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[今年12本目]PAPER CITY
ちょっと年度末で仕事が立て込んでいて、映画鑑賞がストップしておりましたが、今月末まで東京・渋谷のイメージフォーラムで上映されているこちらのドキュメンタリー「PAPER CITY」は絶対に見たいと思っていたので、仕事の合間を縫って鑑賞に行って参りました。
オーストラリア人映像作家のエイドリアン・フランシスが、東京大空襲をテーマに自ら取材し映像化したドキュメンタリー作品です。
第二次世界大戦中の日本国内に対する爆撃について、人道的公平性を持った視点から論ずることは、いわゆる連合国であった国の内部では、ある程度(というかかなり)タブーであるのであろうことは、誰にでも想像がつくし、そういった場面に自分自身も直面したことはあります。
原子爆弾の投下をはじめとする日本本土への空襲については、
「日本の卑怯な奇襲攻撃から始まった戦争に対する、連合国側からの回答」
といった認識がそれらの国では一般的かと思うんですが、そういった認識も爆弾の投下ボタンを押した瞬間までで彼らにとっての「爆撃」は終わっているからで、その内容や結果については連合国であった国の国民たちは知らされていないし、アメリカで原爆展を開くとなると今でも大事件なわけです。
まあ、そりゃそうですよね。あまりにも残酷すぎますもの。
たくさんの人々が生活する都市に、核兵器を使用するとどうなってしまうのか。ああゆうやり方で空襲するとどうなるか。わからないわけがないのに、実際にやるっていうのは、同じ人間とは思えませんよね。
そうなんですよ、やってる側も同じ人間と思っていなかったんだと思います。78年前の世界では、そんな人種差別が当たり前な世界だったってことは忘れてはいけません。今じゃないってことは重要です。
でも今じゃないからOKってわけでもないですよね。
原子爆弾使用の影に隠れて、全然知られていないのが、東京をはじめとした各都市への空襲なんじゃないかと思います。結構NHKなんかでアメリカの空襲計画をドキュメンタリーでやってたりしたんで、見たことある人もいるんじゃないでしょうか。
あの作戦を見る限り、同じ人間に、しかも民間人に行える内容じゃないですよね。普通に人種差別に基づいた虐殺行為だと思います。
当時はそういう時代だったんだと思います。現代なら余裕で戦争犯罪です。もちろん普通ならそういう時代だったで片付けられるわけありませんけどね。
でも日本人って、これらのことを忘れているわけでもないし、継承されていないわけでもないんですよね。
結構知っています。
ただ許しているだけなんだと思います。
真珠湾への奇襲攻撃や、戦地で多くの連合国側の兵士が亡くなっているのはわかっていますし、その意趣返しだってことももちろんわかってますけど、その内容を天秤にかけてみれば、中東のような状態になっていてもおかしくないですよね。
だけど、それだと未来がないし、死んでいった人たちは生き残った人たちに幸せになってほしいと願っていることがわかっているから、許して未来に向かって歩き出しただけなんだと思います。
湾岸戦争の時とか、イラク戦争の時とか、メディアを通じて中東の人たちが「なんで日本人は広島や長崎の復讐しないんだ」と発言してたりしましたね。なぜ復讐しないのか、その理由を彼らに伝えるのは、私たち日本人の責務かもしれませんね。
そして、直接的な加害者である外国は許すけれども、その原因となった自分たちの政府は許さない。2度と軍事力がコントロールできなくなるような体制にしてはいけないという反省を保ち続けている理性を、私たちは誇りにするべきなんだと思います。
この映画の監督エイドリアン・フランシスは、20年来の友人ですが、友人であるということに一切関係なく、素晴らしく意味のあるドキュメンタリーだと思います。皆さんもぜひ、鑑賞してみてください。
上映劇場****************************************************
▶︎〜3/31 東京 シアター・イメージフォーラム
▶︎3/18~24 大阪 シアターセブン
▶︎4/1~ 名古屋シネマテーク
長野 上田映劇
▶︎4/7~ 京都 出町座
▶︎5/20~ 横浜シネマリン