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つれづれ雑記  *時計が進み過ぎる話

 我が家の台所の一番よく目につくところにずっと掛かっていた時計があった。
 四角いシンプルな掛け時計だ。
 これが古くなってきたのか、じわじわと時間がずれてきた。

 我が家の台所のラジオは、ほぼ一日中つけっぱなしだ。ラジオの時報が鳴って時計を見ると1、2分早い。
 あー、ちょっと進んでるなー、と思ってそのままにしていると、いつの間にか、3分、5分、と早くなっている。

 朝寝坊でのんびり屋の多い我が家のこと、皆を急かすには遅れているより進んでいる方がいいだろうと、あえて正確な時間に合わせずにいた。
 しかし、あまりに早くなり過ぎるのも困ると、家族からクレームが出た。
 それで、15分以上早くなった場合は一度リセット、ということできっちりと合わせることにした。

 しかし、ここで心配なことがある。
 時間、合わせたからね。
 時計、進んでないからね。
と、くどいほど情報の周知を図っていても習慣とは恐ろしいもので、ついうっかり、いつものように行動して、あ、そうだった、時計は進んでなかったんだっけ、となることはあり得る。

 それで、私は時計の時間を合わせたときは、メモ用紙に「合ってます」と書いて時計に貼ることにした。
 いずれ、また少しずつ早くなってくるが、そうなったらメモを外せばよい。

 ある日、当時、義母のところに定期的に通ってくださっていたケアマネージャーさんが、ふと時計に貼ったメモを見て、クスクス笑いながら「あれ、何ですか」と聞いた。
 これこれこういう訳で、と説明すると納得されたようだったが、一言「面白いですね」とも言われた。

 家人にその話をすると、「まあ、普通、時計は合ってるものだからね」とやはり笑いながら言われた。

 そうか。そんなにおかしいかな。でも他に何と書いたら良いか、わからなかったのだ。

 その後しばらくして、その掛け時計はとうとう動かなくなった。ちょうどその頃、引き出物で電波時計なる物をいただいて、動かなくなった時計に取って代わることになった。

 電波時計はご存知のとおり、進んだり遅れたりはしない。
 いつも正確な時間でラジオの時報ともぴったりだ。(少々物足りない気もする)

 それから少しして、次女が「片付けしてたら、こんなの出てきたからあげる」と小さなデジタル置き時計をくれた。
 台所の調理台付近の棚に置いたら、調理中にちょっと見るのに便利だろうと言う。 

 ありがたく頂戴したが、これがまた、前の掛け時計よりも早いペースで時間がずれてくる。
 ある程度まではそのままにしておくが、あまりに進んでいると不便なので、ときどき、正確な時間に合わせ、私はまた「合ってます」と書いたメモ用紙を、若干の疑問と共にその時計に貼っている。

 「合ってます」より、「合わせました」「ちょうどです」とかのほうがいいだろうか。
 それとも、合わせる前に「ずれてます」と貼るほうがいいのかな。
 悩むところである。


**追記

 この記事は、へんいちさんというnoterさんの先日の記事のコメント欄に私が書かせていただいた話をもう少し詳しく書いたものです。


 会議室の2つの時計が微妙にずれていて困るというお話に対して私が書いたコメントに、へんいちさんが返信してくださり、そこへ更にまいまいままさんというnoterさんがコメント欄で言及してくださって、面白かったので、この記事を書かせていただきました。

 まいまいままさんは、毎朝、2人のお子さんやご主人とのやり取りを中心に、とても楽しい記事を投稿されている方です。


 

 記事のヒントを提供して下さったおふたりに感謝します。

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#エッセイ
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