詩「ボクシング、かもね」
左手で書いたせいでこの詩は歪んでいる
歪んだ詩は死だ 悲しくない死だ
遠くでボクサーがばすばすと殴り合う音がする
もしかしたらセックスの音かもしれない
セックスと殴り合いは似ている
僕の想いは拳に握られた途端に虚になっているし
僕は突然きみの腹を踏みつけている
産んじゃ駄目だ
産んじゃ駄目だ
産んじゃ駄目だ
きみは妊娠なんかしていないし蛇でもない
言葉だ
僕はきみから産みだされる言葉を恐れいる
きみの嘔吐物を恐れている
いつのまにか流れていた血は僕を
救う 救わない
温度は毒