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つれづれ雑記 *フルコースを食べた話*


 昨日、私がフォローさせていただいている、へんいちさん、と言われるnoterさんの記事に、神戸のオリエンタルホテルの話があった。


 へんいちさんは、地元神戸のこと、美味しい食べ物のこと、その他いろいろ興味深い記事をわかりやすい文章で記事にしておられて、私は毎朝読ませていただくのをとても楽しみにしている。


 この記事で紹介されている、オリエンタルホテル、という神戸の老舗ホテル。
 このホテルについての詳しい話は、へんいちさんの記事を読んでいただいたらお分かりだと思うが、私はこの記事の中の1995年に廃業した4代目の旧オリエンタルホテルに、3回だけ行ったことがある。

 1回目は、そう、40年くらい前かな、卒業間近の高校3年のときだ。
 オリエンタルホテルで3年生全員でフルコースを食べる、というイベント(?)があった。洋食のテーブルマナーを学ぶため、という名目だった。
 
 あれは一体どういうコンセプトで企画されたものだったのだろう。
 高校を卒業して、就職するにせよ進学するにせよ外の世界に旅立っていくド田舎、いや、地方の若者に、大人としての最低限の常識を教えてやろうという心優しい(?)企画だったのかもしれない。

 誤解のないように言っておくが、私の通っていた高校はバリバリの公立高校で、決してお金持ちの子弟が通うような有名私学などではない。
 このときの費用も送迎のバス代プラス食事代で、そこまで高くはなかったように思う。
 ちょっと変わった卒業遠足みたいなものだったのかもしれない。

 当日のことは、残念ながらそこまで詳細には記憶していない。
 覚えているのは、ホールに並べられたテーブルにピシッとかかった真っ白なクロス、きれいな形に畳まれた白地に織り柄の浮かぶナプキン、ズラリと並ぶフォーク、スプーン、ナイフ、糊のきいたこれまた、真っ白なカバーが掛かった椅子。
 テレビとかパンフレットとかでよく見る、近代的な高級ホテルのようなきらきらした豪華さは無いものの、落ち着いた静かな雰囲気があって、これが格式というものなのか、と当時の私は思った。

 食事の前に、どういう役職の人かはわからないが、ホテルの人が挨拶して、フルコースの食べ方やフォークやスプーンの使い方をざっと説明してくれた。
 そして、オリエンタルホテルの歴史や現在の設備の説明もあった。今から思うと、将来、学生たちに何かの折にホテルを使ってもらうための広報も兼ねていたのかもしれない。

 肝心のフルコースについては、まあ、値段が値段だけに、そこまでのクオリティは期待できない。でも、初めて食べる本格的(形だけは)なフルコースで、みんな緊張して食べていた。
 が、前菜、スープ、パン、肉料理、魚料理、と進むうちにだんだん場に慣れてきて、あちこちで小声で会話(ねえ、これ、何やと思う?とか、これ、美味いやん、とか)したり、クスクス笑い(何、その食べ方、下手過ぎん?とか)したりし始め、和やかな雰囲気になった。

 最後、デザートの果物になったときにちょっとひと騒動があった。
 果物はバナナとミカンとリンゴが選べたのだが、説明によると、ミカンは普通に手で剥いて食べる、バナナは皿に置いたまま皮を一部剥いてナイフで切って食べる、リンゴは何とナイフで皮を剥いて更に切り分けて食べる、と言う。
 当然、1番簡単なミカンに人気が集中し、次にバナナ、出遅れた者は1番面倒なリンゴを食べる羽目になった。
 今思えば、そんなことしないでいっそのこと、皮ごとかじってしまえはよかったのだろうが、思春期真っ只中の田舎の高校生にはちょっとハードルが高過ぎたのだ。ちゃんと律儀に皮を剥いて食べていたらしい。

 その後、何年か過ぎて、私は大学の謝恩会と友人の結婚式であともう2回、この旧オリエンタルホテルを訪れることになる。

 ちなみに、結婚式をあげた友人は高校の同級生で、このフルコースイベント(?)にも一緒に参加している。
 このときのことを覚えていて、結婚式会場にここを選んだと言っていたから、あのときの広報は数年後に功を奏したことになる。

 旧オリエンタルホテルの跡にあるオリエンタルホテル神戸には、前を通ったことはあるものの、入ったことはない。
 いつかまた、その友人と訪れてお茶でもしてみるのもいいかもしれない。
 
 
 へんいちさんの記事を読んで、すっかり忘れていた、昔のことを思い出しました。
 
 ありがとうございました。

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#この前フルコース食べたのいつだっけ