つれづれ雑記 *パリパリvsふわふわ、の話*
10月だというのに、ここ最近の日中は季節外れのカンカン照りの暑さが続いている。
なかなか涼しくならない、ゆっくり過ぎる季節の歩みに、少々うんざりする向きもあるだろうが、日々の洗濯を担当している者としては晴天は非常にありがたい。
私は基本的に天日干しが好きだ。
食べ物の話ではない。洗濯物のことだ。
太陽の光で乾いた洗濯物のあの匂いが私は大好きなのだ。大げさでなくこの世で一番好きかもしれない。
そして、その手触りはパリパリに乾いているのが望ましい。
そう、私は洗濯物がパリパリ、もしくはバリバリに乾いているのが好きなのだ。
しかし、どうも世はふんわりふわふわが全盛らしい。
テレビでは連日、洗濯物をふんわり仕上げる柔軟剤のCMが目白押しだ。
スーパーやドラッグストアの棚にもこんなにあるのか、と驚くほど多種多様な柔軟仕上げ剤が並んでいる。
みんな、そんなにふんわりふわふわがいいのか。パリッと乾いてるほうがよくない?
この私の主張は、家族、ことに娘たちにあまり歓迎されていない。
ふーん、そう、ああ、わかったわかった、という感じ。
おまけに言うことには、パリパリもいいけどね、あんまりパリパリのタオルで顔拭いたら、ヤスリで顔拭いてるみたいなんだけど。
私だって、何でもかんでもパリパリがいいと思っているわけではない。
化繊のふんわりした薄手のブラウスや、ざっくりしたニット、ストンとしたトロミ感のあるスカートなど、確かにパリパリに乾いてしまっては台無しのものは存在するし、そういうものはちゃんとお洒落着用洗剤で洗っている。
でも、木綿素材の、特に、タオル、シーツ、枕カバー、バスタオル、シャツ、なんかは、絶対、音がするくらいパリパリがいい。
ジーンズなどは、ゴワゴワでもいい、いや、むしろそのほうが好きなくらいだ。
そう力説する私に、次女は、えー、でも私、ジーンズはクタクタがいい、と宣う。
洗いざらしのさ、クタッとなってるの、よくない?
それは、何度も何度も洗い込んで出てくる風合い、ってやつだろう。
そうなるまでに、そのジーンズは幾多のパリパリゴワゴワを乗り越えてきているのだ。
そもそも、なぜ私は洗濯物パリパリが好きなのか。
どうやら母の影響らしい。
私の母も洗濯物パリパリ派だ。
シャキッとしているのが好き、ということで夏には必ずシーツやTシャツ、パジャマに糊付けをする。ときどき量を間違えて(母はなかなかに大雑把なのだ。そして、その遺伝子は残念ながら私にも脈々と受け継がれている)板のようにパリンパリンになることもあった。
パリパリのお日様の匂いのするパジャマをお風呂上がりに着るとそれはそれは気持ち良かった。
ただ、ときどき糊があまりに効きすぎていて、また、そんなときに限ってプールや海で日焼けしていて、首筋に固い襟が当たってヒリヒリしたこともあった。
日本は雨が多い。梅雨になると何日も雨が降る。そんなことを考えると乾燥機はものすごく便利だろう。私も娘らが小さい頃は使っていた。
それに天日干しができるのは、まだ日が高いうちに帰宅できる人だけだ。ある意味、贅沢なことなのだろうと思う。
乾燥機で乾燥させるとふっくらふんわりとなる、のかな。なるのだろう。もう長いこと使っていないのでよく知らないのだけど。
乾燥機で、お日様に天日干ししたようにパリッと乾かせる機種が出たら、ぜひ欲しい。
そんなことを考えながら、今日もピンチや竿から外した洗濯物がそのままでもピンと立つほどパリパリに乾いているのを取り込みつつ、そうそう、こうでなくちゃ、とひとりで悦にいっている私なのである。
……ただ、さすがにもうそろそろ涼しくなってもいいんじゃないのかな。