すべてが登米になるの思い出話
頒布してから1年経ったし、そろそろ目標売上数に到達しそうなので、デザイナーズノート的なことを書こうと思った。が、ただの思い出話になってしまった。
すべてが登米になるとは、ボードゲーム制作サークルのゆるあーとが2019年秋のゲームマーケットで頒布したボードゲームである。宮城県の登米郡を登米市に合併しようとするエリアマジョリティ、ハンドマネジメントゲーム。
詳細は下記URLを参照。
https://bodoge.hoobby.net/games/subetegatomeninaru/instructions/14981
発端
エリアマジョリティにおいてエリアとエリアがゲーム中に融合するの新しいのではないか、というアイデアから始まった。
確かこれは2018年の10月頃だったと思う。思い付いてすぐに披露した。その場にゆたかさん(ハンザの女王の人)、ぼーずさん(クイズワーカープレイスメントの人)、ににさん(富山の人)がいたのを覚えている。
アイデアを披露して満足したので、そこで一旦塩漬けとなった。
年明けて3月頃。テストプレイをするも何かしっくりこずに塩漬けにする(2回目)
そして5月頃、ゆたかさんから登米作んないのと言われ、ようしやるかと重い腰を上げる。確か苦竹のカレー屋の帰り道。
共通ボード周りについて
思いつきに沿って盤面で決算を行うと少しずつエリアが広がっていく作りとした。点数の入り方も「各エリアに人員を貯めて、エリアを繋いでから決算すると偉い」の方針によりシャハト算を取り入れている。また、タイブレイク解決用にトラックも設けた。それだけではタイブレイクトラックに魅力がなさ過ぎるので、決算に対するカウンター的な得点要素も詰め込んだ。さらに、序盤はあまり土地が繋がらないので、立ち上がりの魅力が薄いとの指摘を受けて、助走というか補強として使い捨ての友好コマも追加。
各地域で2位以下を目指し、たくさん繋いでから決算で1位を取る動きがやはり強くて結構下方修正したものの、コンセプト通りなのでそこそこの強さで調整。
ところで、この動きの元ネタは漫画のビーダマンの試合です。ガンマが敵陣のブロックにビーダマを貯めて、タマゴが一気に吹き飛ばしたやつ。伝わる?
手札周りについて
手札周りは当初AP制としていた。手番開始時に数ポイント与えて、そのポイントで場所カードをプレイ。さらにポイントを払ってそこに置くコマの個数を決定する。また、手番終わりに共通の山札からの手札補充枚数もポイントを消費するような考えだった。
そして、何より共通山札としていた。共通だと引けないとどうしようもない時がある。また、決算が済んだ土地ばかり引く問題も発生したため、個人デッキとなった。最上川の経験が生きたな。
ついでに複雑になるためAP制を断念。ただただ手札からのカードプレイでコマを置いていく形としていたが、幸町のサイゼリアでゆたかさんから「手元のアクションが面白くなきゃダメなんだよ」と熱く語られる。なるほどなるほどと頷いてその場で現在のルイスクラーク+モンバサのような手札の流れを作った。使ったカードは片方から回収するため、同じ土地に再度置くか、単価の高いカードをもう1回使うかというジレンマを設けられている。
手札の手前3枚しか使えないのは、ただ山札を見えるようにしただけ。
なんで登米なんですか
この1年で「なんで登米なんですか」と聞かれまくった。答えは「ゲームの都合に合致していたから」である。
エリアが合体するというメカニクスを表すテーマで思いついたのが市町村合併であった。ゲームの都合上10エリア程度必要であり、ゲーム中に合体していくのでそれぞれが適度に隣接していなければならない。
前作の最上川が山形県だったので、今回は宮城県で探しはじめ、北部から気仙沼、大崎、栗原、登米と見て登米がちょうどいいなーって決めました。本職の業務でちょこちょこ行っていたので親近感もあったしね。
また、製作時点ではご当地ゲームの意識は全く無く、ユーロゲームに多い都市名やランドマークをそのままどーんと持ってくるのに憧れて真似ています。カルカソンヌ、パリ、ブルゴーニュなどと同じ感覚。
海外のデザイナーが東海道やら富士やら神奈川やら、果ては日本そのものを抑え始めているので、日本の土地やランドマークは日本デザイナーから発信していきたい。みんながんばれ。
グラフィックデサインについて
とのやま先生がうんうん唸りながら色々試行錯誤してくれた。
特にロゴの旧町村がうっすら書いてあるやつが好き。合併がロゴで表現されているのだ。持ってる方はぜひ再度確認しよう。持ってない人は買って見てみよう(宣伝)
表紙のおじさんは当初若々しかったので老けさせてとお願いした記憶がある。伝えたイメージは、逆転裁判の亜内検事だった。
庁舎も写真資料よこせと言われたが、スルーしてなんとかネットで見える分で頼むとお願いしたりと無理強いをしている。ごめん。ありがとう。
また、カードも実はもっと凝った装飾を入れてもらっていたんのだが、視認性の関係で現状のものに落ち着いた。
当日はどうだったの
全国の登米市民がやって来てくれた。
登米市から直接来た方もいらっしゃれば、出身地で実家があるという方、お隣の一関市や涌谷町、気仙沼の方も来ていただけた。
また、その場の僕の必死なプレゼンで買ってくれる方もちらほらいて、とてもありがたかったなぁ。
接客については、都合によりとのさんが来れなくなったので元登米市民に助けてもらい乗り切った。後半は通りかかったラブリー会の中の人や仙台勢にも助けて頂いた。感謝!
反響
遊んで頂けた方には概ね好評頂いている。後半、派手に点が取れる点やカードマネジメント部分が誉められると嬉しいですね。
また、地元を題材にしていたため、地元のテレビ番組、地元の新聞、地元の雑誌などにちょこちょこ紹介して頂いた。嬉しい限りである。
ここまで地元の方々に反響があるならば、もう少しルール量の少ないゲームのほうが良かったなと思う。しかし、作りたかったのはもうちょいゲームに慣れた人向けだったので仕方ない。
今後、地方をテーマにゲームを作る皆さん。ゲームに触れてない方が興味を持ったときのためにシンプル目なゲームのほうが良いよ。
今後
2020春、秋のゲムマは知り合いのとこに委託しようと思っていたが、コロナの関係で流れてしまった。さよなら頒布のタイミング。
通販や委託も実施してはいるが、やはり1年経つと動きが渋い。
来年の朝ドラが登米市と気仙沼市ということで、便乗して売れたら良いなと思っている。がんばれNHK! がんばれモネ!
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