エレクトリック・ベースの演奏フォーム
今回のnoteはエレクトリック・ベースを弾く際の姿勢(楽器の持ち方、構え方)や演奏フォームについて書きました。とはいえ、フォームに「絶対」はなく、その人それぞれで体格に合った弾きやすいフォームが一番ではあると思いますが……。ここでは右利き用の楽器(左手で指板上の弦を押さえ、右手でピッキングする)を想定して書いていますので、左利き用の楽器を演奏される方は左右を逆に読んでください。
・ 演奏フォームの鉄則
エレクトリック・ベースが世に出たのは1950年代なので、そろそろ生誕から70年が経過するわけですが、それでもクラシック系の楽器に比べればまだまだ歴史の浅い楽器であり、明確な演奏法が確立されているわけではありません。
弾きやすければどのように楽器を持っても自由ですし、(人前で演奏する際のルックスやパフォーマンスを重視するなど)多少の弾きづらさを承知の上で弾きにくいフォームを選択することもあるでしょう。とはいえ、自然でストレスの掛からないフォームであれば、上達も早く楽に弾けることは間違いありません。
要点を挙げるとすれば、左手で楽器(ネック)を支えないこと、リラックスした姿勢で楽器を持つこと、の2点になるかと思います。立奏、座奏に関わらず、左手はあくまでも指板上で弦を押さえるためだけに使うのが理想です。まずは左手がネックに触れていなくてもネックが下がらないように楽器の持ち方と構え方を工夫しましょう。
・ 立奏の場合
立奏ではストラップを使って楽器を肩から吊るすわけですが、楽器によっては重心がヘッド側にあることで両手を離すとネック側が下がってしまう(“ヘッド落ち”する)こともあります。ヘッド落ちはやむを得ない面もありますが、あまりにも酷い場合はストラップを吊るすポイントを変えたり、ヘッドを軽量化したりするなど、楽器自体の改造が必要になることもありますね。
ストラップの長さは左手で無理なくフィンガリングできるネックの高さ、角度になるように調節し、必要に応じて右腕で楽器を固定します。ネックの角度は地面と平行では弾きにくく、ストラップの長さにも寄りますが20度くらいの角度を付けると弾きやすいのではないかと思います。
・ 座奏の場合
座奏では、身体全体で楽器の向きをコントロールして楽器を安定させつつ、必要に応じて右腕を使って楽器を固定します。プレシジョン・ベースやジャズ・ベースなど、トラディショナルなシェイプの楽器はボディ下部が凹むようにカーブしていて腿上に乗せやすい形状をしていますが、この部分を腿上に合わせてしまうと、ほとんどの方は楽器が左手側に寄ってしまうと思います。ある程度の基準としては12フレットが身体の中心に来るように楽器の位置を調整するのが良いと思います。自分の場合はボディの凸部分を右腿に乗せるくらいが丁度良いです。
ただ椅子に座っただけの状態の腿上に楽器を乗せると、楽器がずり下がってしまうことも多いかと思います。椅子の高さを調整したり、右足の踵を上げたりして腿よりも膝が高くなるようにすると安定しやすいです。足を組むのもアリですね。
楽器のボディ・サイズや形状にも寄りますが、一般的なPB、JBタイプではボディを身体にピッタリとくっ付けるのではなく、脚の付け根よりわずかに膝側の腿上に楽器を乗せて胸側に楽器を倒す、つまり垂直よりも少しだけ楽器を傾けるとフォームが安定しやすいでしょう。また、ボディの大きさにも寄りますが地面に対するネックの角度は、立奏よりも少なめに取るとネックが丁度良い(フィンガリングしやすい)高さになるのではないでしょうか。
・ (真上から見た時の)楽器の角度
立奏、座奏に関わらず、演奏時の映像や写真では身体と楽器の向きが同じように見えがちですが、ネックが左肩に近すぎると弾くにくいものです。正面を向く身体に対してネックに角度を付ける、具体的には真上から見た場合に45~60度になるくらいネックを離しても良いかと思います。指板上のすべてのポジションで無理のないフィンガリングができるようにネックと左肩の距離を調整しましょう。
・ リラックスしたフォームが理想
楽器を安定させたら簡単なフレーズを演奏してみましょう。フィンガリング・フォームやピッキング・フォームについては次回以降のnoteでまた改めて詳しく書く予定ですが、弦を押さえるのに力が入って肩が上がったり、前屈みになって姿勢を崩したりするのはあまり良くありません。肩は楽器を持たずに脱力して腕をブランとさせた時と同じ高さで、演奏時は指板を覗き込まず、背筋もほどほどにまっすぐキープしましょう。美しいフォームは音も美しいはず(笑)。客観的に判断するべく、大きな鏡を使って自分のフォームを再確認してみてくださいね。