよりお公家さんじゃろ。お公家じゃあ、戦うのはちょっとのう(半笑い)←明らかにじーちゃん自身は武家の目線
・今川家は前の代からの財産や地位を受け継ぐばかりで、他の武家のように積み上げた努力ちゅうもんがない(断言)
信長のように、下々の者の気持ちが分からんのが今川じゃ。松平元康を怒らせたのも、そういう現場の人間の気持ちをわかってやれんからじゃ

ふんふん。
じーちゃん節は続く。

今川氏なんてものは、今の官僚みたいなもんじゃ。コロナへの対応だって自分たちの都合ばかりを考えて、本当に困っている元康やわしら庶民のことなど考えてはおらんのじゃ、政府も大臣も官僚も(いろいろごちゃ混ぜ)
・わしが昔勤めていた会社Kには学閥があってのう。いわゆる帝大出身の者(≒公家)ばかりが力を持って、わしら私大出身の者(≒武士)は現場で苦しむんじゃ
・今、そういう一市民の声を聞くような、現場がわかるようなそういう人間がおらん。どうなっとるんじゃ

完全に主題が変わっている。
話しを切り上げたい私が
「やっぱり仕事は現場主義だよね」
とテキトーにまとめるとじーちゃんは満足そうに、うん、と言って話しが決着した。

で、義元の最期はどうよ、じーちゃん?

じーちゃんの会社のことはどーでもいい。
レビューらしいこと喋ってもらわんとね。

「で、今川義元の最期、どうやった?」
と私が斬り込んだら、じーちゃんが早口で答えた。
「ああ、死んだな。足をやられたところで、織田方の武士がぴょーんと飛んで降りて殺した。ま、周囲の者も殺されていたから時間の問題。仕方ない。死んだ死んだ」

え。それだけ?
毛利新介の派手なアクションのこととか、義元の見開いた目に現われる恐怖の演出とか、意気投合したかったんですけどー!
ほんっとにじーちゃんの視点は、斜め上というか斜め後ろ。

エルがカッコイイと思った場面

合戦好きのエルにとって、桶狭間の戦いは僥倖である。
彼のお気に入りカッコイイシーンは以下の2つである。

【エルオススメのカッコイイ場面】
・今川義元が毛利新介に殺される瞬間。殺される人の目って初めて見た-!殺す方だけじゃなくて、ドラマは殺される方も見せたかったんだね。それがカッコイイ。義元は、あの時「ああ、オレ死んじゃう」って思ったんだよ。
・松平元康の家来たちが、食事の最中に戦いに行かないよ、と言って怒って床を殴り続けるところ。意地悪なオジさん逃げちゃったしね。

エルはじーちゃんと同様、信長の作戦を高く評価。

【エルが信長を評価する点】
・自分のお城の中にスパイがいるのを知ってて騙すためにわざと「ロージョー(籠城)」って言った
・兵の数を自分で計算して出陣のタイミングを決めた(計算だけだったら僕も出来るけどね!
帰蝶のアイデアなしでもやれた!

ハッピーエンドの影に

今回のエピソードは、信長の勝利、松平元康の三河への帰還で一応のハッピーエンドを迎えた。
しかし、その影に霞む心配事にエルは気づいていた。

【エルが思うヤバいこと】
・信長が、わざと今川兵を呼ぶために300の兵を出したでしょ。あれ、きっと全滅だよね・・・?
・芳仁さんは、死にそうな感じ。でも調子悪いならなんで自分の薬を飲まないの? 何にでも効くのに。
光秀は何もしていない 笑。「俺ヤバい」って思わないかな?
左馬之助がどっか行った
・光秀は質問しすぎて信長に無視されちゃった 笑
・光秀は嬉しそうに最後に馬で走っていった。あんな行き先も書いてない道路でちゃんと家に帰れる? 左馬之助いないけど大丈夫?

皆さんはうちの2軍のエース、エルが心配することを既にお気づきだったであろうか。

今後の『麒麟がくる』への期待

しばらくお休みになっちゃうけど、我々はそれをポジティブに捉えよう。
会えない時間が長ければ、その分再会したときの喜びも大きい。
恋人みたいなもんである。
というわけで、2軍の2人に今後を予想してもらった。

【じーちゃんの予想】
・なんかわからんが、わし、織田信長に期待している。信長はでかいことをするぞ。光秀? いや、もうわしは見ていて安心感のある信長がいい。もう半分主人公みたいなもんじゃ
・駒ちゃんはこれでもう役目はなくなったからそろそろドラマからさよならじゃな。京へ帰っておしまいじゃ。え? まだ出てくるのか? あの万能の薬持って? また無茶苦茶になるのう。
【エルの予想】
・信長は美濃を取るでしょう
・予告編で来ていた服がキレイだったから、秀吉が光秀より偉くなってるかも
光秀は信長チームにさっさと入って!(←予想じゃなくてお願い)
・(本郷奏多演じる)近衛前久は、なんかちょっと怖い人かもよ。『キングダム』の映画で見たから知ってる
光秀の髪の毛が薄くなるんじゃないの、そろそろ?(←すんません。これ私のせい。光秀が信長にキンカ頭と呼ばれて笑われた逸話を話し・・・)

おわりに

放映休止は残念だけれど、年を越してもきちんと予定通りドラマを完結させるということだから、我々2軍もおとなしく待つしかない。
これまでの話しを思い出したりしてドラマの再開を楽しみにしたい。

ただ、
「来週からしばらくお休みだね」
と私が言ったときの2軍の反応が、残念がるというより安堵したような感じだったのが少し気になるが。

また、エルはともかく、じーちゃんが今まで積み上げてきたこと(つまり記憶ですが)全てを失ってしまうのではないかと心配だ。

大河ドラマウォッチャーとして、少し成長したエルは、日本語の語彙も増えたようである。
「さては」「やや子」「乱取り」
こんな語彙を持つ子はちょっといややけどな。