Willie Weeksを語る その3
定期的に筆者のnoteを読んで頂いている方を置いてけぼりにしていないか若干不安になってますが、今回もウィリー・ウィークス師匠(以下敬称略)のオススメのアルバムについて書きます。好きなことを書くのは楽しいです。
AppleMusicのサブスクを利用されている方は是非リンクをクリックして音源を聴きながら読んで頂き、“お、そういう聴き方もあるのか!”とか思って頂けたら嬉しいです。関係各位には引き続きウィリー・ウィークスの最新情報も募集中です。随時御連絡頂けると幸いです。
・ フュージョンの先駆け?個性を発揮しつつも多彩
『ラーセン・フェイトン・バンド』ラーセン=フェイトン・バンド
ラーセン=フェイトン・バンドは前回のnoteで紹介したリッキーの1stアルバムでウィリー・ウィークスと共に参加しているギタリストのバジー・フェイトンと、キーボーディストのニール・ラーセンのふたりを中心に結成されたバンドで、このバンド名義で1枚(1980年)、かつてふたりが在籍したバンド名の“フル・ムーン”を冠した『フル・ムーン・フューチャリング・ラーセン=フェイトン・バンド』(バンド名なのかアルバム・タイトルなのか微妙ですが)で1枚(1982年)リリースしています。世間的には初期AORなどと評価されているようですが、筆者的には洗練され過ぎてない(固定ジャンル化されていない)初期のフュージョンと捉えていて、2作とも生々しくも極上の演奏が耳に心地良いアルバムです。
このnoteを書くにあたり改めて聴き直してみると、その“洗練され過ぎてない感”もまたウィリー・ウィークス節のような気もしますね。2曲目の「Danger Zone」はキックとのシンクロですが、絶妙なタイミングで入り続けるのが良い。3曲目の「Future Notice」など、インスト曲の“刑事ドラマの聞き込み感”も良いです(笑)。ラストを飾る「Aztec Legend」をはじめ、ちょいちょい入るスラップによる演奏は意外でもありつつ、良くも悪くも80年代っぽい軽いサウンドになり切らないウィリー・ウィークスらしさが残っているのがツボです。
・ 絶妙な間とグルーヴの真骨頂
『ザッツ・ホワット・アイ・セイ』ジョン・スコフィールド
2000年代に入って、ウィリー・ウィークスはドラマーでありながら名プロデューサーであるスティーヴ・ジョーダンによって召喚されるというか最前線に呼び戻され、エリック・クラプトンのツアーやジョン・メイヤーのアルバムに参加するわけですが、筆者的にスティーヴ・ジョーダンとのセッションでイチオシのアルバムがコレ。ジョン・スコフィールドは難解なフレーズ・ワークに定評があるジャズ・ギターの名手ですが、この作品はレイ・チャールズのトリビュート・アルバム(2005年)で、スティーヴ・ジョーダンがプロデュースしていることもあって実にポップで聴きやすく、レイドバックしつつも現代的なサウンドが楽しめます。
中でも「Unchain My Heart(Part1)」では “ウィリー・ウィークスのツボが分かってるスティーヴ・ジョーダン!”という感じで、ウィリー・ウィークス節の極上のグルーヴが炸裂してます。イントロからして最高なんですが、ハネてるフレーズと適度にレイドバックしたスクエア(に感じる)なフレーズが混在していて、グルーヴとは何か?ハネるとは何か?を考えさせられます。いずれにしても”気持ちよくてカッコいいのが良いグルーヴ”なのだとは思うので、”至高のグルーヴ”なのは間違いありません。
・ フレーズのアイディアも聴きどころ
『ライヴ・フロム・キルバーン』ファースト・バーバリアンズ
最後はロン・ウッドのソロ・プロジェクト、バーバリアンズのライヴです。ロン・ウッドはローリング・ストーンズのギタリストとして有名ですが、ジェフ・ベック・グループやフェイセズでの活動もよく知られています。今回紹介するアルバムは、元々は1974年7月のライヴをテレビ局が収録したもので、古くからブートレッグ(海賊版)が出回っていたのですが、満を辞してロン・ウッド本人が所有していた音源を最近(2007年)になって映像付きでリリースしたもののようです。メンバーが豪華でローリング・ストーンズのキース・リチャーズや、フェイセズでの盟友ロッド・スチュアートも参加していますが、ベーシスト的にはドラマーがアンディ・ニューマークというのが肝。アンディ・ニューマークといえばスライ&ザ・ファミリー・ストーンのアルバム『フレッシュ』の1曲目「イン・タイム」での演奏がアツイですが(ラスティ・アレンのベースも最高)、ウィリー・ウィークスとのセットでも様々なセッションに参加し名演を多数残しています。
さて、筆者的に圧巻な楽曲は11曲目の「Crotch Music」。ロン・ウッドのスタジオ版『俺と仲間』(原題:I've Got My Own Album to Do)にも収録されているウィリー・ウィークス作曲の楽曲です。おそらくセッションでラフに作ったであろうベース・リフありきのインスト楽曲なので、正直なところアレンジはかなり荒いですが(それでもウィリー・ウィークスのタイム感は完璧)、弾きまくっているウィリー・ウィークス(しかも動画)にエラく衝撃を受けました。若いというか、アグレッシヴというか、フレーズのアイディアに溢れているなぁと。2000年代以降の円熟な演奏もまた格段に良いですが、こういうのもやっぱり良いなあと思った次第です。
・ 一旦終了ということで……
という感じで、ウィリー・ウィークスの名演を紹介するターンは一旦終了します(笑)。食べたいと思わせる食レポばりに、聴きたいと思わせるアルバム・レビューになっていることを望みます。くれぐれも好きなものをゴリ押しする構ってちゃん、に自身がなっていないことを祈りつつ(笑)、今後も適時オススメのアーティストは紹介していこうと思います。次回のnoteは音楽の聴き方について書いてみようと思います。それでは。