歪みベース堪能アルバム

 現在発売中のベース・マガジン2020年11月号(Autumn)の特集が『歪みベーシストという生き方』というのは前回も書きましたが、僕も歪んだベースの音色が嫌いではありません。基本の音作りは歪みではないですけど、歪み系のエフェクターは3種類使い分けてますし(笑)。

 で、今回のnoteもベース・マガジンに便乗する雰囲気で、僕の好きな歪んだベースの音が堪能できるアルバムを紹介しようと思います。まあ、歳が歳なので古い作品ばかりになりましたけど、未聴で興味の沸く作品があったら是非聴いてみてください。

・ 自分的歪みベースとの出会い

 ベースが歪んでいる作品を一番最初に認識したのはどのアルバムだろう?と思い起こすと、やっぱりビリー・シーン氏(以下敬称略)ですかねぇ。デイヴィット・リー・ロスのソロ・アルバム『Eat 'Em and Smile』での超絶プレイには度肝を抜かれました。

 でも、ベースらしい演奏に魅力を感じていた自分としては音色がギターに近いディストーションだと感じたし、“ギターで演れば良いのでは?”と思ったところもあって、それほど惹かれなかったのが正直なところです。今考えると全然コピーできないから負け惜しみに近い敬遠だったのかも、とも思います(笑)。「Yankee Rose」の終盤の歪みの音色とか、今聴くとやっぱりカッコいいですね。

・ カッコいいと思えた歪み音色

 ハッキリとカッコいい!と思えたのはラリー・グラハムですね。特にスライ&ザ・ファミリー・ストーンのアルバム『Stand!』に収録されている「Sex Machine」の図太いファズの音色は、僕もかなり魅了されてヘビロテで聴いてコピーもしました。最近はダン・エレクトロのコンパクト・エフェクターの歪みのようですが(それはそれでカッコいいけど)、当時は何を使っていたんだろう?やっぱりファズ・フェイスかな?知ってる方います?

 因みに以前のnoteに書いた通り、ラリー・グラハムを聴くようになったキッカケは爆風スランプのベーシスト、江川ほーじんさんの影響な訳ですが、爆風スランプで歪みというと、この曲「THE TSURAI」でのベース・ソロ(2:21~)です。そのあとのスラップ・ソロ(2:56~)も衝撃だったんですけど、ほーじんさんでなければ産まれてこない楽曲、アレンジだったんだなぁとしみじみ思います。

・ やっぱりジャコ

 御多分に漏れずジャコは好きですし、ジャコについて語ると長くなりますけど、最初にジャコに惹かれたのは彼のロック的な側面でした。なかでも歪ませて弾くベース・ソロが格別にロックしててカッコ良かったわけで。彼の歪みはベースアンプ・ヘッドacoustic360に内蔵されている、ちょっと変わった音色のファズです。バキバキに歪んでいて、フット・スイッチを踏んだ途端に豹変する雰囲気がまた最高でした。スタジオ盤では『Word Of Mouth』に収録されているアルバム・タイトル曲「Word Of Mouth」の歪んだ音色が分かりやすくカッコいいですね。このアルバムはレコードではB面が組曲になっていて、前曲「Blackbird」からの流れも最高です。

 それと、ジョニ・ミッチェルのライヴDVD『Shadows & Light』に収録されているジャコのベース・ソロのファズもまた格別です。なぜかCDアルバムの『Shadows & Light』にはベース・ソロが収録されてないですけど、これは映像で見てナンボだからかもしれません。

・ JPJも好きー

 LED ZEPPELINについても色々と書きたいことはありますが、歪んだベースがカッコいい曲といったらこれしかないですね。『LED ZEPPELINⅡ』に収録されている「Heartbreaker」です。どうやったらこんな音出るんだろうと思って色々とエフェクターで研究したけど、どうやらレスリー・スピーカー(ハモンド・オルガン用の回転するアンプ内蔵スピーカー・キャビネット)を鳴らして録音しているようですね。レスリー・スピーカーは真空管アンプだし、確かにそういうニュアンスの音色かもしれません。実際に本物のレスリー・スピーカーでやってみたい!まあでも、音色以前にフレーズが超絶カッコいいんですけどね。

・ トム・ピーターソンも好きー

 CHEAP TRICKのトム・ピーターソンも歪み音色がほぼデフォルトのベーシストです。彼の場合は4弦ベースに2本づつの複弦を張った12弦ベースを使用することの方が有名かもしれませんね。僕もトム・ピーターソンが好きすぎて12弦ベース買っちゃいましたし。これ、弦を押さえるのが大変でとても弾くのが辛い楽器ですけど(笑)。

 話を戻しまして、CHEAP TRICKの楽曲で歪みベースの音色が堪能できるのは『Lap of Luxury』に収録されている「Don’t Be Cruel」かな、と思います。

 大車輪のように豪快にドライヴする雰囲気(伝わりづらい(笑))は12弦ベースを歪ませないと出せないニュアンスかなと思います。このアルバムは「The Flame」って曲が最高に美しい曲でヒットもしたんだけど、古くからのファンからは賛否あるようですね。でも僕はこのアルバムからCHEAP TRICKを聴き始めたのもあって、このアルバムが1番好きです。

 トム・ピーターソンが12弦ベースを使う理由は複弦ギターのように響きの美しさを狙ったわけではなくて、倍音をナチュラルに増やしたかったから、だとどこかの記事で読みました。倍音を増やす、という狙いは歪ませることに似たアプローチとも言えるし、とても共感できる考えです。彼はハイワットのベース・アンプを使って歪ませていると思い込んでたんですけど、最近のライブ使用機材レポではサンズアンプのエフェクターがズラッと並んでいて、ちょっとがっかりしたのは内緒です(笑)。

 因みに僕自身が12弦ベースを使ってレコーディングしたのは配信のみでリリースしたSMORGASの「Kill You Softry」って曲だけです。どんな音色かな?って思った方は是非チェックしてくださいね。12弦ベースをラインで録音して、後でTECH21のVTBASSで歪ませつつacoustic371を鳴らしてリアンプしてます。12弦ベースはピックアップをサンダーバード用のに変えたり色々やったんだけど、楽器自体の音色があんまり良くなくて最近は出番も減ってます。ちょっとまた弄ろうかな。

・ おわり

 歪みベースというか、好きなベーシストを羅列しただけみたいになっちゃいましたけど、やっぱり歪んだ音色が好きなんでしょうね。でも、エフェクターに依存し過ぎなベーシスト、ピッキングが疎かなベーシスト、音色がエフェクターそのものになっているベーシストはあんまり興味がないです。とはいえカッコ良ければそれでいいですけど。

 自戒しつつ、精進します。良い音作って、良い音楽鳴らしましょう。


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