番外編 呟き *関西弁考*
私は関西生まれ、関西育ちだ。
小学生の高学年まで近畿圏から外に出たことがなかった。
世の中に方言というものがあり、自分の話している言葉はテレビでアナウンサーさんが話している言葉とは全然違うのだということを、中学時代に3年間、関東出身の同級生たちに囲まれて過ごして初めて自覚した。
いや、それまでも知らなかったわけではない。でも、生まれて初めて、「キミは名前、何ていうのかな」と標準語で呼びかけられたときの衝撃と困惑は今でも忘れられない。
今では関西弁はすっかり全国的に市民権を得た。いわゆるお笑い芸人さんといわれる方々の功績が大きいと思う。
長女が高校の修学旅行で関東方面に行ったとき、ガイドさん(おそらく大学生のアルバイトさん)に「関西弁の女の子って、可愛いよね」と言われたそうだ。
いや、あなた、ホントの関西弁、知らんでしょ、とちょっと思ったのは内緒、と言っていた。
可愛いかどうかは別にして、私は関西弁以外の言葉を話している自分は想像できないし、関西生まれでよかったと思っている。
と、いう事で(どういうことだ)以下は私の一推し関西弁とその解説(?)である。
***あくまで個人的な見解です。
しゃーない
いらん事言いの、しょーもない事しい
ちゃう
【しゃーない】
仕方がない、とでも訳すだろうか。
ただ、それだと何かニュアンスが違う気がする。もっとこう、諦めのいい、でも決して投げやりではなく、スカッとあっけらかんと前向きな感じ?だろうか。あくまで軽く、軽く。
(使用例)
「わっー、またタイガース負けたん? 10連敗て、あり得へんわー。でもまあ、ようあるこっちゃ、しゃーない、しゃーない」
【いらん事言いの、しょーもない事しい】
余計な事ばかり言い、くだらない事ばかりする人、という意味。
ただ、相手に対する嫌悪というか、拒絶する感じは少ない。
殊に目下の者、子どもとか後輩とかに対する場合は、親愛の情がこもっていることもある。
女性がごく近しい男性に一種の諦めや揶揄いを含む親しみを込めて発せられることも多いように思う。
(使用例)
「また、そんなこと言うて。 あかんやろ、もう。ホンマに、いらん事言いのしょーもない事しいやね」
【ちゃう】
違う、と言う意味。
代表的関西弁のひとつで、ちゃう、の言い方、イントネーション、強弱でいろんなふうに使い分けられることが多い。
関西人はこれを巧みに使いこなす。
ちなみに、以下の使用例の意味はおわかりになるだろうか。
(よくバラエティ番組などでネタになっているようなのでご存知の方もおられると思うが)
(使用例)
「あ、あれ、ちゃうちゃうちゃう?」
「えっ。うそー。ちゃうちゃうちゃうんちゃう?」
「そう? ちゃうかな。ちゃうちゃうちゃうかなと思てんけど」
……ゲシュタルト崩壊しかけた方、すみません。
(翻訳版)
「あ、あれ、チャウチャウと違う?」
「えっ。うそー、チャウチャウとは違うんじゃない?」
「そう? 違うかな。チャウチャウじゃないかなと思ったんだけど」
街を歩いていて前方にチャウチャウ犬に似た犬を見かけた女の子2人の会話、というところだろうか。
関西弁はときにきつく聞こえたり、怖いと思われる方々もおられるかもしれない。
でも、私は関西弁を、地元の言葉をこよなく愛している。
それは他の地域に住まれている方々も同じだろう。
方言は佳い。どんなに時代が進んでもなくならないで欲しいと思う。
***
呟き、という割には長くなってしまいました。
ここまでお読みいただいた方々、ありがとうございました。