Willie Weeksを語る その2
1回だけではウィリー・ウィークス師匠(以下敬称略)への愛を語りきれなかったので、今回も前回の続きとして筆者的必聴名演アルバムを結構な熱量で語ります。前回を読んでない方は是非読んでください。それでは早速始めましょう。
・ ウィリー・ウィークスの近況とか諸々追加情報
オススメのアルバムを語る前に。先週のnoteをアップした後にもう一度ウィリー・ウィークスについて情報検索したら、今も変わらず軽井沢在住だそうで、俄然軽井沢に行きたい欲が出てきました。さらに先月1日(2020/08/01)に長野の善光寺にて開催されたライヴに参加されたそうで、っていうかギターがシミーじゃないですか!アーカイブがあったので早速観たんですけどやっぱりウィリー・ウィークスは1音目から紛れもなくウィリー・ウィークスでした。英語吹替版的に書くと「なんてこった!彼はなんてウィリー・ウィークスなんだ!」って感じです。シミーもさすがです。しばらくの期間は観れるようですので是非ご覧ください。特にベーシストにとっては色々な意味で勉強になることが多いと思います(意味深)。
あ、因みに私事ですがシミーこと清水ひろたかさんは筆者にとって恩人であり、師匠であり、自身の音楽遍歴を語る上で欠かすことのできない、今に至る色々なことの原点ともいえる存在の方です。誰かの役に立つかもしれないから、そのうち昔話もnoteに書こうと思います。
それと、前回のnoteで書いた「エブリシング・イズ・エブリシング」のベース・ソロですが、ベーシストの山内薫さんが採譜されたものを御自身のブログで紹介されていました。興味のある方は是非。
・ 筆者的バラード部門第1位のベース・プレイ!秀逸なライヴ・アルバム
『ユー・キャント・アーギュ・ウィズ・ア・シック・マインド』 ジョー・ウォルシュ
さて、前置きが長くなりましたが必聴名演アルバムのひとつ目はジョー・ウォルシュのライヴ盤『ユー・キャント・アーギュ・ウィズ・ア・シック・マインド』(1976年)です。
イーグルスのメンバーとしても有名なジョー・ウォルシュの1975年11月5日のサンタモニカでのソロ・ライヴを収録したアルバムで、ギタリストがボーカルを務める70年代の典型的なロック・ライヴ・アルバムだと思いますが、全体的に漂うタイム感というかグルーヴ感というか、独特の柔らかさが実にソウルフルでウィリー・ウィークスなのです。ロック畑バリバリのベーシストが弾いていたらもっとタイトで縦のハッキリしたビート感になっていたのではないでしょうか?
で、正直なところ、この雰囲気(誤解を恐れずに書けばマッタリしていてシャキッとしないというか、独特のソウルっぽさというか)は好みが分かれるかもしれないと思うのですが、筆者的アピール・ポイントは5曲目のバラード「ヘルプ・ミー・スルー・ザ・ナイト」一択です。まず曲がめちゃくちゃ良い。そしてゲスト参加のイーグルス・メンバーによるコーラス・ワークの美しさに涙しつつのウィリー・ウィークスです。冒頭から繰り返される(この楽曲のアレンジの根幹を成す)ベース・リフは先行して発売されているジョー・ウォルシュのスタジオ・テイクのアルバム『ソー・ホワット』(ベーシストはウィリー・ウィークスではない)にも収録されているので、ウィリー・ウィークスのオリジナル・フレーズではないはずですが、完全に弾きこなした上でウィリー・ウィークス節に染め上げています。ライヴではドラムレスですがすべてのタイミングと音価が完璧。音色も最高。このアルバムは筆者にとってのバイブルのような演奏でして、グルーヴと音価という概念をこの楽曲で学んだといっても過言ではありません。
・ ベースも良いけど曲と歌も最高
『浪漫』リッキー・リー・ジョーンズ
リッキー・リー・ジョーンズは1978年デビューのシンガー・ソング・ライターです。筆者はジャクソン・ブラウンをはじめ、70年代のシンガー・ソング・ライターが大好きでして、(今となっては記憶が定かでは無いですが)リッキーもその絡みで知り得たような気がします。近年も度々来日公演があり、その生声を聴くだけで涙できる程度には好き、つまり超好きなアーティストです。
リッキーのオススメを書くと止まらないので、それはまた別の機会に委ねるとして、『浪漫』(1978年)はデビュー・アルバムにして、リッキーの個性が存分に発揮された完成度の高い作品です。2枚目以降、参加メンバーがガラリと変わり、アルバムごとに作風が異なる(とは言えリッキーのアルバムであることは一切ブレない)のもまた良いのですが、『浪漫』はリッキーのアルバムの中では最もフォーキーでアーシーという印象。特にこの”アーシー”な雰囲気を醸し出しているのがすべての楽曲(ウッド・ベースによる楽曲を除く)で参加しているウィリー・ウィークスな気がします。クレジットに“Bass”ではなく“Fender Bass”と書いてるのがまた良いのです。
またしても余談ですが、エレキ・ベース黎明期にはウッド・ベース(コントラバス)に対してエレキ・ベースではなく(その象徴的な存在である)フェンダー・ベースと書くこともあった、というのをどこかで読んだ気がしますが、エレキ・ベースが一通り浸透したであろう70年代後半に(ウッド・ベースの楽曲も収録されていたとはいえ)“フェンダー・ベース”と表記したというのが筆者的にはツボだったという話ですね。
・ とりあえずここまで
まだ2作品しか紹介してないですが、案の定長くなったので今回はここまで(笑)。未聴だった方は是非聴いて感想をお寄せください。ではまた。