つれづれ雑記 *どうぞお引き取りください、の話*
どんなに気をつけていても、出入りがある限り、外からの闖入者は完全には防げない。
人間の話ではない。
虫の話だ。(画像も詳しい説明もありません。話だけでも苦手な方はすみません。なるべく、サラッといきます)
我が家のある場所はそこそこ田舎なので、周囲はわりと自然に恵まれて(?)いる。
先に彼らが住んでいて、そこに我々が後から来たのだから多少は仕方がないと言える、かもしれない。
しかし、私たちもここで暮らしていかなければならない。だから、我が家のテリトリーに侵入してきた歓迎しかねるお客様は、なるべく穏便に早々にお引き取りいただくことにしている。
(これはあくまでも出来得る限りは、ということであり、諸事情により無理な場合は、無理です)
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ただし、例外がある。ゴで始まる4文字と、ムで始まる3文字、カで始まる1文字の生物はこの限りに非ず。もし侵入してきた場合、いっさいの容赦なく滅する。
これについては、虫種差別と言われようとアンフェアだと言われようと方針を変えるつもりはいっさいない。
そのためか、ここ数年、ゴ4文字とム3文字には屋内では出会っていない。
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我が家には捕虫網が2つある。1つは玄関、1つは2階に置いてある。
飛行する虫にはこれを使う。
うっかり窓を開けていて入ってきてしまったハエやよくわからない飛ぶ虫(バッタとかウマオイとかカナブンとか)はこれで捕獲して外に出す。
いつのまにか侵入していて物陰にこっそり隠れていた蛾などが、夜になって照明がつくと出てきてその周りを飛び回ったりすることもある。
そういうときも捕虫網が役に立つ。
蜂がたまに入ってくることがある。
この場合はさすがに怖いので、捕虫網は最終手段、とりあえずは部屋を閉めきって暗くし、1番明るい窓を開けて様子を見る。
蜂は必ず明るいほうに飛ぶので、しばらく待っていたらたいていの場合は開いた窓から出て行ってくれる。
歩く虫、アリやクモの場合。
これには、ウチワが活躍する。
進行方向にウチワを置いて、その上に乗ったらすかさず、開けた窓から外に放り出す。
このとき、近くの窓のカーテンや鍵を開けておくなどして、しっかり動線を確保しておくことが重要になる。モタモタしていると、せっかくウチワに乗った招かれざるお客様が途中で落ちてしまうのだ。
乗ってもらうのも、なかなかにテクニックがいる。
進行方向に置く、と言ってもただ置けばいいわけではない。ペタッと置くのではなく、ちょっと角度をつけていたほうがいい場合もある。
アリ等は慣れてくると割合に容易なのだが、問題はクモだ。
クモはピョンピョンと跳ねて移動する。なかなかうまい具合に乗ってくれない。
何とかして乗ってもらっても、運搬中にウチワから跳ね落ちてしまうことが頻繁にあるし、糸を出してぶら下がってしまうこともある。
ウチワを片手に、あちこちにピョンピョンと跳ねるクモを追いかけていると、屈めた腰がだんだん痛くなってくるし、腹も立ってくる。
何かいい方法はないものか。
ある日、家人がいいことを思いついた。
ペットボトルだ。
和室の畳や廊下の床、あるいは壁にいるクモに、空いたペットボトルの口をかぶせる。
クモが跳び上がってボトルの中に登ってきてくれればよし、そうならない場合は伏せたペットボトルの口と床の間にそうっと紙を差し入れて、口に蓋をして、そのままホッとひっくり返す。
ボトルの中にクモが落ちてしまえばもう大丈夫。慌てて蓋をしなくても、クモはボトルの内壁で滑って登れないし、心配ならボトルの上部を持って試験管を振るように揺らしておけば、クモは絶対に登ってこない。
その状態のまま、開けた窓からボトルを突き出して口を下に向けるとクモはポトンと落ちる。
ただ、このとき、たまにクモが糸を出してボトルの口からぶら下がっていることがあるので、必ずクモが確かに外の地面に落ちたかどうかを目視確認することが重要になる。
何度か試しているうち、この方法は確実で、成功率も高いことがわかった。なので、我が家の台所と2階の物置き部屋には空きペットボトルが1つずつ、常にスタンバイしている。
我が家でこの捕獲作戦を1番よく実行するのは私で、今ではかなり上達した。ひょっとして家族の中で1番上手いかもしれない。
私がクモを見事に捕獲して外に出すたび、
「おおー」「すごーい」「熟練の技やなー」
などと、賞賛の言葉が飛ぶ。それで調子に乗っているうち、はたと気がついた。
近隣のクモ界で、私はビリー・ザ・キッド(古いな…)並みに恐れられているかもしれない。
ここは俺のシマだ。悪いな、とっとと出ていって貰おうか。出ていかないなら、ちょっと手荒な真似をさせて貰うぜ。
おっと、命まではとらねえから安心しな、なんてね。
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